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「防衛本能くん」のコンセプト

こんにちは、キャラクターデザイナーの「ゆめ」と申します。
今回はウサギ?のようなヘンテコなオリジナルキャラクター
「防衛本能くん」について
コンセプトや意図を説明したいと思います。

防衛本能くん

そもそも「防衛本能」とは…

何らかの危機や受け入れがたい不安を感じた時、
とっさに自らを無意識で守ろうとする本能のことで
「ボールが飛んできたから避けた」「信号が赤になったため渡るのを辞めた」などが当てはまります。

上記は物理的要因が強いですが
人間社会での「防衛本能」の役割を考えた時に、
物理的よりもむしろ、「心理的な要因」で作動することの方が多いんじゃないかと思っています。
例えば「TPOに合わせた服を着る」「エスカレーターの右左、どちらを開けるか」みたいな
無意識に他者に合わせた行動を事前に決めようと考える行為…

その「心理的な要因」をキャラクター化したのが
防衛本能くんになります。


防衛本能くんのデザインについて

まずは、防衛本能くんのデザインについて解説していきます。

白い顔、目の歪んだ縁

厚化粧を表現しています。目の縁はもちろん(?)マスカラです。
あまりに厚く塗りすぎて、溶け出しちゃってるイメージです

カラフルで歪んだ模様達

防衛本能くんから見た「キレイな宝石達」です。
ただ他人(私達)から見るといびつに歪んでいて、宝石だなんて思えません。
しかも、あまりに付けすぎた宝石達の重さに耐えられなくて
体がドロっと溶け出しちゃってます

ウサギのような耳

他人に合わせるためには情報が必要ですから
体に不釣り合いなくらい大きな耳を付けています。
だから、結果的にウサギみたいに見えちゃってるだけで
本当はウサギでも何でもないんです。

上下にズレた、バランスの悪い目

下向きの十印の左目、上向きの一本印の右目はそれぞれ
十印は、キリストの十字架を模した「正しい道を見ている」ことを表し
一本印は、十字架の腕部分を無くすことで「間違った道を見ている」ことを意味しています。
下向きは拒絶を、上向きは容認を表しているので…まあ
間違った方向に進んでる事を表現しています。

コンセプトは「他人の目を気にしすぎた末路」

キャラクターに個性を付けるために、必ず柱として置いているコンセプトがあります。それが「欲による自滅」です。
そして、防衛本能くんに込めた「欲」は

「願望による自滅」になります。


最初はきっと、些細なきっかけだと思うんです。
ちょっと周りと見劣ったとか、行動が少し遅れたとか…
それが段々と大きな不安になってのしかかり
他人の目や意見を気にしすぎてしまう。

その不安を埋める様に、最初は適度だった化粧や装飾品達が徐々に増えていく。
そんないびつに歪んでいく姿に、他人は離れていくのに
なぜ離れていくのか、取り残されるのか、本人にはわからない。

「他人に合わせ、足並みを揃えたい」という感情が他人に拒絶される内に、
いつしか歪んだ解釈に変わり「他者が憧れる存在」という欲望に囚われて
周りが見えなくなってしまった。

それでも「自分」を一生懸命生きようとする滑稽な姿を表現した子になります。


現代は「多様性や自由が尊重される時代」だと言われるようになりました。
ただ、その足枷の無くなった「多様性や自由」は
他人にどこまで足並みを揃えるべきか、
自分らしさをどこまで曝け出すのか
さらに複雑な問いとなって、僕らに返ってくる。

その複雑な問いを笑顔でいなせる程
僕らはまだ、強くないんじゃないかな。

防衛本能くんみたいな人で、溢れません様に

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