見出し画像

脱・両立の先に見えた「二刀流」の働き方

仕事をしていて、1番うれしかったエピソードを書く企画。

私の軸となる仕事は、15年近く続けた教職と、4年目に突入したライター業だ。だから、それぞれの仕事で1番うれしかったエピソードを、もらった言葉と併せて書いてみる。


【教職】「来年度も担任してほしい」

3月ごろになると、チラホラ耳にするこの言葉。ありがたいことに何度も言ってもらったけれど、Kくん親子のエピソードが忘れられない。

Kくんは、カッとなると感情を抑えられないところがあった。普段はほとんど口を開かず、黙って過ごしている。「やらない」と決めると、何時間でも動かない。自分の意志をしっかりと持っている子だった。

お母さんと初めて会ったのは、個人面談。何も話さないKくん母を前に、私はKくんと初めて顔を合わせたときの印象や、数週間で見つけた彼のいいところを語った。後から聞いたのだけど、Kくん母は「あえて」何も話さなかったのだそう。「今度の先生はどうかな?」と、様子を見ていたらしい。


Kくんは3人きょうだいの末っ子。2人のお姉ちゃん・お兄ちゃんは、共に不登校だった。中学校から「連絡を取るにはどうすればいいか」と、相談がきたこともある。

「親の責任」なんて言葉を耳にするたび、それは決めつけだよなぁとひそかに反発した。ひとりで3人の子どもを育てているお母さん、これ以上、何を頑張ればいいのだろうか。

面談以降、Kくん母から「ちょっとこれが心配なんですが」と相談されることが多くなった。相談があったらすぐに対応し、とことん話をしながら信頼関係を築いていく。

そして迎えた3月。Kくん母から「来年度も、先生に担任してもらえますか?」と聞かれた。人事に関しては何も答えられないんですと言うと、「そうですか」と不安な表情になる。

「来年度も、先生に担任してもらいたいです」と。

長男を産んで復帰した1年目。限界を感じた私は担任を外れ、専科になることを希望していた。申し訳ないと思うけれど、口には出せない。


クラスのみんなから担任に向けたメッセージカード。Kくんからのカードには、小さな字でビッシリと感謝の気持ちが書かれていた。

「『これだけは自分で書く!』と言ったので、私は全く手を出していません」

Kくん母からの報告が、うれしくてたまらなかった。自分で考えて書く活動を、最も苦手としていたKくん。そんなKくんが必死に書いてくれた「思い」がうれしかった。

なかなか心を開いてくれなかった子と、少しだけ距離が縮まった瞬間。それまでの大変さなんて、きれいサッパリと吹っ飛ぶ。これが教職のやり甲斐かなぁと思う。

【ライター】「手放したくない」

2人目を出産してから約3カ月、ライター業を本格始動して以来お世話になっているN社。もう3年以上の付き合いになるけれど、実は私のほうから契約終了を申し出たことがある。

次男が1歳になったころ、毎日のように続く夜泣きに疲弊していた。加えて夫が職場での人間関係に悩み、心を壊す寸前。執筆しながら終電で帰宅する夫を待ち、スッキリするまで話を聞いていると、次男が泣き出す。

グッスリと眠れない日が続いていた。

そんなときに凡ミスを指摘するメッセージを受け取り(全体周知だったので、私のことではなかったそう)、「疲弊しながら質の悪い記事を納品するぐらいなら、やめたほうがいい」と決意。

急遽ミーティングを組んでくれた社員さんに、ありのままの思いを伝える。全て話を聞いた後で、統括マネージャーが「私たちは〇〇さん(私)を手放したくないと思っている」と言ってくれた。

「本数が少なくてもいい」「納期も長めに設定する」など、無理なく執筆するための提案まで。限界を感じたときに温かく見守ってくれたから、私は今もライター業を続けられている。

在宅がメインのライター業だからこそ、取引先との信頼関係は重要だと思う。「いい記事を作成するために」はらを割って話せるか。提案を批判と受け止めない相手かを、じっくりと見極める必要がある。

テキストが中心のコミュニケーションでも、必ず「人」が存在する。結局のところ、「いい人との出会い」が楽しい仕事につながるのだと思う。

ワーク・イズ・ライフ!目指せ二刀流

近藤康太郎先生の言葉を拝借。仕事は、苦しむためのものではない。もちろんすったもんだあるけれど、トータルして自分の血肉になるものだと思う。

苦しくて仕方なかった「育児と仕事の両立」から抜け出し、出会ったライター業。「両立なんて無理」とギブアップしたおかげで、教職とライター、二刀流の働き方に気付いた。

うまくいかない状況をマイナスにするも、プラスにするも自分。やっぱり私は、働くのが好き。

子育てが落ち着いたら、ライターと兼業できる形での教職復帰を考えている。


Discord名:サクラ
#Webライターラボ2407コラム企画




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?