見出し画像

「100%無理」って、なぜ言い切れる?

あれは高校2年の夏、1学期の期末テストの結果が出る前だったと記憶している。担任との面談でひと言、「お前には〇〇大学は100%無理やわ」と言われた。

強気な私が「なんでそんなこと言われなあかんの?もっともっと勉強して、見返してやろう」と頭の奥のほうで主張する一方、

弱気な私が「あれだけ頑張ったのにダメってことか」「なんか、頑張るの疲れたな」とささやく。期末テスト前の面談で、担任から「平均点をあと10点伸ばそう」と提案された私は、これまでにないぐらい猛勉強したのだ。そのテスト結果が出る前に言われたとどめのひと言。

燃え尽き症候群もあったのか?坂道を転げ落ちる勢いで勉強から遠ざかり、仲間と遊びまくった。いわゆる挫折だ。返却された期末テストの平均点はそれまでより20点以上伸びていたけれど、あとの祭り。

半年ほどロクに登校せず、遊びまくった私は、再度大学への進学を決意する。思う存分に好きなことをした結果、自分の進みたい道が見えてきたからだ。

「100%無理なんて、たとえ担任でも言ったらアカンやろ!」そんな怒りがムクムクと湧き上がる。同時に、「私がいとも簡単に挫折したように、教師の決めつけで人生が変わる人って、きっとたくさんいるんやろうなぁ」と思った。

でも、数十年が経った今は少し違う。あのとき100%無理って言われなかったら、私は「うまくいかない経験」をしないまま大人になった。教師になろうなんて思わず、恐らく別の道を歩いていたであろう。

「100%無理」
てのひらに爪痕がつくぐらい、ぎゅっと手を握りしめて聞いたあの言葉。絶望感。悔しさ。

それらが、今の私の原点になっているのだ。理不尽に感じる言葉が、人生を変えることもある。

どんなに状況が厳しかったとしても、挑戦しようとしている人に「100%無理」って言い切るのは傲慢だと思う。でも、私は100%だったから火がついた。

もし99%だったら「あと1%あるんやね。じゃあ大丈夫」って考えるタイプ。挫折して再挑戦を決めた後ほど、本気にはなれなかっただろう。志望校への合格も果たせなかったかもしれない。

だから、当時大嫌いだったあの担任に、今はちょっとだけ感謝している。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?