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少女とスーパースターの恋 - 「プリシラ」 映画感想文


アメリカの学校に通う女の子がいる。年齢は14歳ぐらい。透き通るような綺麗な顔をしている。本当にまだ子供っていう感じ。

彼女は知り合いのツテで誘われてとあるパーティーに参加することになる。そこにはあのエルビル・プレスリーも来るというのだ。

親の反対にあいながらもパーティーに参加するプリシラ。そして当のエルビスとも直接話す。

なぜここでエルビスが出てくるのだろう?
「フォレスト・ガンプ」とかたまにエルビスをアクセントとして使う映画はある。そのひとつだろうか。

と思ったところで思い出した。プリシラ・プレスリー。これはエルビスの妻になった女性の話だと。

プリシラはだんだんとエルビスに特別扱いされ、みそめられていることに気づき始める。そしてエルビスはプリシラの両親の家にまで来て話、ふたりはデートする関係になるのだった。

その当時、エルビスのことを嫌いな人なんかいるはずがないという時代。まさか自分が選ばれるなんて、なんていう奇跡だろう。プリシラは「自分はエルビスに選ばれた特別な存在」という高揚感と共に輝いた日々を送る。

しかしスーパースターと付き合い始めたからにはいつまでも楽しいばかりではいられない。エルビスは数々の映画に出演しながら相手の女優と浮き名を流し、それをプリシラは雑誌で読むことになる。

彼が不在の間は会うこともできない。だんだんとスーパースターとの関係に影が落ち始める。

そしてエルビスは優しいばかりではない。さすがにスターだけあってか段々だと「俺の思い通りの女になれ」と支配しようとする闇の部分が出始める。たとえばプリシラに髪型、髪色を変えさせたり、ドレスの色もエルビス好みに変えていくのだった。

日が経つごとにだんだんと髪の毛のボリュームが増えて行くプリシラ。エルビスは極度の母親好きだったので、プリシラをその面影に寄せて行ったのだろうか。誤解だろうか。

正直ブロンドのままの最初のプリシラがいちばん可愛くて、エルビスに染められてだんだんと可愛くなくなっていってしまった。

やがてプリシラは学校を卒業し、エルビスと結婚し、子供を生む。だがこの生活に疲れてしまい、最後には別れてエルビスから離れて行くのだった。

このように本作はエルビスとの出会いから別れまでを描いたプリシラ・プレスリーの物語だった。

全体の印象としては淡々としていて映画的な盛り上がりは少なかったが、自分自身エルビスファンということもあり、貴重な映画として楽しんだ。ただエルビスの悪い部分も見えてしまって、エルビスを嫌いになってしまいそうで怖かったけれど。

ちなみに劇中ではエルビス・プレスリーの楽曲はほとんど使われていない。おそらく彼の曲を使ってしまうといかにもエルビスエルビスした映画になってしまうからじゃないだろうか。

68カムバックスペシャルの曲も、70年台のステージの曲もオリジナルではなく、誰かによって再録されたバージョンだった。もしかして権利関係で楽曲使用が許されなかった可能性もある。

エルビスを演じた俳優は長身で、なかなかちゃんとエルビス感があったように思う。

映画ELVISもそうだったけれど、没後50年ほども経ってこうして映画が作られるほどの人物。エルビス・プレスリーの存在感はまだまだ現在のようだ。

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