見出し画像

生産性ー与えられたものをどうつかうか

自分の時間を取り戻そう」(ちきりん著)を読んでいて、まるで眼が覚める思いだった。
自分の与えられた時間に、浪費していた時間に無自覚だったことを実感したからだ。仕事、家事、やりたいこと、すべてに対してぼんやりとさせて、いつの間にかいろんなことを後回しにしていて、後悔とすぐに変えなければと想いを新たにしたからだ。

生産性 = 得られた成果 / 投入した希少資源
= アウトプット/インプット
生産性を上げるには、アウトプットを上げるまたはインプットを下げるのふたつ。
頭ではわかっていたつもりだけれど、やわらかい文章と出てくる事例の数々に、いまの仕事の仕方、いまの時間の使い方との差が、眼に浮かぶようだった。

ああ、本当に夜なのに眼が覚めた。そういえば僕が大学院で研究していたことは、まさに「生産性」に関することだったのを思い出した。

微生物に人にとって有用な物質を作らせるという研究で、生産性をいかに上げるかが課題だった。
微生物は物質を変換する能力がある。例えばお酒は、酵母という微生物が、米の主成分である糖分を、アルコールや他の香りや旨みに関わる物質に変換している。この過程は、発酵と呼ばれる。
彼らは単に環境から養分を摂り、細胞内の代謝反応により自身の維持と増殖に必要な物質を合成しているに過ぎない。そして余ったものが外に排出されており、結果的にそれらが生存するのに優れた物質だったり、人にとって嬉しいものだっただけだ。

原料から目的の物質を効率よく作るか、まさに生産性の問題だった。
僕のテーマは、酵母細胞に取り込まれる栄養分、インプットの物質が、細胞内のたくさんの化学反応を経て、アウトプットの物質になるまでの過程を、いかに効率よくするかということだった。
効率化のためにとった手法は、細胞内の化学反応に関わるたくさんの物質の量を計測し、どの化学反応がボトルネックになっているのかを見つけることだった。(厳密には、それだけではボトルネックを見つけることはできないけれど)

ああそうだった。
僕の研究テーマはマクロな目でみれば、「生産性」だった。そして、生産性を上げるために、細胞内の化学反応を、言うなれば今までブラックボックスにしていたものを「見える化」して、どこが問題なのか、どこを改善すれば良いのかを探ることだった。

そして研究室のテーマは、もしかしたら生産性を上げる手法の開発だった。細胞内のコンピュータシミュレーションによって、もっとも効率の良い化学反応経路の探索すること、化学反応経路の量と速度の計測により、ボトルネックを探ること。その探索方法の開発、計測方法の開発、その利用がテーマだった。

業務に置き換えれば、まさに、仕事や日々の家事ややるべきことを「見える化」し、そして、ゼロベースで目的を達成するための最適な業務フローの探索や、それにかかる時間を見直すのに近い。

なんだ、そうだった。
卒業してしばらく経ってから、今の仕事に返ってきている気がする。
微生物だって、改善すれば生産性がよくなったんだ。
僕の生活だって、もっとよくなるはず!
#日記 #読書 #ちきりん #生産性 #微生物

読んでいただき、ありがとうございます!とっても嬉しいです。 いただいたサポートは、読書と映画に使いたいと思います。