広島優勝の要因とは?

本日とうとう広島が3年連続9度目となる、セリーグ優勝を決めました。

セリーグでは巨人以外、リーグ3連覇以上を達成しているチームはいないので、歴史的に見ても快挙と言っても差し支えないでしょう。

その一方で、先日のnoteにても述べた通り過去2年と比較すると、その圧倒的な強さが少々薄れつつあるという事実もあります。

そんな中で、なぜ今季も優勝することができたのかについて、要因を分析していきます。

①圧倒的な野手力

過去2年は「タナキクマル」を筆頭とした圧倒的な得点力で、他球団を蹂躙してきましたが、その得点力は今季も健在でした。

673得点というのは、得点数2位のヤクルトの604得点を70点近く上回る数字で投手陣の不振をカバーする形となりました。

今季は「タナキク」の成績が伸び悩み、打順の並びとしての「タナキクマル」が解体されていた時期も長かったですが、丸・鈴木誠也のOPS1越えコンビを中心に曾澤や西川や野間らの活躍もあり、相対的な得点創出能力の高さをキープすることができました。

ただ、昨年はどのポジションでもまんべんなく攻撃力の高さを見せつけましたが、今季は捕手・中堅・右翼のポジションにて突き抜けた攻撃力の高さを見せている点が昨年比で異なる点です。

また「逆転の広島」と呼ばれるように、過去2年は試合終盤に逆転しそのまま勝利するケースが多く見られましたが、今季もそれは健在でした。

今季もここまで38度の逆転勝利を収め、8月のヤクルト戦で9回に3点差をひっくり返すというような大逆転劇も見られました。

このように逆転勝利が多い一因としては、ストレートに対する圧倒的な強さが挙げられます。

試合終盤に出てくる投手は、基本的に150キロ付近のボールをバシバシ投げ込んでくる投手が非常に多いため、その速いボールに遅れずかつ負けないスイングが必要です。

広島の野手陣には、そのようなスイングかつ速球に遅れないメカニクスを確立できている打者が多いです。

それはデータを見ても明らかでwFAを見てみると73.4で、2位のヤクルトが39.4ですからダブルスコアに近い大きな差がついていることが分かります。

この数字だけでは本当に150キロ以上の速球への対応力ははっきり示すことはできませんが、速球への対応が図抜けていることは確かでしょう。

以上のような要素から生み出される得点力の高さや終盤への強さが、広島を優勝に導いた一番の要因であることは疑いようがありません。

それに加えて守備走塁を含めた総合的な野手力が飛びぬけていることも、大きな要因です。

チーム単位の野手のWARは24.1で2位の中日とは5.4の差をつけて、リーグナンバーワンとなっています。

打撃力で突き抜けている部分も勿論ありますが、平均以上の守備力と高い走塁能力も兼ね備えており、このようなハイブリッド型の選手が多いのが広島の野手陣の大きな特徴でもあります。

「タナキク」の健康状態や丸のFA問題等の不安要素はありますが、今後まだ数年は野手力で他球団に対しアドバンテージを取っていくはずです。

②球界トップクラスの投手となった大瀬良と接戦を勝ち切るだけのリリーフ陣

突き抜けた野手力を持ち合わせる一方で、投手陣は過去2年に比べかなり苦しいシーズンとなりました。

エース格として期待された薮田の大不振に始まり、ローテを守り続けた岡田も防御率は5点台も振るわず、野村も故障離脱があったりなど先発陣は誤算続きでした。

そんな中で唯一といってもいいくらいのポジディブな要素として大瀬良の覚醒が挙げられます。

2段気味のフォームへと変更したことで球威の向上が図られ、スラッターに代表される変化球の質の向上も相まって一気に球界でもトップクラスの投手へと進化しました。

また1試合平均6.68回を投げるなど、イニングイーターとしての役割を果たし、先発・リリーフともに苦しい台所事情を支えたという点での貢献度も大きいでしょう。

イニングイートできるようになった要因としては、数字から分析するとF-Strike率(初球をストライクに投じた割合)が両リーグ3位を記録し、ストライク先行で勝負できる場面が増えたことと、O-Swing%(ボールゾーンスイング率)とO-Contact%(ボールゾーンコンタクト率)の良化から、ボール球を有効活用できるようになったことでしょうか。

大瀬良がエース格へと成長していなかったら、今季はどうなっていたのかゾッとしますね。

ここまで先発陣を見て来ましたが、リリーフ陣も同様に成績不振に陥る投手が多く見られました。

昨年火消しの役割を担った中田やセットアップとクローザーで大車輪の活躍を見せていた今村、ジャクソンら勝ち試合を任せられるような投手たちが悉く成績を落としてしまいました。

そのような状態の中で、きっちりと接戦を勝ち切れていたのは、勝ちパターンを担う投手は1年間途切れることなく居続けたためでしょう。

交流戦明けくらいまでは、シーズンの当初通りの今村・ジャクソン・中崎という3枚で担っていました。

ただこの時期から今村・ジャクソンが打ち込まれ始め、勝ちパターンがグラつき始めたところで出てきたのがフランスアであり一岡であり永川です。

とりわけフランスアの存在は大きく、勝ち試合ではほとんど投入され、その豪速球で相手打者をねじ伏せ、チームに勢いをもたらしました。

ただ過去のnoteでも述べている通り、リリーフ陣は全体的にずっと酷使気味ですのでポストシーズンもしくは来季に影響が出そうであるのは怖いところですね。

このように今村・ジャクソン・中崎から一岡・フランスア・中崎への勝ちパターンの移行が上手くハマったのが、優勝には大きな要因となったように思います。

以上のような要因が優勝に結びつきましたが、更なる目標としては、過去2年果たせていない日本一ということになるでしょう。

正直来季以降は投手陣の台所事情は今以上に苦しくなる可能性が大いにありますし、野手陣も上記にて述べたような不安もありますから、盤石とはいかないでしょう。

そして新井の現役ラストシーズンとなりますから、きっちり勝ち切って有終の美を飾るとともに、真の強豪チームに生まれ変わらなければなりません。

色々と述べてきましたが、とりあえず優勝おめでとうございます!

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