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2010年代の広島を3トピックスずつ振り返ろう

先日2019年も終わりを告げ、2020年となったことで、色々あった2010年代は終焉を迎えました。広島ファンとしては、15年連続Bクラスという長い長い低迷を抜けて25年ぶりの優勝を果たしたかと思えば、そこからリーグ3連覇を果たす快挙を達成した、素晴らしい年代だったと結べるのではないかと思います。加えて、不人気球団と揶揄されていたのが、前田健太・丸佳浩・菊池涼介・鈴木誠也らの人気選手の誕生と上昇気流を描くチーム成績が相まって、10年前からは考えられないくらいの人気球団へと進化を遂げたのもこの2010年代です。

そんなポジティブな要素が多かった一方で、リーグ3連覇こそ果たしましたが1984年以来の日本一の座を掴み取ることは出来ず、対パリーグを考えた際にどのような戦い方が適切なのかは掴みきれないまま2010年代は終わってしまいました。ここは2020年代に向けた大きな課題となってくるでしょう。

そんな広島ファンからするとポジティブな要素の多かった2010年代について、各年3トピックスくらいでまとめながら、振り返っていきたいと思います。

2010年

58勝84敗2分 勝率.408  5位
主要メンバー
SP:前田健太、スタルツ、ジオ、齊藤悠葵、篠田純平、青木高広
RP:大島崇行、岸本秀樹、横山竜士、梅津智弘、ベイル、上野弘文
C:石原慶幸 1B:栗原健太 2B:東出輝裕 3B:小窪哲也 SS:梵英心 LF:嶋重宣 CF:天谷宗一郎 RF:廣瀬純 
ベンチ:赤松真人、岩本貴裕、ヒューバー、石井琢朗、前田智徳

①野村謙二郎政権1年目

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2010年は、何と言っても現在の広島の礎を築き上げた男・野村謙二郎の監督就任1年目です。就任会見で「とにかく優勝を目指す」と言い切り、講演会では「優勝したら『普通のことをやったまでです』と言うつもりです」と強気の姿勢を見せましたが、野手は機動力任せの典型的な弱者の野球に終始し、投手陣は前田健太を除いて崩壊状態に陥ったことで、結果は例年なら最下位レベルの勝率.408に沈み、散々な船出となりました。

主砲であった栗原健太を1Bから3Bにコンバートし、駐米スカウトの反対を押し切って獲得した大砲候補・ヒューバーはまるっきり期待外れにも関わらずシーズン終盤まで一軍に帯同させたり、打撃不振に苦しんだ天谷宗一郎を3番で起用し続けたりと頑固な面が悪い方向に働いていたように思います。今考えると、単純に戦力不足の側面も非常に大きいように感じますが…

加えて、先発の柱・ルイスが抜けた投手陣も、大竹寛・シュルツ・永川勝浩といった主戦どころが揃って故障し、シーズンのほとんどを棒に振ったことで、大きく弱体化する羽目になりました。このように、ただでさえ駒が少ない中で体調管理面のケアが出来ていない状況だったわけですから、勝てるわけはありませんでした。

②前田健太の覚醒

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暗い話題ばかりのチーム成績の中で、明るい希望の光となったのが前田健太の覚醒です。統一球導入前の打高シーズンにも関わらず、215回を投げ15勝/174奪三振/防御率2.21という好成績を収め、投手三冠+沢村賞を受賞しました。

8割の力でボールを投じる感覚を掴むことでストレートの威力が増し、スライダーも縦横緩め速めの4種を使い分けることで決め球として進化したために、これほどまでの素晴らしい成績を収められたのでしょう。ここから前田健太のエース街道が始まっていくわけです。

③印象派・天谷宗一郎

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野村謙二郎政権発足当初、最も期待を受けていた野手はこの天谷宗一郎で間違い無いでしょう。スピードを最大の持ち味とした野性的なプレースタイルで、かつ2009年には規定打席未満ながら打率.300をマークするなど打撃面も力強さを増し、機動力野球復活を掲げる野村政権にマッチする人材だったことが期待となって現れたのでしょう。

そんな天谷は監督の期待に応え、OP戦で打ちに打ちまくり打率.396をマーク。3番CFの座を掴み取りますが、開幕後は深刻な打撃不振に苦しみ、打率は2割前後と全く調子は上がってきません。結局、今振り返るとレギュラー取り最大のチャンスであったにも関わらず、打率.245/OPS.671に終わり、レギュラーの座を掴むまで至りませんでした

しかし、印象に残る活躍も多く、4/28には1試合4盗塁をマーク、8/22には横浜・ハーパーの打球をフェンスよじ登りキャッチ8/27には野間口貴彦から延長11回に逆転サヨナラ3ランを放つといった鮮烈な活躍を見せました。シーズントータルでは大した成績ではありませんが、数試合は印象に残る活躍を見せる「印象派」天谷宗一郎らしいシーズンだったと言えるのではないでしょうか。

2011年

60勝76敗8分 勝率.441  5位
主要メンバー
SP:前田健太、バリントン、福井優也、ジオ、篠田純平、大竹寛
RP:青木高広、サファテ、今村猛、岸本秀樹、豊田清、上野弘文
C:石原慶幸 1B:栗原健太 2B:東出輝裕 3B:バーデン SS:木村昇吾 LF:松山竜平 CF:丸佳浩 RF:廣瀬純 
ベンチ:梵英心、赤松真人、岩本貴裕、天谷宗一郎、前田智徳

①躍進の4月→沈黙の交流戦→立て直しの夏場→大失速の秋口

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前年5位に沈み、野手も投手も力不足が目立つ中、シーズン前の周囲の期待も決して高いものではありませんでした。実際この年も波は非常に激しかったものの、8月終わりまで首位争いに絡むなど思いの外健闘を見せました。正確には前年崩壊しかけたチームを、CS争いを繰り広げた2008年〜2009年レベルまで戻したとの表現が近いのでしょうが…

前田健太・バリントン・今村猛らでドラ1ローテを形成し、梵英心が出て廣瀬純が返す得点パターンで躍進を遂げた4月から、一転廣瀬トレーシーの故障で得点源を失い、50イニング無得点と得点不足に苦しんだ交流戦。そして、栗原健太の爆発や今村のセットアッパーへの配置転換がハマり、首位戦線に踏みとどまった夏場から、全てが崩れた9月の大失速でシーズンエンドと振り返っても非常に波の激しい一年でした。

即戦力投手を多く獲得したドラフトや外国人補強が功を奏し、また丸佳浩や松山竜平といった若手野手も台頭することで、一年でCS争い出来るレベルまで盛り返して来ましたが、それでもまだまだ駒不足は顕著で、チーム全体の体力不足を感じざるを得ない一年だったと言えましょう。

②バリントン・サファテの大当たり

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2011年にCS争いに絡むことが出来たのは、間違いなくこの年に来日したバリントン・サファテの両右腕の力無くしては有り得ませんでした。

元全米ドラ1という華々しい経歴を持ったバリントンですが、投球スタイルは豪腕というよりはムービング系のストレートとスライダーの出し入れでゴロを打たせる投球で、常に7回くらいのイニングイートが期待出来る投手でした。ですので先発不足のチームにおいては、非常に大きな存在となってくれたように思います。初年度は204.1回を投げ13勝/防御率2.42と素晴らしい働きを見せ、在籍4年でも常に先発ローテに入り続けるなど、エース格とまではいきませんが先発2〜3番手クラスとして安定した働きを見せてくれました。

160kmのストレートがウリとの惚れ込みで獲得したサファテ。この手のタイプにありがちな制球難が不安視されましたが、当時は傑出していたスピード能力でボール球を振らせることや力まずゾーンに投じることを覚えることでそれを補い、常時150km超えのストレートとスプリットで打者を圧倒していきました。前年はクローザー不在に悩んだチームにおいて、クローザーに定着し35セーブを挙げ、接戦を勝ち取れる体制を作り上げられたのは、このサファテの存在抜きには考えられませんでした。今やソフトバンクの選手という印象が強いですが、発掘した広島の眼力はもう少し賞賛されても良いのではと勝手に思っています笑。

③主砲・栗原健太の目覚め

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マツダスタジアムに本拠地を移した2009年以降、故障もあり思うような成績を残せていなかった栗原健太ですが、2011年は久々にその打棒を見せつけ、広島の主砲たる所以を感じさせる一年でした。この年放った本塁打が、栗原の一軍での最後の本塁打となるとは夢にも思いはしませんでしたが…

反発係数の低い違反球だったとは言え、6月終了時点で1本塁打と打球に角度が付かない状況が続いていましたが、夏場には感覚を取り戻し8/9月に連続で月間MVPに輝くなど4番打者としてチームを牽引しました。初の打撃タイトル獲得とはなりませんでしたが、17本塁打/87打点/打率.293/OPS.793と違反球に苦しむ打者の多かった中では傑出した成績を残しています。

主軸として期待されたトレーシーや廣瀬が、フルシーズン稼動できない中で、栗原のバットにかかるものはそれだけ大きくなっていましたし、それに応える素晴らしい働きだったと言えましょう。この栗原の打棒が、チームをCS争いに留まらせたと言っても過言ではないと個人的には思っています。

2012年

61勝71敗12分 勝率.462  4位
主要メンバー
SP:前田健太、バリントン、野村祐輔、大竹寛、今井啓介、福井優也
RP:今村猛、ミコライオ、サファテ、中田廉、河内貴哉、横山竜士
C:石原慶幸 1B:エルドレッド 2B:東出輝裕 3B:堂林翔太 SS:梵英心 LF:天谷宗一郎 CF:丸佳浩 RF:廣瀬純 
ベンチ:赤松真人、岩本貴裕、菊池涼介、ニック、前田智徳

①全国区のスター・堂林翔太の台頭

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8月終了時点で4位ヤクルトに2ゲーム差をつけて3位に立っていたにもかかわらず、9月に大失速。結果15年連続のBクラスとなってしまいましたが、その中でも久々の全国区のスター選手として彗星の如く現れたのが、当時高卒3年目の堂林翔太です。

開幕から3Bに定着すると、全試合出場を果たしチームトップの14本塁打を放つなど、その才能を見せつけたシーズンとなりました。高校時代から「尾張のプリンス」と某番組で呼ばれるほどの甘いマスクを持ち合わせていることから人気が沸騰し、その後のカープ女子ブームの火付け役となったことは言うまでもないでしょう。

ただ、リーグワーストの150三振や29失策と課題は山積み状態で、当時も堂林を擁護するよりは、叩かれるような論調であったような記憶があります。そのため、この辺りの課題を過剰に意識しすぎて堂林のその後のプレーが小さくなった感は否めません。堂林の台頭が、現在のようなもう少し野手の面々が固まった状態であれば、そこまで過剰に叩かれることもなかったでしょうし、この辺りはタイミングを恨むしかないのでしょう。

②代打の神様・前田智徳

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野村政権発足後から代打稼業に専念して3年目。落合博満も天才と称す打撃職人が、遂に代打でもその力を発揮することとなりました。過去2年はいずれも代打打率は2割台でしたが、2012年は.327をマークし、代打だけで実に19打点を挙げる勝負強さを見せつけました。

パワーやスイングスピードは全盛期をとっくに過ぎていましたが、競った試合終盤のチャンスで登場し、巧みなバットコントロールと配球の読みで、外野の前にきっちり運ぶ様は非常に痛快でした。そこにはまさに職人の姿があったように思います。

③リーグ屈指の先発4本柱

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得点力不足が響き、接戦をことごとく落としたことでCS進出こそなりませんでしたが、こと先発陣においては前田健太・バリントン・野村祐輔・大竹寛のリーグ屈指の4本柱を形成しました。2年前は前田健太しかマトモな先発がいなかったことを考えると、よくぞここまで立て直したなという印象です。

その中でも2012年からローテに加わった野村祐輔は、抜群の制球力とポンポンと間を置かずに投げ込むテンポの良い投球が当時の飛ばない違反球にもマッチし、ルーキーながら実に防御率は1.98と驚異的な数値を記録しました。それにも関わらず9勝というのはさすがに可哀想でしたが…

大竹寛が2009年以来の復活を遂げたのも非常に大きかった要素です。2010年のキャンプで右肩を痛めてからその他の故障も続き、2年間まともに稼働できませんでしたが、右肩を配慮した起用法によって2012年は1年間しっかり稼働することができました。その上で144.2回を投げ、11勝で防御率2.36という成績は素晴らしいの一言に尽きます。この年に築き上げた4本柱が、翌年のCS進出にも繋がってくるわけです。

2013年

69勝72敗3分 勝率.489  3位
主要メンバー
SP:前田健太、バリントン、野村祐輔、大竹寛、中崎翔太、中村恭平
RP:久本祐一、今村猛、今井啓介、ミコライオ、横山竜士、永川勝浩
C:石原慶幸 1B:キラ 2B:菊池涼介 3B:堂林翔太 SS:梵英心 LF:ルイス
 CF:丸佳浩 RF:松山竜平 
ベンチ:廣瀬純、エルドレッド、岩本貴裕、安部友裕、木村昇吾、小窪哲也

①悲願のCS進出

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2013年と言えば、何と言っても15年ぶりのAクラス進出及び初のCS進出でしょう。7月終了時点で借金12と決してチーム状況は良くありませんでしたが、8月に初の月間勝ち越しを決めてから徐々に調子を上げ始めます。前年失速した9月にはキラ・エルドレッドの2枚の大砲を共存させ得点力をキープ。かつ先発4枚看板の登板間隔を詰めるといったムチ打ちがハマり、大きく勝ち越しに成功。9/25の中日戦に勝利することで、初のCS進出を確定させました。

前年失速した9月から逆算し、強みの先発4本柱の登板間隔を極力守りながら、そこにピークを持っていくような野村采配はお見事としか言いようがないでしょう。また得点力に苦しんだ前年の反省を生かし、勝負所の9月にそれまで不振だったエルドレッドを一軍に昇格させ、キラと共存させるためにLFで起用するようなギャンブルに打って出たのも印象的です。

緻密に計算するところは計算し、大胆に行くべきところでは大胆な采配に打って出る。このようなメリハリの効いた采配が、チームをCSに導く一因となったのでしょう。

②廣瀬純・菊池涼介の日本記録達成

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野手には相変わらずコアとなる選手がいないままでしたが、そんな中でも廣瀬純と菊池涼介が、あまり着目されないような記録の日本記録を更新しました。

廣瀬が達成したのは、15打席連続出塁という記録です。4/21の巨人戦の第4打席から4/26の中日戦の第4打席までの15打席を、8安打4四球3死球で駆け抜け、最後はきっちりセンターに打球を返し達成となりました。15打席のうち死球を3つ含んでるあたりは、2011年にはリーグ最多死球を記録した廣瀬らしいですが笑。この他にもシーズン序盤には4番も務めるなど、主砲不在のチームを支える活躍を見せたシーズンでした。

菊池が達成したのは、2Bとしての最多補殺記録です。圧倒的な守備範囲を誇りながら、正面の打球を捌けないといったドーナツ型の守備範囲と称されながらも、グラウンドボールピッチャーの多いチームともマッチして、補殺数を順調に積み重ねます。そして、9/26の中日戦でシーズン497補殺目を記録し、日本記録達成となりました。オフには日本代表に選出されるなど飛躍の一年となり、ここから菊池がスターダムへと駆け上がっていくこととなります。

③頼れるハワイアン キラ・カアイフエ

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シーズン前は主砲として期待されていたエルドレッドは、故障や不振で期待値以下の働きで、開幕時は3番を打ったルイスも守備のお粗末さや今一つな打撃と、打線の核となるべき外国人が不振だったため、得点力が中々上がってきませんでした。そこでシーズン途中ながら白羽の矢が立ったのが、ハワイ出身の大砲 キラ・カアイフエです。

7月に一軍昇格を果たすと、最初の3試合で4本塁打10打点と大爆発し、いきなりファンの心を鷲掴みにしました。その後もマツダスタジアムのライトスタンドに140m弾を叩き込んだり、CS1stステージ初戦で藤浪晋太郎から特大の3ランを放つなど印象的な活躍を続け、チームの躍進の一翼を担ったのは記憶に新しいところではないでしょうか。

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加えてチーム内にもプラスの波及効果をもたらし、このキャプチャーのように各打者の打撃成績は向上しています。キラという打線の柱が生まれたことで、心理的にキラに任さればよいという空気感が生まれたことが、要因ではないかと考えます。ここからチームがCS進出に向けて加速を始めたということから、キラ加入の影響は非常に大きかったのでしょう。チームを初のCSに導いた立役者で、この年からあらゆる潮流が変わり始めましたから、キラの存在が大きくチームを変えたと言っても過言ではないのではないでしょう。

2014年

74勝68敗2分 勝率.521  3位
主要メンバー
SP:前田健太、大瀬良大地、バリントン、野村祐輔、九里亜蓮、福井優也
RP:中田廉、戸田隆矢、永川勝浩、ミコライオ、中崎翔太、一岡竜司
C:會澤翼 1B:キラ 2B:菊池涼介 3B:梵英心 SS:田中広輔 LF:エルドレッド
 CF:丸佳浩 RF:堂林翔太 
ベンチ:ロサリオ、木村昇吾、松山竜平、石原慶幸、小窪哲也、廣瀬純

①9月まで優勝争い

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前年CSに初出場を遂げた勢いそのままに、3/4月を18勝9敗とスタートダッシュに成功し、交流戦まで首位を保ちます。ただ鬼門の交流戦で9勝15敗と大幅失速し、首位を明け渡すこととなりました。その後は8月に再び盛り返し、1ゲーム差で9月頭に巨人との首位攻防戦を迎えますが、そこで3連敗。阪神にも抜かれ、結局前年と同じ3位でシーズンを終えることとなりました。

野村政権中、手塩にかけて育ててきた菊池涼介・丸佳浩が野手のコアへと成長を遂げ、自身が懇願してチームに残留させたエルドレッドの打棒が大爆発するなど、これまで野村政権の中で強みとなり得なかった野手陣が大きな強みとなり、大幅なチーム成績の向上に繋がりました。

ただ前年まで強固な4本柱を築き上げていた先発陣が崩壊し、その分しわ寄せの行ったリリーフ陣が終盤堪えきれなくなったことで、久々に優勝を勝ち取ることは出来ませんでした。ただここまでの野村政権で撒いた種が、緒方政権で花開くこととなるのです。

②キクマルコンビ誕生

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2014年は「カープ女子」というワードが流行語大賞にノミネートされるほどカープ人気が高まった一年でしたが、中でもその人気の牽引役となったのが「キクマル」こと菊池涼介と丸佳浩のコンビでしょう。

前年に両者確固たるレギュラーの座を掴み迎えた2014年、菊池は圧倒的な守備は健在ながら打撃面も進化し、188安打を積み重ね打率.325をマーク。丸はその選球眼にさらに磨きがかかり出塁率.419をマークし、19本塁打と長打力もアップするなど成長した姿を見せつけました。

センターラインで、一定以上の守備力を兼ね備えながらここまでの打力を持つ選手を2枚擁するのは、広島の新たな強みとなりましたし、このアドバンテージがチームのリーグ3連覇に繋がっていくのです。

③新人王・大瀬良大地

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ドラフトで3球団競合の末、広島に入団することとなった大瀬良大地ですが、その前評判通りの投球を披露し、10勝を挙げて見事新人王に輝きました。

5月途中まで5勝を挙げるなど好調な滑り出しを見せましたが、その後は交流戦では2回でマウンドを降りる登板もあるなど失速。夏場にはふくらはぎを痛め途中降板するシーンもあり、中々勝てない時期が続きましたが、前田健太とともに最後まで先発ローテを守り続け、10勝の大台まで何とか達することが出来ました。

個人的には、上記の首位攻防戦3連敗後の9/6の横浜戦で挙げたプロ入り初完封勝利が印象的です。まだストレートとカットボールの二択しかないような、今よりも荒削りな投手でしたが、グリエル・ブランコ・筒香嘉智らを真っ向勝負でねじ伏せていく様は非常に痛快だった記憶があります。この後、リリーフ転向など紆余曲折を経ますが、最終的に広島のエースまで辿り着くこととなります。

2015年

69勝71敗3分 勝率.493  4位
主要メンバー
SP:前田健太、ジョンソン、黒田博樹、福井優也、野村祐輔、薮田和樹
RP:大瀬良大地、中崎翔太、戸田隆矢、ヒース、一岡竜司、永川勝浩
C:會澤翼 1B:新井貴浩 2B:菊池涼介 3B:梵英心 SS:田中広輔 LF:エルドレッド
 CF:丸佳浩 RF:シアーホルツ 
ベンチ:石原慶幸、鈴木誠也、松山竜平、野間峻祥、ロサリオ、小窪哲也

①黒田博樹・新井貴浩の広島復帰

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この年最大のトピックは間違いなく、かつてのエースと4番である黒田博樹と新井貴浩のチーム復帰でしょう。2007年オフ、同時期にFA権を行使して新井は阪神に、黒田はドジャースへと移籍しましたが、その二人が同時期にチームに復帰することとなったことに、何かしら運命めいたものを感じずにはいられません

成績面では、黒田は強力先発陣の一角を担い11勝/防御率2.55と、前年までヤンキースのローテを務めた投手として、最低限の働きは見せました。一方の新井も、当初は代打要員としての期待が大きかったですが、外国人選手の不振によって徐々にスタメンの機会を増やし、最終的には4番に座るなど想像以上の働きを見せました。

ただ、この二人の加入は上記のような成績面だけでなく、それ以外の面でも非常に大きな効果をもたらしたように思います。新井は精神的支柱として、野手と投手の間を取り持ったり、内紛を裁いたりしていたようですし、福井優也や野村祐輔に代表されるように黒田のアドバイスを取り入れて成績を向上させた選手も多くいます黒田はMLBレベルのマインドやテクニックを、新井は和の心をチームにもたらしたのです。

②緒方新政権発足

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前年優勝争いを繰り広げ、オフには黒田博樹と新井貴浩の復帰と、優勝が現実的に見えてきたタイミングで緒方孝市新政権の誕生となりました。否が応でも期待が高まるシーズンとなりましたが、結果はCS出場すら果たせない4位に終わり、多くのファンの期待を裏切る結果となってしまいました。

機動力野球への異常な信仰からか無駄な盗塁死が多く、選手起用も不可解な点が目立ち何かと叩かれる機会が多かったように感じます。「キクマル」コンビの不振やリリーフ陣の不振があったという点はありますが、リーグでも上位の野手力と強力先発4本柱を擁しながらこの成績では、決して戦力を上手く活用出来たとは言い難いでしょう。また新井宏昌打撃コーチとの確執も報じられるなど、監督として未熟な部分ばかりが目立った一年でした。

③隙あらば野間

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高い身体能力を持ち、2014年ドラフトにおいて緒方監督から高い評価を受け、1位入団を果たしたのが野間峻祥でした。外野の人材は正直事足りているような印象でしたが、1年目から一軍に定着し、OPS.656とルーキーとしてはまずまずの打撃成績を収めています。普通なら有望な若手の登場に歓喜するところですが、残念ながらそうはなりませんでした。

なぜなら起用法があまりにファンの想像の斜め下を行っていたからです。OPS.656レベルの打力ながら、なぜか1番打者や2番打者や6番打者といったキーポイントとなる打順で起用されたり、守備固め・代走で兎に角試合に出場させ、チーム4位の127試合に出場する様が、ファンのヘイトを買ってしまい、「隙あらば野間」というワードを生んでしまいました

この経験を糧に野間がレギュラーを掴み取ってくれれば良かったのですが、2020年現在でもそうはいっておらず、初年度に過剰な期待をかけて無理矢理起用を続けたのが悪い方向に働いた気がしてなりません。

2016年

89勝52敗2分 勝率.631  1位
主要メンバー
SP:ジョンソン、
野村祐輔、黒田博樹、岡田明丈、福井優也、九里亜蓮
RP:ヘーゲンズ、今村猛、ジャクソン、中崎翔太、一岡竜司、オスカル
C:石原慶幸 1B:新井貴浩 2B:菊池涼介 3B:安部友裕 SS:田中広輔 LF:エルドレッド
 CF:丸佳浩 RF:鈴木誠也 
ベンチ:松山竜平、ルナ、會澤翼、下水流昴、小窪哲也、天谷宗一郎

①25年ぶりのリーグ優勝

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2016年と言うと、広島ファンにとっては死ぬまで忘れられない年となることでしょう。なぜなら、25年ぶりのリーグ優勝を遂げたシーズンであったからです。前年の戦力から絶対的なエースである前田健太が抜け、シーズン前は最下位予想も少なくありませんでしたが、見事にその前評判を覆す結果を出してみせました。

前年不調だった「キクマル」コンビの復調に田中広輔が加わる形で「タナキクマル」トリオを形成。加えて、クリーンナップを担った新井貴浩・エルドレッド・松山竜平を調子・相性・疲労度で使い分けるといった野手運用が功を奏しました。前年課題だったリリーフ陣も、今村猛の復活とヘーゲンズ・ジャクソンの大車輪の活躍でむしろ強みとして機能することとなりました。

前年は未熟さが目立った緒方監督ですが、シーズン前に「去年の俺には『バカ』だと言ってやる」と言った通り変わった姿を見せて、特に野手運用ではその手腕を遺憾なく発揮したように思います。ただ日本シリーズでは、2勝先行しながら4連敗で日本一を逃し、翌年以降への課題も残した一年となりました。

②神ってる男・鈴木誠也の大ブレイク

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2016年、球界を通じても最もブレイクした選手を挙げるならば、鈴木誠也になるのではないでしょうか?前年も高卒3年目ながら97試合に出場し、5本塁打/OPS.732と一定の結果を収めていましたが、2016年は29本塁打/OPS1.015と圧倒的な打撃成績を収める素晴らしい成績。MVP投票では3位に入る活躍ぶりで、日本を代表する野手の一人に名乗りを上げるシーズンとなりました。

その活躍ぶりを振り返る上で欠かせないのは、交流戦での2試合連続サヨナラ弾&3試合連続決勝弾なのは間違いないでしょう。この活躍ぶりを緒方監督から「神ってる」と評されたことで、全国的な知名度も大きく上昇したように思います。

2016年以降も足首の故障こそあったものの順調に成績を積み重ね、いまや日本代表の4番を打つまでに成長しました。野球に関する向き合い方やチームリーダーとしての資質も十分で、広島史上でも「ミスター赤ヘル」こと山本浩二と並ぶような最高の選手となりつつあるように感じます。この先のMLB挑戦も視野に入っているようですし、更にレベルアップした姿を楽しみにしたいと思います。

③新井貴浩・黒田博樹の大記録達成

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チームの精神的支柱として、投手と野手をそれぞれまとめきった黒田博樹と新井貴浩ですが、この年は成績面でもチームを牽引してみせました。

黒田は42歳ながらローテで回り続け10勝をマークし、7/23には日米通算200勝の大記録を達成しました。その他にも40代で完封勝利を挙げたり、優勝決定試合で先発を務めたりと、現役最終年ながらそれを感じさせない素晴らしい働きを見せてくれました。

新井も主に4番に座り打点を量産。2010年以来の100打点を達成するとともに、MVPも獲得するなど、キャリアハイに近い成績を39歳で達成する驚異のシーズンを送りました。加えて4月には2000本安打を達成、8月には300本塁打を達成するおまけ付きで、初のリーグ優勝も経験するまさに記録づくめの一年となりました。

2017年

88勝51敗4分 勝率.633  1位
主要メンバー
SP:
野村祐輔、大瀬良大地、岡田明丈、薮田和樹、ジョンソン、九里亜蓮
RP:今村猛、ジャクソン、中崎翔太、一岡竜司、中田廉、ブレイシア
C:會澤翼 1B:エルドレッド 2B:菊池涼介 3B:安部友裕 SS:田中広輔 LF:松山竜平
 CF:丸佳浩 RF:鈴木誠也 
ベンチ:新井貴浩、西川龍馬、石原慶幸、バティスタ、野間峻祥、岩本貴裕

①37年ぶりのリーグ連覇

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2017年は黒田博樹という精神的支柱が抜け、その穴が心配されましたが、シーズンに入るとその穴を感じさせない横綱相撲ぶりを見せつけ、前年を上回る勝率で見事リーグ連覇を成し遂げました。

「タナキクマル」が並ぶ上位打線に鈴木誠也が4番として加わり、パワーとスピードを兼ね備えた打線を形成「逆転のカープ」と呼ばれるような終盤での勝負強さも相まって、他球団にとっては何点差あっても脅威を感じる圧倒的な得点力を誇りました。投手陣も先発陣では岡田明丈と薮田和樹がブレイクし黒田の穴を埋めてみせ、リリーフ陣も登板数上位5名がいずれも防御率2点台以下の安定ぶりで、最早隙なしの布陣だったと言えましょう。

しかし、8月に鈴木の故障離脱から少しづつ潮流が変わり始め、2週間試合間隔が空いてピークアウトしてしまったCSでは横浜に足を掬われることとなってしまいます。戦力的にはこの年が最も盤石だっただけに、ベストメンバーでソフトバンクとがっぷり四つを組む日本シリーズを見てみたかったですが…

②薮田和樹の大ブレイク

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3連覇を遂げたこの3年は、いずれもシンデレラボーイが現れ、チームを優勝に導いていますが、2017年のシンデレラボーイはこの薮田和樹で間違いないでしょう。

亜細亜大学時代はリーグ戦登板は2試合のみながら、潜在能力を評価されドラフト2位指名を受けて当時話題となりました。プロ入り後は即戦力とはならずも、着実に実力を付け、2017年はリリーフで開幕一軍の座を掴み取ります。その後、野村祐輔の故障離脱を受けて、交流戦から先発に転向すると見事な投球を披露。そこから12勝を積み重ね、最高勝率のタイトルを獲得することとなりました。

その投球の持ち味は、小さなテークバックからアベレージで150km近い球速を記録する力強いストレートもそうですが、「スラッター」のような質のカットボールと亜大ツーシームと左右両打者にとって逃げていくボールの質の高さでしょう。これによって奪三振とゴロを量産し、イニングイートの量を増やしていきました。その後は球速の低下に伴う制球難に苦しんでますが、今季こそ何とか復活を期待したいものです。

③盤石の野手力

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このリーグ連覇を支えたのは紛れもなく歴代でも屈指の野手力でした。上述の「タナキクマル」+鈴木に加えて、新井貴浩・エルドレッド・松山竜平・バティスタのポイントゲッター4枚を疲労度を抑えながら順番に回すことで、個々の貢献を最大化させることに成功しました。

その他にも、會澤翼は捕手としてはお釣りのくるレベルの打力を発揮しましたし、主に3Bを務めた安部友裕も打率.300に乗せるなどパワーとスピードを組み合わせた打線は、歴代でも屈指の傑出力を持つ打線となりました。加えてディフェンス面も、UZRベースで見るとリーグトップの28.5を記録するなど、走攻守いずれの面でも隙のない盤石の野手力が黄金時代を再び広島にもたらしたのです。

2018年

82勝59敗2分 勝率.582  1位
主要メンバー
SP:大瀬良大地、ジョンソン、岡田明丈、
九里亜蓮、野村祐輔、中村祐太
RP:アドゥワ誠、中崎翔太、フランスア、一岡竜司、ジャクソン、今村猛
C:會澤翼 1B:松山竜平 2B:菊池涼介 3B:西川龍馬 SS:田中広輔 LF:
野間峻祥 CF:丸佳浩 RF:鈴木誠也 
ベンチ:バティスタ、安部友裕、新井貴浩、石原慶幸、エルドレッド、下水流昴

①巨人以外では初のリーグ3連覇達成

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戦力的には前年から殆ど変化なく迎えた2018年は、交流戦で多少つまづいた以外は順調に白星を重ね、トータルでの成績こそ落としましたが、過去2年は出来なかった地元広島での胴上げを果たすことに成功しました。

野手では不振で一時「タナキクマル」の並びが解体されることもありましたが、丸佳浩と鈴木誠也のツインバズーカや會澤翼・野間峻祥の打撃の本格覚醒によってその不振を補い、強みであった得点力を維持することに成功しました。投手陣は大瀬良大地の覚醒とジョンソンの復調があったものの、野村祐輔・岡田明丈・薮田和樹が不振で先発は強みとなり得ず、リリーフも今村猛とジャクソンの不振で今一つでしたが、強力な野手力の庇護を受けて何とかリーグ優勝へ辿り着くことが出来ました。

しかし、過去2年と同様にポストシーズンで敗退。日本シリーズに進出こそしましたが、ソフトバンク・甲斐拓也の強肩の餌食となり、またも日本一はお預けとなりました。シーズン通りの野球に終始し、短期決戦の戦い方が不得手な緒方政権の弱点は最後まで解消されないままでした。

②彗星の如く登場したフランスア

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薮田のところでも述べましたが、この3連覇中は毎年誰もここまでの活躍を予測していないシンデレラボーイが出現し、チームの優勝に大きく貢献してきました。2018年のシンデレラボーイは、フランスアで間違いないのではないでしょうか。

元々練習生として広島には在籍していましたが、この年の3月に育成契約を結ぶと、僅か2か月後の5月には支配下契約を結ぶこととなります。当初は先発として起用されていましたが、ロングリリーフで好投したことと、今村とジャクソンの不振でリリーフ不足に苦しむ台所事情を受けてセットアッパーへ転向。相手チームの打者も、口を揃えてホンモノと認めるアベレージ150km超えのストレートを武器に、打者を次々とねじ伏せていきました。

回跨ぎや連投も厭わず、月間最多登板記録を更新するなど、ボールだけでなくタフさもこのフランスアの大きなウリとなり、リリーフに苦しんだチームの文字通り救世主となってみせました。2019年はクローザーとして起用されるケースも増えましたが、投げ過ぎも祟って本来のストレートの威力を失い、セーブ失敗も多く見られました。2020年は、まず本来の球威を取り戻してほしいところです。

③丸佳浩・鈴木誠也の強力ツインバズーカ

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田中広輔と菊池涼介がコンビを組む1、2番打者が不振に陥り、新井貴浩やエルドレッドといったベテランの調子も上がらない中で得点力の優位性をキープ出来たのは、間違いなく丸佳浩と鈴木誠也のツインバズーカの存在があってでしょう。

3番を打つ丸は、例年以上に長打力を増した姿を見せ、自己最多を16本も更新する39本塁打をマーク。出塁率も.468と驚異の数値をマークし、その他の打者の不振を埋める活躍を見せました。故障上がりの鈴木も、欠場する試合もありましたが基本的には4番に座り、自身初の30本塁打到達に加えOPSは1.057と驚異的な数値を残しました。両者OPSは1を優に超える数値で、球史に残るレベルのコンビであったことは間違いないと思います。

日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめblogさんの上記記事によると、RCWINベースで歴代では33位の傑出度で、チーム史上で見ると1位の傑出度を誇るコンビだったようです。ただこのコンビは、丸のFA移籍によって終止符が打たれることとなります。もっと長くこのコンビを見たかったですが…

2019年

70勝70敗3分 勝率.500  4位
主要メンバー
SP:大瀬良大地、ジョンソン、床田寛樹、九里亜蓮、
野村祐輔、アドゥワ誠
RP:フランスア、菊池保則、レグナルト、中村恭平、中崎翔太、遠藤淳志
C:會澤翼 1B:バティスタ 2B:菊池涼介 3B:安部友裕 SS:田中広輔 LF:松山竜平
 CF:西川龍馬 RF:鈴木誠也 
ベンチ:野間峻祥、小園海斗、長野久義、メヒア、小窪哲也、磯村嘉孝

①4連覇はおろかAクラス入りまで逃す

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セリーグではV9巨人以来のリーグ4連覇を目指して始まった2019年シーズンですが、10連勝すれば10連敗するような波の激しさや、田中広輔や松山竜平といった3連覇戦士の不振も響き、優勝はおろか3位すら逃す結末でシーズンを終えることとなりました。この結果の責任を取り、緒方監督は辞任することとなり、2010年代の終焉とともに広島も新たな時代へと向かうこととなりました。

4位に沈んだ要因として、最も大きかったのは丸佳浩の巨人への移籍であることは間違いありません。センターラインでハイレベルな走守とOPS.900~1.000を期待できる打力を持ち合わせた選手の穴は、あまりに大きなものでした。野手補強も人的補償の長野久義くらいで、補強を怠ったこともこのような事態を招いた主因であるように思います。

ただ、西川龍馬の覚醒や貴重な経験を積んだ小園海斗、投手陣にも楽しみな若手が複数出て来ており、2020年代に視点を向けると明るい光が既に差し込んでいる状態です。あとはその光が差し込んでいる方に向かうことが出来るか、フロントや首脳陣の手腕が問われるところです。

②良くも悪くもバティスタ依存

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10連勝もあれば10連敗もするチームと述べたましたが、その不安定さの要因は得点力にありました。連勝中は高い得点力を持っていたものの、連敗中は一気にその得点力は萎むといった具合です。その中心にいたのは間違いなくバティスタでした。

長打力不足に苦しんだチームの中で、パワーヒッターであるバティスタの存在は非常に大きなものとなっていました。実際バティスタが3番スタメン時には、勝率が圧倒的に高いというデータが出ており、その存在の大きさはデータでも証明できます。ただバティスタの特徴として好不調の波が非常に激しいところがあり、それがモロにチーム成績に影響してきたのでしょう。

そして、ドーピング違反が発覚した8月後半以降、スタメンからバティスタの名前が消えたチームは浮上できず、4位に終わることとなってしまいます。「タナキクマル」が解体され、一人の選手に依存する形が出来上がってしまった行く末がこうなることが分かっただけでも、良い勉強になったと思いたいところです。

③ゴールデンルーキー・小園海斗

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2018年のドラフトにて4球団競合の末、広島が交渉権を獲得したのが小園海斗です。そのセンスの高さは当初から非常に評価が高く、開幕一軍の座も実力で掴み取るほどです。しかし、不動のSS田中の存在がある中で、一軍での出場機会はまだまだ先になるのではとの見立てが多くありましたが、田中が右膝の故障が起因の大不振に苦しんでいたことで、小園にお鉢が回ってくることとなりました。

後半戦は完全にレギュラーに定着。高卒ルーキーながら打率.213で4本塁打を放つなど、その才能の一端を示してみせました。しかし、まだまだ粗さが目立つ場面が守備走塁面も含めて多く、田中も2020年は指を咥えて見ているだけではありません。2020年代を小園の時代としていくために、2020年のレギュラー奪取を期待しましょう。

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