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朝顔高校 vs 白薔薇高校

俺は南雲達也。高校2年生。朝顔高校野球部に所属するエースピッチャーだ。
1週間後に白薔薇高校との試合を控えた俺たち野球部は、会議室でミーティングを行っていた。

監督「1週間後に行われる白薔薇高校との試合だが、先発はエースの朝倉で来る可能性が高い。真壁、白薔薇高校の主力メンバーに関する情報を頼む」

真壁「分かりました、監督。まず、当日の先発が予想されるエース朝倉についてですが、球速は最高155キロ。スライダーを武器としており、直近の試合は全て0点に抑えています」

南雲「おいおいマジかよ・・・勝てんのか?うちのチーム」

真壁「続いてキャッチャーの梅野についてですが、強肩が持ち味の選手でここ最近の試合では、盗塁を全て阻止しています」

南雲「となると、田中部長の足でも盗塁は難しいってことか・・・」

田中「おいおい、聞き捨てならねえな。やってみなきゃ分かんねえだろ。大丈夫、俺に任せろ」

南雲「さっすが部長!!頼りにしてます!!」

監督「おいお前ら!!静かにしろ!!」

南雲、田中「はい、すいません!!」

真壁「・・・え〜ゴホン。では話を続けます。続いて、ショートの桜庭についてですが、特筆すべき点はやはり足の速さです。直近の試合の盗塁成功率は100%。守備範囲もかなり広いです」

真壁「そして、僕らが最も警戒すべき人物は白薔薇の主砲、ゴンザレスです。高校通算2451本もの本塁打を放っており、彼をいかに抑えるかが勝敗のカギになるかと思われます」

南雲「え、ちょっと待って。桁数おかしくない!?」

監督「真壁、情報ありがとう。やはり要注意人物はゴンザレスか・・・」

南雲「え、監督もスルーしちゃう感じ?」

監督「真壁の情報からも分かる通り、白薔薇高校は手強い相手だ。全員、心してかかるように」

部員全員「はい!!!」

南雲「結局みんなスルーなのね・・・」

その後も俺たちは何度もミーティングを開き、対策を練り続け、そして試合当日を迎えた。

望月アナ「さあ、やってまいりました。県大会決勝戦。朝顔高校対白薔薇高校の試合がまもなく始まろうとしています。勝利を手にするのはどちらの高校なのでしょうか?実況はワタクシ、望月隆と解説に元プロ野球選手の岩田英明さんをお招きしております。今日はよろしくお願いいたします」

岩田「よろしくお願いします」

望月アナ「岩田さん。いや〜今日は非常に楽しみな一戦ですね〜」

岩田「そうですね〜。南雲くんとゴンザレスくんの対決が見られるわけですからね〜」

望月アナ「はい。令和の怪物同士の戦いはどちらに軍配が上がるのでしょうか?それではまもなく試合開始です!!」

ウグイス嬢「1回の表、朝顔高校の攻撃は1番、ライト、田中くん」

審判「プレイ!!」

南雲「頼みますよ〜特攻隊長〜!!」

田中「絶対塁に出てやらあ!!!」

朝倉「私の球が、そう簡単に、打てるわけないでしょ!!」

ドンッ!!!

審判「ストライーーク!!!」

田中「は、はええ・・・」

南雲「おいおいマジかよ・・・」

朝倉「女子だからって、ナメないでよねっ!!!」

田中「このっ!!」

審判「ストライーーク、ストライーーク、バッターアウト!!」

望月アナ「空振り三振ーー!!先頭バッター田中、バットにかすりもしませーん!!」

南雲「思ってた以上にやべえな、あのピッチャー・・・」

ウグイス嬢「2番、ショート、佐藤さん」

南雲「頼むぞ佐藤〜!!!」

佐藤「よっしゃあ!! 来い!!」

朝倉「女の子だからって、容赦しないよっ!!」

審判「ストライーク、ストライーク、ストライーーク!!バッターアウト!!」

真壁「ドンマイ、ドンマーイ!! 切り替えてこーー!!」

ウグイス嬢「3番、ピッチャー、南雲くん」

南雲 (うちの1,2番コンビがこうもあっさりやられるとは・・・。絶対塁に出てやる!!)

朝倉 (南雲達也。要注意人物の内の1人。絶対抑える!!)

ドンッ!!

審判「ストライーーク!!」

南雲 (やっぱ速えなあ。全然当てられる気がしねえ)

南雲 (でもなあ、ここで諦めるわけには、いかねえんだよっ!!)

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!!だがそこにはショート桜庭選手ーー!!」

桜庭「ざんねん♡」

審判「アウトーー!! スリーアウト、チェンジ!!」

南雲「クッソ〜」

真壁「ドンマイ、ドンマイ!!いい当たりだったよ、南雲!!」

望月アナ「いや〜初回から素晴らしい攻防が繰り広げられていますね〜岩田さん」

岩田「そうですね〜。南雲選手の打撃能力の高さ、桜庭選手の守備範囲の広さ、どちらも非常に素晴らしかったと思いますよ」

望月アナ「はい。その辺りも注目して見ていきましょう」

ウグイス嬢「1回の裏、白薔薇高校の攻撃は1番、ショート、桜庭さん」

桜庭「よろしくお願いします♪」

真壁「あ、どうもご丁寧に」

南雲 (コイツはたしか、ミーティングで名前が挙がってた選手だよな・・・。気を抜いたら一瞬でやられる)

真壁 (大丈夫だ、南雲。お前が本気を出せばそう簡単に打たれはしない。だから全力で来い!!)

南雲 (分かってるよっ!!)

ドンッ!!!

審判「ストライーーク!!」

望月アナ「いきなり160キロのまっすぐーー!!初球からアクセル全開です!!南雲投手!!」

桜庭 (想像以上に速いですね・・・)

南雲「打てるもんなら、打ってみやがれっ!!!」

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!!センター前ヒットーー!! 160キロのストレートをいとも容易く打ち返しました、桜庭選手!!」

南雲「マジかよ・・・」

真壁「落ち着け、南雲。まだ焦るところじゃない」

南雲「ああ、分かってるよ」

ウグイス嬢「2番、ピッチャー、朝倉さん」

朝倉 (絶対に打つ!!)

南雲 (打たせねえよっ!!!)

望月アナ「1塁ランナー走った!!」

南雲 (いきなりかよ!!)

審判「セーフ、セーフ!!」

望月アナ「初回からいきなり盗塁を決めてきました、桜庭選手!!」

桜庭「やったーー♪」

望月アナ「ノーアウト2塁。早くもピンチの場面を迎えております、南雲投手!!」

真壁 (大丈夫。お前の球なら絶対抑えられる!!来い!!)

南雲 (ったく、お前は本当に、頼もしいキャッチャーだよっ!!)

審判「ストライーク、ストライーク、バッターアウト!!」

望月アナ「空振り三振ーー!!バッター朝倉、全く手が出なーい!!」

南雲「しゃああああっ!!!」

ウグイス嬢「3番、キャッチャー、梅野さん」

朝倉「頑張ってーー梅野さーーん!!」

梅野「任せて〜仇は取ってあげるからね〜」

南雲「オラッ!!」

審判「ストライーク、ストライーク、ストライーク!! バッターアウト!!」

望月アナ「空振り三振ーー!!二者連続三振ーー!!ピンチの場面でギアが入った南雲投手!!そしてここで迎えるのはーー」

ウグイス嬢「4番、サード、ゴンザレスくん」

望月アナ「白薔薇の主砲、ゴンザレス選手です!! このピンチを切り抜けることができるのでしょうか?南雲投手!!」

望月アナ「おおっと?ゴンザレス選手、バットを高く掲げたぞーー?? これはもしや・・・ホームラン宣言だーー!!」

ゴンザレス「一発でケリをつけてあげる」

南雲「チッ、ナメやがって。俺の球が、そう簡単に、打てるかよっ!!」

カキーンッ!!!

望月アナ「打ったーー!! これは文句なしの一発ーー!! 宣言通りのホームラーン!!4番ゴンザレス、圧倒的なパワーを見せつけましたーー!!」

南雲「ウソ・・・だろ・・・」

桜庭、ゴンザレス「イエーーーイ♪」(ホームでハイタッチしてるシーン)

望月アナ「2対0!! 白薔薇高校、早くも先制点を決めましたーー!!」

南雲「・・・」

真壁「おい、しっかりしろ、南雲!!」

真壁「2点差くらいでクヨクヨすんな!!そんなの僕たちがすぐに取り返してやる!!」

南雲「真壁・・・」

真壁「お前は一人で戦ってるんじゃない。それを忘れるな」

南雲「そうだよな。大事なことを忘れるところだったぜ。ありがとな、真壁」

真壁「頼むぜ、相棒。この試合、絶対勝とう」

南雲「ああ!!」

ウグイス嬢「5番、ファースト、吉岡さん」

吉岡「あたし、帰ってもええかな?ウチ帰ってゲームしたいんやけど」

桜庭、朝倉、梅野、ゴンザレス「吉岡さん!?」

梅野「この試合終わったらゲーム買ってあげるから!!だから頑張って〜!!」

吉岡「しょうがないな〜。眠いけど頑張りますかあ〜」

南雲 (なんだコイツ。身体の力みが全く感じられねえ。本当に打つ気あるのか?)

ドンッ!!

審判「ストライーーク!!」

桜庭「ねえ。吉岡さん、寝てない・・・?」

朝倉、梅野、ゴンザレス「ええええええええ!!??」

朝倉、梅野、ゴンザレス「起きろ吉岡ーー!!!」

審判「ストライーク、ストライーク!! バッターアウト!!スリーアウト、チェンジ!!」

南雲「しゃあああああっ!!」

望月アナ「南雲投手、気迫のピッチング!! 後続を見事抑え、味方の援護を待ちます!!」

初回に2点を先制された朝顔高校だったが、それ以降は投手戦が続き、迎えた5回。試合が動き始めた。

ウグイス嬢「5回の表、朝顔高校の攻撃は3番、ピッチャー、南雲くん」

南雲「しゃああああっ来い!!!」

梅野 (南雲くんはここまでいい当たりが続いてる。ボールでもいい。クサい所を狙っていこう)

朝倉 (はい、分かりました)

朝倉 (絶対に打たせない。勝つのは私たちだ!!)

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!! レフト前ヒットーー!! 朝顔高校、この試合初めてのヒットが出ました!!そして迎えるのは・・・」

ウグイス嬢「4番、キャッチャー、真壁くん」

田中「頼むぞ真壁ーー!!」

南雲「打てよ4番!!」

梅野 (真壁くんは一発があるから要注意。フォアボールでもいいからクサい所を狙っていきましょう)

朝倉 (分かりました)

朝倉 (大丈夫。点差は2点。まだ焦るところじゃない。落ち着け、私)

朝倉 (ふう〜)

望月アナ「ノーアウト1塁。第1球投げました!!」

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!! 伸びる、伸びる、伸びる!! 入ったーー!!同点ホームラーン!!4番の一振りで同点ーー!!」

南雲「さっすが4番!! 有言実行だな!!」

真壁「言ったろ?2点差くらいすぐに取り返すって。まだまだこれからさ」

南雲「頼りにしてるぜ、相棒!!」

その後も朝顔高校は更に1点を追加し、迎えた5回裏。俺たちは最大のピンチを迎えることになる。

ウグイス嬢「5回の裏、白薔薇高校の攻撃は1番、ショート、桜庭さん」

桜庭「後輩の仇は、私が取る!!」

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!! ライト前ヒットーー!! 初球を完璧に捉えましたーー!!」

ウグイス嬢「2番、ピッチャー、朝倉さん」

桜庭「朝倉さん、頑張れーー!!!」

朝倉「桜庭さん・・・」

桜庭「絶対に勝って、みんなで甲子園行こーー!!」

朝倉「はい!!」

南雲「甲子園に行くのは、俺たちだ!!!」

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!!センター前ヒットーー!! ノーアウト1、3塁!!逆転もありえるという場面で迎えるバッターは梅野選手!!」

梅野 (みんなと野球ができるのは、今年で最後なんだ!! だから、絶対に負けられない!!)

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!!しかし、ライトフライ。飛距離が足りません。ですが、犠牲フライには十分な距離があります。さあ、タッチアップ、ランナー走った!!」

田中「俺の肩を、ナメんなよっ!!」

望月アナ「ライト田中の鋭い送球!!判定は?」

望月アナ「アウト!!これはアウトです!!ライト田中の素晴らしい送球に助けられました、南雲投手!!」

南雲「ナイス、部長ーー!!! あんた最高だよっ!!!」

望月アナ「さあ、まだまだ油断はできません。続いて迎えるバッターは4番ゴンザレス!!」

ゴンザレス「次もホームランを打ってあげる。覚悟しなさい」

南雲 (一発が出れば逆転の場面。甲子園まで取っておきたかったが、あれを使うしかねえな)

南雲 (真壁、あれ使うぞ)

真壁 (分かった。でも、コースには気をつけろよ。甘い球は一発KOだからな)

南雲 (ああ、分かってるよっ!!!)

ゴンザレス (ストレートじゃない!? これは・・・)

審判「ストライーーク!!」

ゴンザレス (チェンジアップ!!!)

望月アナ「南雲投手、この試合初めてチェンジアップを投げました!!いかがですか、解説の岩田さん」

岩田「いや〜非常に素晴らしいチェンジアップですね〜。160キロのストレートにチェンジアップが加われば、ゴンザレスくんと言えど、捉えるのは難しいかもしれません」

ゴンザレス (坊や、やるわね・・・。いいわ、私も本気を見せてあげる)

ゴンザレス「タイムお願いします」

審判「タイム!!」

ゴンザレス「はあああああああああああっ!!!!」

望月アナ「ど、どうしたのでしょうか!?ゴンザレス選手の身体が更にムキムキになっております!! 本当に高校生か、この人!?」

ゴンザレス「待たせたわね。試合を再開しましょう」

審判「プレイ!!」

南雲「ははっ・・・威圧感ハンパねえな」

真壁 (ビビるな、南雲。大丈夫。お前の球なら絶対打たれない)

南雲 (ったく、お前って奴は・・・。投手をノセるのが、上手いよなっ!!)

カキーンッ!!

望月アナ「打ったーー!!だがそこにはショート佐藤ーー!! 6・4・3のダブルプレー!! 南雲選手、主砲ゴンザレスを打ち取り、このピンチを切り抜けましたーー!!」

南雲「しゃああああああっ!!!」

その後も尻上がりに調子を上げた俺は、相手打線を完璧に打ち取り、そしてあと1アウトで勝利というところまで来た。

望月アナ「さあ、9回の裏、2アウト。バッターは桜庭選手!! あと1人抑えれば、朝顔高校の優勝が決まります!!」

桜庭「私は、最後の最後まで絶対諦めないから!!」

朝倉「桜庭さん、頑張れーー!!」

梅野「負けるな桜庭ーー!!」

南雲 (俺たちも、甲子園優勝するまで、負けられねえんだよ!!)

カキーンッ!!

審判「ファール!!」

南雲「あっぶねえ・・・」

南雲「オラッ!!」

桜庭「くっ・・・」

カキーンッ!!

審判「ファール!!」

望月アナ「さあ、早くも追い込みました。2ストライク、ノーボール。南雲投手、見事抑えることができるのでしょうか!!」

南雲「これで、終わりだっ!!!」

ドンッ!!!

審判「ストライーーク!!バッターアウト!!ゲームセット!!」

望月アナ「試合終了ーー!! 朝顔高校、県大会優勝を決めましたーー!!」

南雲「やったぞーーーー!!!!」

田中「よくやった南雲ーー!!!」

真壁「ま、僕のリードのおかげかな」

望月アナ「そして惜しくも敗れた白薔薇高校。観客席からは惜しみない拍手と声援が聞こえてきます」

客A「よく頑張ったなーー」

客B「感動をありがとう〜」

客C「最高の試合だったぞーー」

拍手 パチパチパチパチパチ

ゴンザレス「一同、整列!!」

ゴンザレス「今までチームを応援していただき、ありがとうございましたー!!」

部員全員「ありがとうございましたーー!!」

ソフィア「ゴンザレス!!」

ゴンザレス「母さん!?」

ソフィア「3年間お疲れ様!!本当によく頑張ったわね!!あなたは私の自慢の息子よ!!」

ゴンザレス「くっ・・・ううっ・・・ありがとう、母さん・・・」

望月アナ「さあ、そろそろエンディングのお時間がやってまいりました。県大会決勝戦、朝顔高校対白薔薇高校の試合は3対2で見事、朝顔高校の勝利という結果になりました」

望月アナ「本日の解説は岩田さん、実況はワタクシ、望月隆がお送りいたしました。岩田さん、今日はどうもありがとうございました」

岩田「ありがとうございました〜」

望月アナ「それではまた次回お会いしましょう。さようなら」

おしまい

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