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暁山瑞希について考察。瑞希にとってボクとは

0.はじめに

  こちらの記事にて各メンバーを軽く紹介・考察しているので、是非ご覧ください。
  また、瑞希に関してはニーゴ全体考察にて軽くというかかなり芯の部分まで触れたので是非記事を見てほしい。


1.自己表現

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第1話 「ボクと文化祭」

  瑞希は容姿が目立つため、普段であれば学校も乗り気ではないが、文化祭は少数派の存在が薄くなる。ボクがボクであるための表現を阻害されない状況が少しでも良い方面なのであれば、参加するのも当然だ。また、仲の良い杏に誘われているっていうのもあるだろうけどね。

  では、杏は瑞希の隠し事に気づいているのだろうか。

屋上のフレンドシップ 暁山瑞希 サイドストーリー(前編)

  瑞希からはちゃんとは話してはいないということが現時点でわかる。
どの程度話しているのかという点だが、杏は瑞希の不安要素ではないのでここは割愛させたいただく。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第1話 「ボクと文化祭」

  文化祭といえばクラスTシャツ。おそらく杏は瑞希に『文化祭だし、着よ~』くらいのノリだったと思う。ただ、瑞希にとって『クラスTシャツ』と『お揃い』は自己表現の足枷なのだ。

  瑞希が瑞希でいるには、瑞希が領海に定めた範囲でないといけない。それらは領海範囲外であるということ。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第5話 「お揃いのシャツ」

  そんな瑞希の前に、以前多数派意見を押し付けた2人組が再登場します。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第5話 「お揃いのシャツ」

  瑞希はその場しのぎの理由で回避しますが、この2人組からの発言はやはり少数派に配慮してない言葉です。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第5話 「お揃いのシャツ」

  瑞希にとってお揃いという感覚は経験が少ない、あるいは未経験であると思います。そもそも少数派がお揃いになる機会もないので遭遇率は限りなく0%に近いです。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第6話 「いつかの文化祭」

  そんな瑞希は屋上に行くと中学生からの友達の類に出会います。中学生の時と今の高校生の時では環境も状況も違う。中学生時代、華やかな文化祭という催し物に参加しない少数派の2人とって、それは傍から見れば「変な奴」だ。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第7話 「ふたりぼっちの屋上で」

  でも、瑞希から見る類は『クラスTシャツ』を着て『お揃い』になって、文化祭に参加する多数派になっているのだ。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第7話 「ふたりぼっちの屋上で」

  瑞希にとってニーゴは仲間というより「孤独な仲間」だ。そしてニーゴは居場所であり自己表現ができる場所だ。「孤独じゃない仲間」も見つけられるのだろうか。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第8話 「ボクの文化祭」

  簡単だった。というかもう既にいたのだ。屋上という少数派の場所が、いつしか多数派の場所に切り替わっていた。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第8話 「ボクの文化祭」

  多数派の海に瑞希はいる。クラスTシャツを着ることで、瑞希はよりその海の中心に入ることになる。

イベントストーリー KAMIKOU FESTIVAL! 第8話 「ボクの文化祭」

  でも、瑞希は瑞希です。クラスTシャツは着てもアレンジを加える。そうすれば、多数派の海に飲まれながらも自分の存在感を打ち出すことができる。これがボクの文化祭


2.孤独と仲間

イベントストーリー シークレット・ディスタンス 第6話 「同じ桜なのに」

  そんな瑞希のニーゴメンバーの大切さをMEIKOは改めて聞く。それでも瑞希はまだ『仲間』と表現する。

イベントストーリー シークレット・ディスタンス 第6話 「同じ桜なのに」

  MEIKOはそんな3人たちとこれから、一緒にいられるといいわねと俯瞰する。瑞希は少し暗い表情で言葉を帰す。

イベントストーリー シークレット・ディスタンス 第6話 「同じ桜なのに」

  昔みた桜の景色は良い思い出がない瑞希。『春は出会いの季節』でもあるし『春は別れの季節』でもある。そして子供たちの純粋な言葉というのは、時々刺さる。

イベントストーリー シークレット・ディスタンス 第6話 「同じ桜なのに」

  瑞希の中でずっと一緒というのは重要な要素だ。瑞希は少数だったからこそ、そもそもずっと一緒にいれる人が少ないのだ。だから桜なんてものは瑞希にとっては綺麗ではない、わからない。

イベントストーリー シークレット・ディスタンス 第6話 「同じ桜なのに」

  でも、今の瑞希はニーゴのみんなと見ることで綺麗に見えるようになったのだ。自己表現が出来て、孤独な仲間と一緒にいることで桜の美しさを感じることができる。

イベントストーリー シークレット・ディスタンス 第6話 「同じ桜なのに」

  普通じゃないボクたちを桜が受け入れてくれる。この空間のひと時だけ。


3.『アイディスマイル』

  そんなシークレット・ディスタンスのテーマソングを振り返る。
とあ氏による『アイディスマイル』

交わる 線と線
着飾る 大好きな アレコレソレ
そう いつだって
譲れないアイデンティティ

『アイディスマイル』

  瑞希にとって、アイデンティティは譲れない。自分が存在することを表現するのに。

重なる 円と円
深まる たぶんもっと Face to Face
ねえ いつだっけ
飛び越えられない マイノリティ

『アイディスマイル』

  多数と少数が重なる、交わらないボクたちが面と向かって出会う。でも、やっぱりマイノリティから飛び越えられない。

進めない 行き止まりでも
繋いでたいなら 外せない 秘め事

『アイディスマイル』

  どんなに道が塞がれても、秘め事は自分の大事なアイデンティティ。

惹かれ 逢って 存在 綴る セカイ 共鳴ならせたなら
ねぇこのままで ままで いられるかな
淡い期待に通せんぼ 塞いで曖昧 知らん顔
こうやって繋いでいられたなら

『アイディスマイル』

  ニーゴが惹かれ逢い、それぞれの存在をセカイに綴る。この状況を現状維持のままでいられるのか、でも期待するだけ無駄。ボクじゃ解決できない。アイデンティティを繋いでいられたなら…

いたいいたいのどっちだ

『アイディスマイル』

  今の瑞希にとって、どちらなのでしょうか。

手探り 手繰り寄せても
繰り返し 絡まるの 気持ちの糸
ねえ いつだって
諦めたままのディスタンス

『アイディスマイル』

  ボクの気持ちは伝えても探しても必ず絡まる。諦めのリアルの距離、心の距離。

キリのない 振り出しでも
繋いでたいから 外さない 秘め事

『アイディスマイル』

  どれだけスタートに戻されても、アイデンティティは無くさない。

巡り 逢って 存在 描く セカイ 共鳴らせたなら 
ねぇこのままで ままで いられるかな
思い余って隠れんぼ 迷って混在 メランコリー 
こうやって繋いでいられたなら

『アイディスマイル』

  ニーゴに出会い、ボクを表現できる場、ずっとこのままでいられるのかな。ずっと…それに憂鬱する日々。秘め事をこうやって繋いでいられたならまだ…

縫い合わせて 編み合わせて
繕ってさ 何が出来るだろう
切り取って 笑って 距離とって
笑えるけど 笑えてるけど

『アイディスマイル』

  作り物は何ができるだろう、ボク?それともボクじゃないお揃い?創作している時笑えてるのに…

滲みだした境界 揺らぐ未来
伝えたなら もうこのままじゃ ままじゃ

『アイディスマイル』

  ボクがボクである境界が滲めば、未来はどうなるかわからない。伝えても、今の状態じゃどうにもならない。

想い 逢って 存在 映す セカイ 共鳴らせたなら 
ねぇこのままで ままで いられるかな
淡い期待に通せんぼ 塞いで曖昧 知らん顔
こうやって繋いでいられるなら

『アイディスマイル』

  ニーゴの想いを表現して、ボクたちの存在証明。これを続けることができるのだろうか。でもやっぱり期待するだけ未来に後悔する。ボクに蓋をする。アイデンティティを繋いでいられるなら…

いたいいたいのどっちだ

『アイディスマイル』

  ボクは痛いのか、居たいのか


4.信頼と書いて未来

  自分と向き合えていない自分を嫌う。みんなは一歩ずつ前に進んでいるのに、ボクだけ進めていない。そんな不安を抱く。そして突如として、不安に出会う。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第2話 「遭遇」

  ビビバスと出会い、絵名は杏に学校での瑞希を聞く。瑞希にとって初めての恐怖。ニーゴの皆にボクの事がバレるかもしれないという。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第2話 「遭遇」

  でも、杏はごく普通な答えを出してくる。知っている瑞希と知らない瑞希を織り交ぜながら。瑞希と杏は高校からの友達で、ちゃんと話してはいない。でも、杏は瑞希の理解者であるということは明白だ。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第3話 「思考を止めて」

  学校では瑞希の性に関しては、言っている。でも、普遍的な多数派の海の中での瑞希は希少なのだ。いわゆる見世物状態になっている。でも、クラスメイトの好奇心は悪なのか。

  悪は存在しない。でも、善意もない。ただの興味関心の対象であるのが瑞希だ。だから、事前に性別を言えば瑞希にとってクラスメイトが大切になる前にいつでも退却できる準備をしているのだ。

  ただ、受け取る順序が変われば話は別だ。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第3話 「思考を止めて」

  瑞希にとってニーゴメンバーは「孤独な仲間」だちだった。でも、時が経つにつれリアルでも会うようになり、メンバーが悩み解決の糸口を探す、仲間の為に行動することによって、瑞希にとってニーゴメンバーは孤独な仲間たちではない存在になっている。そして、本心を打ち明ける状況に瑞希だけが孤独になっている。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第3話 「思考を止めて」

  瑞希はニーゴメンバーを信じてる、信用している。でも、信頼はできていない。何故なら、ニーゴメンバーは過去と向き合い、今と戦い、未来を望んでいる。
・信用は過去の実績やデータから信じることができるかを確認する作業。
・信頼は未来の成功に向けて信じることができるか。

  それが、瑞希のドキドキが止まらない理由だ。瑞希にとっても今までの事(=過去)は関係ないと自分自身を信用している。でも、未来を信頼できていない自分自身に嫌気がさしてくるのだ。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第3話 「思考を止めて」

  結果、未来を信頼できていないのであればその未来自体の思考を放棄すれば良いという答えを導き出した。瑞希は、信頼を忘却したのだ。しかし、そんな瑞希に歪みが生じる。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第4話 「小さな歪み」

  信頼を忘れた瑞希は、信用が欠けていく。ボクの今日の行いは問題なかったよね。ボク、ちゃんと楽しめたよね。と確認作業が入るようになる。今までの事は関係ないと言い張れるあの瑞希が。少しずつ瑞希の綻びが露わになっていく。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第5話 「亀裂」

  まるで、あの子のように

メインストーリー 第16話 「崩壊」

  演じてきた暁山瑞希が崩壊したのだ


  瑞希はこんな状況になってしまったことに「おかしいな」と漏らす。今までとは違う何かが引っかかっている感覚。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第5話 「亀裂」

  瑞希は「話せることなんてない」と瑞希が絵名に対する信頼、瑞希が瑞希に対する信用を失った初めての感覚。それに瑞希は嗚咽してしまった。そう私には見える。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第7話 「この世からみんな」

  瑞希は理解している。ニーゴメンバーが大事になってしまったことを。だから、瑞希自身が崩壊したのだと。

『うまくやれてた』

  それは、瑞希がいつか綻んでしまうことを瑞希は理解しているということ。洗面台の時は理性すらも欠如していた、よくよく考えれば瑞希は瑞希なのだ。一番の理解者は自分自身。それぐらいギリギリの位置に居たという証明。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第7話 「この世からみんな」

  もし、瑞希の隠し事がバレれば。バレること自体は問題じゃない。バレた状態でバレてない状態のような空間を作ってくれることが苦しいのだ。

  瑞希はわがままだ。よくばりだ。でも、私からするとそれでいいと思っている。瑞希が瑞希でいるには自分自身のペースで進めばいい。他人に合わせる必要はない。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第8話 「ボクの嘘」

「待ってる」

  どれだけ救われる言葉だろうか、ずっと待たせておけば現状維持できると。変化が怖い。今のままの状態で一生いたい。そんな瑞希の願い。

イベントストーリー ボクのあしあと キミのゆくさき 第8話 「ボクの嘘」

  そして、瑞希は絵名に嘘をつく。

「いつか、話せるようになったら」

  瑞希は、わがままだ。よくばりだ。ズルい人だ。
でも、それでいい。今は。だって

今の時間が1日でも、1秒でも長く続いてほしい」という願いは

  信頼の修復でもあるからだ。


5.『ロウワー』

そう簡単な祈りだった 端から
段々と消える感嘆
今から緞帳が上がるから
静かな会場を後にさよなら

『ロウワー』

  瑞希の秘め事がバレないように。祈ることは簡単。開演直前、静まる観客、大勢いる。そこに居る必要ないボクはただ立ち去る。

言いかけていた事が一つ消えてまた増えて
背中に後ろめたさが残る
従いたい心根を吐き出さぬように込めて
胸の中が澱のように濁る

『ロウワー』

  言うキッカケが出来たと思えば失ってまた出来ての繰り返し。瑞希は繰り返せば後ろめたさが残る。結局、言い出せないままの身体は澱む。

受け止めたいことが自分さえ抱えられず
持て余したそれを守っている
霞んだ声はからからに喉を焼いて埋め尽くす
何を言うべきか分からなくて

『ロウワー』

  自分自身も溢れてしまい、一番守るべきじゃないモノを守っている。瑞希にとって大切なモノがあやふやになっている。そして発言もあやふやになっている。

感じてたものが遠く放たれていた
同じ様で違うなんだか違う
何時まで行こうか 何処まで行けるのか
定かじゃないなら何を想うの

『ロウワー』

  瑞希が感じたモノはいつもと違う感覚。先の見えない不安に何を想えばいいの?あやふやになっているボクにどうすれば。

僕らが離れるなら 僕らが迷うなら
その度に何回も繋がれる様に
ここに居てくれるなら 離さずいられたら
まだ誰も知らない感覚で救われていく

『ロウワー』

  ニーゴの皆があやふやなら戻ってこれるように繋ぐ。ニーゴという居場所があれば、ボクにしかわからない感覚で救われるから。

平穏とは消耗を以て代わりに成す
実際はどうも変わりはなく
享楽とは嘘で成る
「綻ぶ前にここを出ていこうか」と
都合の良い願いを同じ様に同じ様に呟く
何処から聞こうか 何を見失うか
定かじゃないから此処を動けない

『ロウワー』

  のどかで静かな状況は、ボク自身変化に怯えている。心をすり減らして。でも、それはボクの勝手な妄想。楽しむことも『楽しい』と言ってしまえば『楽しい』のだ。でも、怯えるくらいなら出ていきたい。ただ、未来を信頼できていない瑞希の前ではこの場所を動けない。

僕らが疲れるなら これ以上無いなら
その度に何回も逃げ出せる様に
心が守れる様に 奪われない様に
互いに託して 身体を預けてよ

『ロウワー』

  お互いが疲れるなら、逃避行できるようにお互いに託して身を委ねてみようよ。もし、瑞希からこの言葉が出てるなら本当にズルいですね。

君と泣く 君と笑う 君と怒る
君と歌う 君と踊る 君と話す

『ロウワー』

  普遍的な、変わらない他愛のない日常。

何時まで続くだろうと同じ様に同じ様に呟く
いま忘れないよう刻まれた空気を
これから何度思い出すのだろう

『ロウワー』

  それは何時まで続くのか、これからも変わらずできるのか。先が不安なら今を忘れないようにしよう。昔は良かったねと何度。

僕らだけが

僕らが離れるなら 僕らが迷うなら
その度に何回も繋がれる様に
ここに居てくれるなら 離さずいられたら
まだ誰も知らない感覚で僕の生きているすべてを確かめて
正しくして

『ロウワー』

  ニーゴだけが戻ってこれるように繋ぐ。ニーゴという居場所があれば、ボクにしかわからない感覚でボクが存在していることを証明して。
と訴える。

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