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「窓辺の猫」第25回 悪癖ばかり似る猫

どうも猫の飼い主です。
元外猫を二匹飼っています。
それぞれ違った時期に来た二匹の猫。
二匹が同居して二年目。
今回はその二匹の行動が似てきたという話をしたいと思います。

性格は当初からまるで違います。
しかし、行動はお互いを真似するようになりました。

その一 虫を布団に詰め込む。
その二 執念深いごはん足りないアピール。
その三 スマホを隠す。

大まかに言うとこの三つが二匹の猫に共通する悪癖です。

扉を開けられるのも上の二つの悪癖を助長しています。盗み食いするのは、後からやってきた後輩のトンボ猫の方だったのです。
しかし、最近は、セミ猫も人間が見ている前で、扉を開けてフードがある戸棚の中に入り、「ご飯をくれないと、自分で袋を破いてぶちまけちゃいますよ」という目で人間をふり返り見てきます。
セミ猫はできれば、人間からご飯をもらいたいのです。しかし、トンボ猫が盗み食いして好きなだけご飯を食べているのを見ると、うらやましい気持ちもあるのでしょう。
扉が自分たちで開けられることを示してみせるのが、セミ猫です。

「こうやって開けられるんですけどね。普段いい子だから私は開けないんです。しかし、この私がわざわざここまで態度で示しているんだから、やるべきことは分かるでしょう?」

ふんふんとフードの匂いを嗅いで人間が自分の意図を分かって当然という態度をするのです。わかりますけど、思い通りに人間が動くと考える猫の尊大さに釈然としません。
果たしてフードをぶちまけられて掃除させられるのとそれほど欲しくないごはんを何度も催促されるのとどちらの手がかかるのでしょうか。

構ってほしければ、スマホを隠すということも後輩のトンボ猫はセミ猫からうちに来てすぐに学んだと思います。二匹でスマホを狙われて辟易していましたが、最近はもっと驚くことがありました。

スマホで動画の音声を聴きながらご機嫌で料理していたら、セミ猫が背後から近づいてきて机の上のスマホに飛びかかり叩き落としたのです。
以前から猫たちがEcho Podにも攻撃するので、そちらは袋に隠して呼びかけています。
しかし、こちらから話しかけもしないスマホに、、、いや、私はスマホで音声入力を多用しているので話してはいますが、厳密には対話していないものに嫉妬するとは思いませんでした。

セミ猫は人間の食べ物を食べないので、台所への侵入をこれまで警戒していませんでした。子猫の頃はよく冷蔵庫に登っていましたが、対策してからは、何もしなくても登らなくなりました。

料理する私が猫も構わず一人だけで楽しんでいるように見えたのでしょうか。その通り、一人で楽しんでいます。

最近、セミ猫が以前より鳴くようになりました。何か要求する時や甘えたい時です。
同時に、知らないうちに私に生傷が増えました。自覚出来ている時もありますが、太ももはともかく手はいつ引っかかれたかわかりません。以前からセミ猫は気を引きたい時に、人間の足や手をトントンと叩くので、多分セミ猫の仕業だと思ってます。しかし、怪我するほど加減が効かないのは、セミ猫の真似をしたトンボ猫らしい気もします。
何せ私は痛みに鈍感なので、ちょっとした怪我をした時に気づかない時が多く、どっちの仕業かわからないのです。

セミ猫が後輩を真似するようになったのは意外ですが、まだまだトンボ猫がセミ猫の真似をすることが多いです。

セミ猫は以前から脱走癖がありましたが、人間も対策が徹底してきて、何よりセミ猫が素直に捕まる(大好きな車に乗り込んだり、ゴロンして撫でられようとしたりする)ようになったので、手間がかからなくなっていました。

しかし、代わりにトンボ猫が脱走しました。トンボ猫は我が家に来て一年珍しく雪が降った日にしか外に出た事がありません。たとえ扉が開けっぱなしでも外には出ず、窓辺で外を見ることは以前より増えても外を眺めるより先輩猫に構ってもらう方が好きなのです。

そのトンボ猫が朝からずっと玄関にいるなと思ったら、脱走して車に乗り込みました。父が車のトランクの扉を開けっぱなしにしていたのです。脱走させたのは、外に洗濯物を干しに玄関から出た私の仕業です。
一直線に車に向かい、庭を探検しないのがトンボ猫らしいです。セミ猫ならもう少し庭を探索します。

しかし、それほど車が好きでないトンボ猫もいつも車で出かけたがる先輩猫を見ていると車に興味が出たようです。

トンボ猫はセミ猫がやる事は多少の警戒はありつつも無条件に良いことだと信用しているのかもしれません。トンボ猫は我が家でうまく立ち回るセミ猫に嫉妬すると共に尊敬しているのです。

人間は先輩を無条件に尊敬しません。
時に成果主義の昨今では、「先に生まれただけのやつ」と馬鹿にする風潮さえあります。
先輩は後輩からすれば先に老いるだけの哀れな存在なのです。

しかし、猫にとっては違っています。
分別のある猫は常に先輩から学びます。
先輩も後輩をよく見ています。

トンボ猫は大人かそれに近いぐらいの時に我が家に来たので、セミ猫より年下なのか本当のところはわかりません。一応病院の記録上では現在はセミ猫が3歳でトンボ猫が1歳過ぎということになっています。
しかし、年齢が何歳だとしても、先にうちに来たセミ猫が先輩である事に代わりはありません。普段セミ猫の場所を取ったり、割り込んで甘えようとする事があっても、セミ猫が本気で怒ったら、トンボ猫は敵わないのです。トンボ猫は恐らく、自分がこの家にいられるのはセミ猫が受け入れてくれたからだとわかっています。
なぜなら、セミ猫はどこかの猫が我が家にやってきて窓に近づくと怒り狂って吠えかかったりするからです。トンボ猫には最初からそんか事はしません。
甘えさせもしませんが、拒絶の態度は取らず、何かにつけ真似されても基本的に後輩にやりたいようにさせています。
ちょっとそっけないけれど、優しいところもある先輩です。

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