見出し画像

チーム活動によって生じる社会的影響

チームスポーツとは
2人以上のメンバーで構成される集団で行うスポーツのことであり

そのため、チームのもつ社会的な影響力というのは、個人個人の影響力よりもはるかに多くの社会的な影響力を持ちうるということが言われています。

今回は、そのようなチームスポーツに潜む社会的な影響力を3つ紹介し、それらを踏まえた上で、コーチとしてどのようなことを考えることができるのか。

ということを個人的な意見も交えながらまとめていきたいと思います。

同調

まず、1つ目は同調についてです。

同調圧力

などの言葉である程度イメージがしやすいのではないかと思います。

繰り返しにはなりますが、

チームというのは

共通の目標を達成するために、複数人が協力し、行動する集団であり

この集団を円滑にまとめるためにルールなどが存在している場合が多いのではないかと思います。

集団規範

このような集団を統制するためのルールを集団規範というそうです。

集団内の大多数の成員が共有する判断の枠組みや思考様式

このような集団規範とは、必ずしも明文化されているわけではありません。

また、明文化されていないからこそ

「同調」によって、競技などとは関係のない部分にまで及んでしまうようなルールが存在してしまっていることもあるということが報告されています。

同調

集団や他者の設定する標準ないし、期待に沿って行動すること

このような同調には、2つの背景があるといわれています。

1つ目は、情報的影響

これは、多くの人が良いと言っているものを自分自身もいいと思ってしまうことだとされています。

2つ目は、規範的影響

こちらは、周囲の人たちの期待を考慮する結果によって生じていしまうとされています。

非合理な集団規範

前述しているように、集団のルールの中には競技には関係がないような非合理な集団規範が設定されていることは少なくないのではないでしょうか。

これらの背景としては、「同調」によって異議を唱えることが難しいことが挙げられています。

「同調」に逆らうことで、大多数の意見とは異なる意見を述べることになるために、「仲間ハズレ」にされてしまうことや、ある種、既存のルールに背くことでもあるために、「懲罰」などが生じてしまうかもしれないと考えてしまう人が多いからなのではないかと個人的には考えました。

コーチにできること

「同調」を考慮したうえで、コーチに求められることは

競技にそこまで関係がない非合理な集団規範をつくらない(競技に関係があっても過度なものはもちろんOUT)ということは大前提として

客観的な視点を常に持ちながら自分のチームを見ることができているか。
迅速かつ丁寧に規範を修正することができるか。

ということがコーチに求められることなのではないかと思います。

長く同じチームに所属していると知らず知らずのうちに、コーチもそのチームの集団規範を当たり前だと思ったり「同調」してしまうような場面も多くなるのではないかと思います。

自分自身のチームをしっかりと視ることは大切ですが、時には自チーム以外の環境に触れることでより自分自身のチームを詳細に客観的に見ることができるのではないかと思います。

社会的手抜き

チームとして、目標を達成するために、全員が力を合わせていくことが重要なことは言わずもがなだとは思いますが、それが中々うまくいかないのがチームスポーツでもあると思います。

そのようなチームのメンバーがうまく力を合わすことができない原因を二つの観点からまとめていこうと思います。

調整の損失

同じ筋力をもった20人VS20人の綱引きを想像してみてください

どちらが勝利するでしょうか。

このような状況での綱引きの場合、技術的なことはもちろんあるのでしょうが今回はないものとして、勝利するのは、20人全員の力が適切なタイミングで合わさることができたチームなのではないでしょうか。

言葉でいうことは簡単ではありますが、チームメンバーのベストパフォーマンスが適切なタイミングで合致して発揮されるということはかなり難しいということは想像に難くないのではないでしょうか。

チームとして戦っていく以上、誰かが調子が悪い際には、他のメンバーで補いあっていくことはもちろん大切ですが、全員が適切なタイミングで実力を発揮できることに越したことはありません。

しかし、これはチームのメンバーが増えるにつれて難しくなっていきます。

これを調整の損失というそうです。

動機づけの損失

また、2つ目としては

チームのメンバー数が増えるにつれて、一人一人の努力量が下がり、一人一人の動機づけが低くなってしまうといった動機づけの損失。また、これを社会的手抜きともいうそうです。

このような社会的手抜き

自身の貢献度や自身の努力の成果が可視化できないような状況

で生じてしまうことが多いそうです。

コーチにできること

このような2つの損失を考慮してコーチにできることは

適切な目標をしっかりと選手間で共有させる(コーチも共に共有する)
1つの目標だけでなく多軸の目標を設定すること

が大切なのではないでしょうか。

イメージとしては、チームとしての理念や最も大きな目標を掲げ

それに関連するいくつかの中目標などがあるイメージです。

チームとして全国優勝などのために活動をしていくことはもちろん大切ですが、それを目指す過程でできることもかなり多いと個人的には考えています。

特に、チームスポーツでは試合に出ることができる選手数も決まっています。

試合に出場して、チームの勝利に貢献することももちろん大切ではありますが、試合に出場する以外にもチームの勝利に貢献する方法はたくさんあります。

そのような機会をコーチは提示しながら、それぞれにしっかりと可視化できるようなSMARTな目標を設定し、チーム運営を行っていくことが求められるのではないかと思います。

ケーラー効果

加算課題と結合課題

先ほど、少し例に挙げた綱引きなどのように個人個人の力を加算していくような課題を加算課題というそうです。

社会的手抜きは、そのような加算課題の種目などで生じやすいとされています。

それとは逆に、タイムトライアルなどのような、チーム内で最も劣るメンバーのパフォーマンスがチームのパフォーマンスとして採用されるような課題を結合課題といい、このような結合課題では、社会的手抜きとは反対の現象が生じるとされています。

社会的不可欠性

このような現象が生じる原因として結合課題では、加算課題とは異なり能力が劣るメンバーが、自身のパフォーマンスがチームの成功のカギであるということを知覚することによって社会的不可欠性が生じ

できるだけパフォーマンスを高めるために様々な工夫を行うといった上方修正が行われるとされています

このように、能力が劣るメンバーに生じる動機づけをケーラー効果というそうです。

先ほどから、能力の劣ると繰り返し使用していますが、能力が劣るというよりは、自身のパフォーマンスがチームの結果に直接関係があるような状況である場合を想定しています。

いくつかの研究においても、リレーなどにおいて選手自身の能力だけではなく、リレーの後半の走者になればなるほどによりケーラー効果は強く現れるということが明らかになっています。

コーチにできること

これらを考慮して、コーチにできるのはできるだけ多くの選手を公式戦などの重要な場面で起用することができるか

ということではないか個人的にはと考えます。

もちろん、加算課題ではなく結合課題のような練習メニューを練習に組み込んでいくことなども大切ですが、個人的には選手が一番成長できるのは実践だと思います。(実践が難しくてもできるだけ実践に近い状況など)

一人ひとりの選手がチームにとって重要な局面を経験できるように機会をあたえることもコーチとしては、重要な役割なのではないでしょうか。

おわりに

今回は、少しネガティブな側面からチーム活動によって生じる社会的な影響力についてまとめていきました。

チームとして、複数人が集まって何か活動を行なっていく中でそれがうまく力になり大きな成果を残すこともできれば、人数が多いからこそのネガティブな側面もあるのではないかと感じました。

個人としても、スポーツのチームだけでなく色々なチームに所属させていただいていますが、所属しているチームの影響力をしっかりと理解しながらそれに対して自身ができることなどをしっかりと学びながらチームに関わっていきたいと思います!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?