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コーチのためのスポーツ心理学⑥モチベーションの神話:スポーツとパフォーマンスにおける誤解を解く

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前回のnoteでは、モチベーションは内発的(内面から湧き上がる興味や意欲)と外発的(報酬や評価など外部からの刺激)に分かれ、両者が相互作用して選手の行動に影響を与えるということ。
また、選手のモチベーションを判断するための「選択」「努力」「持続」の3つの行動について紹介し、コーチは選手のモチベーションを高めるために、これらの要素を理解し、適切にアプローチすることが求められるということをまとめました。

今回のnoteでは、そのようなモチベーションに関して、スポーツの世界で蔓延しているモチベーションに関する神話がについて、3つのモチベーションに関する神話を紹介し、それらがなぜ誤解であるかをまとめていければと思います。

1. 水差し神話

1つ目の神話は、「水差し神話」という神話です。

この神話は、外部の動機づけ者(コーチやファンなど)が選手のモチベーションをコントロールすることができるという神話です。

これは、モチベーションが水差しから選手のマグカップに注がれるというイメージで、このような名前がついているそうで、ひたすらに大きな声を出してアップをすることや、選手の応援歌などが選手のモチベーションをアップさせるとして多く使われているのではないでしょうか。

確かに、このような仕掛けでモチベーションがアップすることもあるかもしれません。

しかし、実際には、選手のモチベーションは内面的な要因に大きく依存しており、外部の仕掛けや策略が常に効果的ではないということを指導者としては知っておいた上で、様々なアプローチを考える必要があります。

以前のnoteでも紹介しているように、ホームアドバンテージなども必ずしもホームチームに有利に働くわけではなく、時にはディスホームアドバンテージにもなりうるということと関連している神話かもしれません。

さらに、それらのアプローチをより効果的に発揮させるためには、コーチや指導者として、選手との信頼関係や一貫した動機づけに対しての哲学が重要となるとされています。

2. 持っているか、持っていないか神話

2つ目の神話は、モチベーションが生まれつきのものであり、変えることができないとする神話

つまり、選手はモチベーションを持っているか、持っていないかのどちらかであり、コーチがそのモチベーションを育むことはできないという神話です。

しかし、これまでの様々な研究で、コーチが適切な指導や評価を通じて選手のモチベーションを高めることができることが示されています。

指導者自身がが選手に対して「あいつはモチベーションの低い選手だから」のようなバイアスを持っていてはいけないということです。

選手のモチベーションが低いように感じるのであれば、そのままにせず指導者にもできることはあるというマインドを持ち、選手の背景なども理解をしようとしながら、コーチングを柔軟に変容させ、アプローチを行っていく必要があるのではないでしょうか。

3. 天賦の才能神話

3つ目の神話は、優れたパフォーマンスは生まれ持った才能によるものであり、特別な努力を必要としないという神話

これは多くの方が、それは流石に言い過ぎだよと思われる神話だと思います。

実際、エリートアスリートの成功は、多くの場合、意図的な練習と努力の結果であるとされています。

もちろん、生まれ持った身体的な特徴や運動感覚などが有利に働くということもあるとは思いますが、それらを意図的な練習によって磨きをかけていくことにより、優れたパフォーマンスにつながるということが多くのエリートアスリートの事例からも明らかにされています。

コーチや指導者としては、選手のスキルやモチベーションに対して、チーム内での相対評価だけでなく、選手一人一人が、適切な意図的な練習を行うことができているのか。という視点で、選手を観察することも必要になるのではないでしょうか。

モチベーション神話の影響と対策

これらの神話は、スポーツにおけるモチベーションとパフォーマンスに対する誤解を生み出し、選手やコーチのアプローチに影響を与えます。

コーチは、これらの神話の背後にある考え方を理解し、選手の内面的なモチベーションを引き出すための適切な戦略を採用することが重要です。

このような神話などに対する具体的な解決案に正解などはありませんが、このような神話があるということを踏まえ、様々な思考を巡らせコーチングを実践していくことが重要なのではないでしょうか。

まとめ

今回のnoteでは、モチベーションに関する神話を3つ紹介しました。

いずれも選手の内面からの動機づけを重視することで、より効果的な指導が可能になるということに結論づくのではないかと考えています。

これにより、選手のパフォーマンスが向上し、スポーツにおける成功を達成するためのコーチングのヒントになるのではないかと思います。

モチベーションに限らず、スポーツ心理学では目に見えない様々な事象を扱います。聞いたことはあるし、ぼんやりとそのことについては知っている。でも詳しく質問されるとわからないようなことが多々あるのではないでしょうか。

このnoteでは、そのような事象を少しでも理解しやすくできるよう私自身が学んだことをまとめていくという形式で投稿していければと思っていますので、引き続き、読んでいただけましたら幸いです!

↓参考文献はこちら↓(なんかすごく高くなってる)

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