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コーチのためのスポーツ心理学⑤モチベーションとは何か

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モチベーションは、才能にも勝る重要な要素

どれだけ身体的に恵まれた体格を持ってしても

どれだけ競技の技術的なセンスがあったとしても

モチベーションに欠ける才能のあるアスリートは、ある時点で成功を得るだけであり、素晴らしい結果を残し続けることができる一流の選手にはなれないとされている。

Jonesら、2007やToering & Jordet、2015における研究では、スポーツにおけるエリートステータスの最大の心理学的な予測因子として

コミットメントとセルフコントールとったモチベーションが挙げている。

以前のnoteでまとめているように

モチベーションは、コーチのコーチング哲学アスリートの行動に変える活力剤であるとされているように

インナーエッジ全体の基盤の部分に位置付けられており
コーチとしてモチベーションとはなにかということを十分に理解しておくことは必要不可欠である。

今回からのnoteでは、モチベーションとはなにか?から始まり、選手のモチベーションに対して、コーチとしてどのようにアプローチしていけるのかのヒントについてまとめていきたいと思う。

モチベーションとはなにか

モチベーションとは、「人がある行動をとるように仕向ける、内的および外的な力の複雑な集合」と定義されている。

内発的・外発的動機づけとは

内発的動機付け:内面に沸き起こった興味・関心や意欲に動機づけられている状態
外発的動機づけ:報酬や評価、罰則や懲罰といった「外部からの働きかけによる動機付け

という風に定義されており、簡単にまとめると

内発的動機づけ:自ら進んでやりたいこと
外発的動機づけ:行うことによって何かしらのメリットもしくは、デメリットを回避することができるからやること

という理解で十分だと思います。

コーチとして認識しておきたいことは、内発的・外発的な動機づけは複雑に絡み合いながら、相互作用して、選手の行動に影響を与えるということです。

正しい例ではないかもしれないが

イマイチやる気が起こらない選手に対して、ご褒美などを与え、外発的動機づけを高めて行動させることで、徐々に内発的な動機づけも高めることもあれば、ご褒美があることによって選手の内発的動機づけが低下してしまうこともあるということである。

どちらが良いという話は少し長くなってしまうので、またの機会にしたいが、このnoteでは、内発的・外発的動機づけが相互に複雑に絡み合い、選手の行動に影響を与えるということを覚えておいて欲しい

選手のモチベーションはどうやってわかるのか

コーチとして、自身がコーチングを行う選手のモチベーションがどの程度なのかを把握することは非常に重要である。

では、どのように選手のモチベーションを判断するのか

良い顔をしてプレーしている。一生懸命に取り組んでいる等

ももちろん大切であるが、選手の実際の「行動」からモチベーションを判断することも大切である。

選手のモチベーションに最も関連する「行動」とは

選択・努力・持続

の3つである。

以下では、それぞれについて詳細にまとめていく

選択

迷ったらしんどい道を選べ

卒業式などで、言われがちな言葉であるが、この言葉は結構確信をついているのではないかと感じる。

選手のモチベーションの判断材料となりうる「行動」の1つ目は、選手がどのような「選択」をするのか。ということである。

人間は一日に35000回程度の「選択」を行っているといわれている

もちろんすべての選択を、厳しいものを選択しているとしんどくなってしまうが、選手自身の目標に対して、どのような「選択」をしているかをコーチとしてチェックしておくことは非常に重要である。

この選択においては、どれだけ周りの選手と比較してではなく、その選手の中でどれだけ目標に対して厳しい「選択」をしているかが重要であり、コーチもそのことについて、しっかりと選手個人個人を観察することが重要である。

努力

努力=モチベーション

として扱われることも多いかもしれないが、ここでいう「努力」とは

「単なる練習ではなく、集中的で意図的な練習につながること」

ということを意味する。

いわゆる、「ディーププラクティス」ともいわれるもので

明確な目標に対して、どれだけ集中して「努力」することができているのか。

ということが重要である。

例えば

ベンチプレス100KGを軽々と挙上することができる選手が周りの選手と同じメニュー(60Kg×5-3セット)をこなして満足している状態は、モチベーションといった観点から観察すると物足りないと言わざるを得ない

ディーププラクティス

・ 自分のコンフォートゾーンの外で行われる。
・コンフォートゾーンの外で行われ、最大に近い努力が要求され、一般的に楽しいものではない。
・明確に定義された具体的な目標を伴うものであり、漠然とした全体的な向上を目的とするものではない。そのためには、ただ集団で行うのではなく、個人練習が必要である。
 ・DPでは、常にフィードバックを受け、そのフィードバックに応じて努力を修正する必要がある。

といったように、ただ単に一生懸命にやることではない。ということをまずはコーチが知っておく必要がある。

また、コーチとしては

・選手各個人の目標を明確にする。
・それに対して、フィードバックを与えていくこと。

が求められる。

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持続

選手のモチベーションの判断材料となりうる「行動」の最後は「持続」である。

上記でまとめてきた「選択」「努力」を一日、一週間、「持続」することはそれほど難しいことではないのかもしれない。

しかし、選手が過ごす日常では、競技以外のことで時間が大きく取られたり、体調を崩してしまう、うまくいかないといったことも起こりうる。

また長く目標としていた大会などで、ある程度満足のできる結果が出た後などに再度、これまでの行いを「持続」するということも非常に難しい。

思いがけない怪我やアクシデントなども時には起こりうるだろう。

しかし、一流の選手とはそのような時でも「持続」して行動することができる。

最近では、大谷翔平などがいい例かもしれない。

常に、さらに上を目指し、現状に満足せず「持続」して行動していくことが重要であり、これは選手にはもちろんコーチにも求められることなのかもしれない。


常に上を目指し続け、「持続」する

まとめ

今回は、モチベーションとは何か?選手のモチベーションをどのように判断するのか。

についてまとめました。

多くのコーチは、こんなことよりもどうやって選手のモチベーションを上げることができるのか

ということを早く知りたいのではないでしょうか。

具体的なアプローチ方法のヒントは、以降のnoteでもまとめていきますが

コーチングにおいては、これが絶対的に効果がある!

というものは中々ないというのは、実際にコーチングを行っているコーチの方々の多くは気づいているのではないでしょうか。

文中でも少し記載していますが

選手のモチベーションを向上させていくためにも

まずは、指導者が明確な目標を持ち、それに見合った「選択」と「努力」を行い、そしてそれらを「持続」していくことが必要不可欠です。

まずは、基盤を押さえ、自身のコーチング哲学や選手の性格なども考慮しながら、様々なアプローチを考え、コーチングに活かしていくということが大切なのではないでしょうか。

自分自身も、まずは自分自身の行動を客観視するところから、モチベーションについて再度、思考を巡らせ、コーチングを行っていけるようにしたいと思います!

↓参考文献はこちら↓

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