【教材研究のお供に一冊】#2『好きになる分子生物学』


表紙

難しくなった高校生物

現在の高校生物では、様々な単元ごとに遺伝子やタンパク質の働きが記載されている。
そのせいか、高校生物の内容は大学レベルに限りなく近づいていて、難化している。
ある大学の農学部の先生に高校生物の教科書をお見せしたところ、「えっ‼️こんな難しいことまで勉強してるの⁉️」「大学以上だよ‼️」と驚愕されたくらいである。
恥ずかしながら、教える私の立場でも高校の教科書を読んでも分からないことが多く、何でこんなこと教えなきゃいかんの?と思うくらいである。
また、遺伝子やタンパク質が絡むことによって理解は深まるものの、高校生物の中身が身近なものでなくなってきている気がする。
さて、教科書の内容を私自身がどう理解し、生徒にどう分かりやすく伝えようものか?
少しでも身近なものに感じてもらえるか?
私は教え方について大いに悩み、今に至っている。

そんな中、私の出身大学の恩師が、『好きになる分子生物学』が分かりやすいから自分の授業の参考書に指定しているということを伺った。
この本を読んで、遺伝子やタンパク質の働きについて、私自身の理解が深まった。
ということで、この本をご紹介。

この本の中身をざっくりと

前置きの文章が長くなってしまった。
ここから中身についてつらつらと。

序曲 分子から見た生命のスケッチ

第1部 タンパク質の分子生物学
 第1幕 細胞という劇場
 第2幕 タンパク質の姿
 第3幕 タンパク質の働きぶり
 第4幕 呼吸の物語
 第5幕 情報伝達の物語
 第6幕 情報伝達の異常としての病気

第2部 遺伝子の分子生物学
 第7幕 DNAの姿
 第8幕 DNAを複製する
 第9幕 遺伝子からタンパク質へ
 第10幕 遺伝子を編集する
 第11幕 遺伝子の読み取りの調節
 第12幕 発生の分子生物学
 第13幕 がんの分子生物学

『好きになる分子生物学』目次より抜粋

著者は現役医師の萩原清文先生。
この本は医療系の大学生向きの本なので、病気など医療に関係する項目が多くあるが、DNAとタンパク質のはたらきについての原理が著されている。
原則1テーマにつき見開き2ページ、左ページには説明文、右ページには萩原先生ご自身が描かれたイラストが載っている。
ただ、グルコース・アミノ酸・簡単な構造のペプチド・脂質・ヌクレオチド以外に、難しい化学構造式は載っていないので、とっつきやすくされている。

自力で図示して理解することが大切

この本の特徴としては、各項目ごとに著者のイラストを載せて、内容を理解しやすくしてある。
この本に掲載されている図は、初学者でも頑張れば描ける。
図を描きながら説明できれば、その項目についての理解が深まるのではないかと思う。

最近の私は授業だけではなく、いろいろなことは図表化して理解することを心がけている。
正直なところ、図を描くのは面倒臭い。
特に授業をする時、教科書の図をそのまま示すと面倒なので、教科書の図に語句を穴埋めできるようにした状態でプリントを作成したこともある。
しかし、それでは生徒にとってはただの「語句の暗記」に終わってしまう。
本当に内容を理解してもらうには、教科書を読み、内容を簡略化して図解するよう、最近の授業では心がけている。
(図示してまとめていないところについては、教科書を読み返せばよいと私は考えている。)
実際はなかなか生徒の理解が進んでいないが、1人でも増えてくれないかと願うところ。

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