【DSD vs LPCM】異なる録音設定ではどれだけ音が変わるのか?SONY PCM-D100で比較してみた!
こんにちはYuriです。
今日は愛用のレコーダーSONY PCM-D100で収録できる録音モードを変えながら、「異なる録音設定ではどれだけ音が変わるのか?」というのを比較してみました。
今日の内容
比較した内容は下記の3つ。
PCM-D100では、DSD録音とLPCM録音2つのアナログ→デジタル変換方式を使って音声の録音及び再生が可能です。
現状DSDの音声ファイルは私の使っているDAWでは読み込めない上、制作にはあまり実用的ではないという点から試したことがありませんした。
しかしながら、DSD録音は”より原音に近い自然な音場感を再現する”という魅力があるらしくちょっと気になったので比べてみることにしました。
同時に、異なるサンプリングレートとビット数、データフォーマットごとのファイルも比べています。
「DSD」と「LPCM」について
この2つは異なるアナログからデジタルへの変換方式です。
先に記述しておくと、この項目は非常に言葉での説明が難しかったです。。
なので、調べていて分かりやすく図などで解説されているサイトをメモ的に残したものとして読んでもらえると幸いです。
もちろんご存じの方は飛ばして目次の「比較方法」から読んでいただければよいかと思います。では、まずこの2つの特徴から。
・LPCM(Linear Pulse Code Modulation)
こちらはよく耳にすると思います。
音声などのアナログ信号をデジタルデータに変換する方式の1つです。
英語では「Linear Pulse Code Modulation」なので「LPCM」や「リニアPCM」と書かれていることが多いです
こちらのリンクの図がわかりやすいです。
・DSD(Direct Stream Digital)
サンプリングレートがとても高解像度。そしてBit数は1bit固定というところが特徴です。
雑にいうとめっちゃたくさんの情報量(サンプリングレート)を1bit(ONとOFF)で記録するみたいです。
DSDもこちらに分かりやすいイメージと解説が載っていましたのでメンションします。
こちらにも書かれている通り、原理の正確な把握が難しく、「そういうイメージ」という程度に理解しておいてよいかと思います。
・2つの変換方式の違い
このPCM-D100上で記録・再生できる値で単位を合わせて比較すると。
PCM:最大「 192kHz=192000Hz」でサンプリング
DSD:最大「 2.8MHz=2800000Hz」でサンプリング
収録できるサンプリングレートにかなり大きな差がありますね。
それに、DSDは1bit固定で、LPCMはサンプリングレートによっていろんなbit数があります。
”この2つは異なるアナログからデジタルへの変換方式”と先述したように、どっちが「良い」、「悪い」とかでもなく、どっちが「好き」とか「適してると思う」というように考えて使い分けていくのが良いのかなと感じています。
それでは、次の項目から比較レポートになります
比較方法
・録音方法
DSDで録音したDSFのファイルは対応しているソフトも限られている上、編集も難しいです。なので以下のような方法で録音してWAVファイルにしてみました。
Nuendoの環境設定は192kHz/ 24bit。
書き出したWAVファイルも同じ192kHz/ 24bitのWAVデータです。
・録音対象
この2つで比べて行きます。
「単発的な音」と「外のアンビエンスの音」、違うシチュエーションで聞き比べることによって特徴がまたわかってくるかなと思ったので選びました。
比較結果
まずは先入観なしで聞き比べる
まずは「グラスをスプーンで叩いた音」から。先入観がないほうがよいかと思うのでファイルには数字だけ振っています。
レコーダーが1つしかないので、ファイルによって叩くタイミングなどが違うことはご了承いただけますと幸いです。
どの収録時も、ゲインや、PCMD-100の録音ポジションは同じです。グラスを叩く位置や強さも均一になるように努力しました。
LPCMでは「192kHz/ 24bit」と 「96kHz/24bit」の2種類の設定で録音しました。もう1つはDSDの「2.8224MHz/1bit」です。
Nuendoで録音しているということもあるのか、「違いが分かからん・・・」というのが個人的な感想です。
あと、個人的にPCM-D100のイヤホンジャックから、ヘッドホンを指して聞き比べてみたときもほとんど差がないように感じました。
レコーディングしてみて面白かったこと
ただ、面白かったことがあって、Nuendoで録音した際にDSDのファイルの波形だけ違ったこと。一番下3トラック目の緑のトラックがDSD録音の波形です。
なんか波形が太いですよね。録音時のゲインや位置はは変えていません。
超低音域や超高音域など、人の聴覚では聞こえない部分もけっこう入っているということでしょうか。
次は鴨川(京都)でフィールドレコーディングを比べてみましょう。
こちらもタイミングによって聞こえてくるアンビエンス音が違いますがご了承ください。ちなみにレコーダーのマイクはXYポジションで録音しています。
なんとなくフィールドレコーディングのほうが違いがあるように聞こえる気がします。
【ファイル形式ごとの比較】MP3,WAV,DSF
3つの音声ファイルの答え合わせの前に、CDの標準である「44.1kHz /16bit」のWAVデータ」と圧縮音源である「128kbpsのMP3」の設定で収録保存したファイルも共有します。この2つはPCM方式の録音です。
DSD録音ではDSFというファイル形式で保存されます。再生できる環境がある方はこちらもどうぞ。
各ファイルフォーマットやスペックの違いについてはこちらのPhile Webさんの記事が大変分かりやすかったです。
個人的に驚いたのは案外MP3でもきれいに録れているなと感じました。
MP3ファイルの15秒あたりから、対岸でお子さんがシャボン玉みたいな笛を吹き始めたときの「スースー」という音もばっちりとれています。
他の音源に比べてレンジが狭い感じはしますが、そこまでしっかりと拾ってくれているので素晴らしいです。
それではお待ちかねの正解!各ファイル名とその内容は以下の通り。
いかがでしたか?
個人的な感想
個人的には1つ目のグラスをスプーンで叩いた音ではあまり違いがわからなかったです。強いて言えば、ほかの2つに比べて「96kHz/24bit」のファイルは少しだけ音が荒いように思いました。
2つ目の鴨川でのフィールドレコーディングだと、DSDがちょっと生っぽい感じがします。音が抜けて聞こえるというか、それゆえPCMのほうが音のレンジが狭いとまでは言わないけど、聞こえる音の天井が感じられるような気がしました。
レコーディングのデータを見る限りは、たしかにDSDのほうが濃密に音声を拾っているように思えます。
しかし、個人差や視聴環境にもよるとは思いますが、視覚的なデータ(収録したときに見える音声の波形)と聴覚的な感覚はリンクしているときとしていないときがあるんだという風にも捉えました。
私の環境ではこのような感想になりましたが、もっと環境の整ったスタジオや、ヘッドホン、スピーカーなどで聴いてみると変わってくると思います。みなさんはどうでしたか?
最後に
今日も最後までご高覧いただきありがとうございました。
久しぶりの比較実験楽しかったです(笑)
家でも手軽にハイレゾが楽しめる時代にもなってきたので、DSDが再生できる機器も増えつつあります。
また、制作においても私が良く使うフィールドレコーディングには適しているんじゃないかと思ったので活用できたら嬉しいです。
ただ、先ほどメンションしたPhile Webさんの記事にもある通り、DSDのは編集が難しいことから制作に生かすには今のところLPCMへの変換が必要です。あと、けっこうハイビットレートで変換しないといけなくなるとマシンパワーも必要になってきますね。
最近お借りして試したM1 Max ProのCPUがめっちゃ早かったので、随時どのソフトも対応してくれたら・・・とマシン側にも期待を持ちながら、新しい制作方法を試すヒントになった実験でした。
音響の世界も深い沼ですが、知れば知るほど楽しいですよね!
晴れの日の鴨川。水面がキラキラ。
今日もよい1日を^^
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