ゆくり設計室です。
埼玉県越谷市というところで、自然素材の住宅を設計しています。
前職の設計事務所で13年修行している間に建築した自宅で開業しました。
7月から3期目に入ります。
「ゆくり」の意味
「ゆくり」とは、ご縁の「縁」と言う意味の古語です。
「縁もゆかりも・・・」と言いますが、辞書を見ると、
【縁】ゆくり
1.合わせ。交わり。関わり。関与。
2.巡り。巡り合せ。回し。送り。操作。
家づくりは、ご縁の賜物。
お金を払う人、指示を出す人が一番上、というピラミッド型ではなく、住まい手さん、作り手さん、みんなで手をつないで、楽しく心地よく暮らせる家を作っていきたいなと思っています。
私は文系大学の出身で、建築の大学に行っていないことがとてもコンプレックスでした。建築士の資格試験の制度は、建築の大学を卒業していない場合、かなり長い年数、実務の経験を重ねないと受験資格が得られません。そのうえ、数学がとても苦手だった私は、一級建築士の試験に合格するのにかなりの年数を要しました。
でも文学が大好きで、理系脳ではなかった私の強みは、建て主さん、作り手さんの中の物語を発見できること!それに気づいてからは、この仕事が更に大好きになりました。
家づくりって特別な体験だと思います。
これまでの人生、そのすべてが反映されたかのような「モノ」の保管、整理。よそと比べて別に普通だと思っていても、よく見ると、その人独特の暮らしの作法があります。自分を見つめる、とても貴重な機会です。
それから、これからの希望。どんな暮らしをしたいか。家族みんなで庭でバーベキューをしたい!という仲良しな大家族や、二人だけで静かに暮らしたい、というご夫婦や。まだ生まれてないお子さんの子供部屋を準備する家づくり、近い将来の介護を意識した家づくりも。
住まい手さんの「これまで」と「これから」どちらにも物語があります。
そして、それを作る人たち、材料を作る人、大工さんや職人さんにも物語があるし、もっと言えば、家自体にも物語があると思うのです。
修業時代、先輩の女性建築家に言われたこと、
「本当に良い家というのは、住まい手さんの個性に寄り添ったオーダーメイドの家でありながら、普遍的な良さのある家」
それが家自体の物語なのかな、と思っています。
物語の大好きな文系出身建築士。業界ではちょっと変わった経歴ですが、この仕事に出会えて本当に幸せだなと思っています。
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