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待つ事も大事

日中は暑い日が続いている。おかげで、ほんの少しだけ、黒ずんできているオリーブたち。それでも、昨年に比べると、成熟するのに、もう少し時間がかかるような気がしている。イタリアでも、プーリア辺りは、既に搾油も終わっているようだけれど、トスカーナのマレンマ地方はだいたい、このくらいの時期から収穫が始まる。フィレンツェ辺りだと、もっと遅いのが普通かと思う。我がオリーブ畑のご近所さんは、昨日、1回目の収穫と搾油を終えたのだと言った。早いなぁ。個人的には、この、「収穫の時」を決めるのが、味の決め手になる…と思っている。もちろん、その土地に出来たオリーブの種類や質にも左右されるんだけど。数少ないながら、これまでの経験として、まだオリーブが青々としているうちは、ポリフェノールは豊富だけれど、独特の苦味があって、味わいが少なく、黒く成熟してくると、味は出てくるけれど、ポリフェノールはグンと減って、トスカーナのオリーブの特徴であるピリピリとした感じは少なくなってくる気がするから、このバランスを保つためには、「収穫の時」を慎重に選びたいと思っている。9月の末にオープンした、いつもの搾油所に顔を出すと、「今年の搾油率が低くってね…しかも、木の枝のような味なのよ。」搾油所のシモネッタが、そう呟いた。多分、搾油するには早すぎるんだと思う。もしかしたら、実が小さい…というのもあるのかもしれない。オリーブ畑を徘徊したら、そこそこ大きな実もあるけれど、昨年に比べたら、小さめな気がしたから。待つ事も大事。ついつい、習慣で、同じ日に決めてしまいがちな「収穫日」。今年は、もう少し、待つことにしよう。

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