![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63739373/rectangle_large_type_2_e27e03bf73e0954987228565f5b702be.jpg?width=1200)
トスカーナ・オリーブの夢 16
7月半ば。
オリーブの実が、少しずつ大きくなっているのが分かる。
「いやぁ、ビックリさせられたよ〜。」
オリーブ畑に行くと、現場に来ていたフランコが笑いながら、そう言ってきた。
何のことだろう…と思っていると、
「いや、君の苗字、OTAって言うんだね。ビックリしたよ。OTAって言ったら、トスカーナに『オリーブ栽培トスカーナ協会』ってのがあってさ、そこから振込があるなんて、まさかのまさか。お金を請求されることがあっても、振り込まれることなんてないからさ。何かと思ったんだよ。」
そう、説明してくれた。
前回、搾油所を見学させてもらった際の、組合員になるための手続きで必要な組合費を振り込んだばかりだった。
しかし、OTAという苗字が、トスカーナのオリーブ協会の総称だなんて。
自分の名前には、由来とか何の意味もないな…と思っていたのに、変につながりを感じてしまう。
なんだかちょっと、嬉しくなった。
オリーブと縁があるのかもしれない…
それは私の、素敵な勘違い。
「ところで、エティケッタはどうするの?」
エティケッタとは、オリーブオイルのラベル表示のこと。
どうするもなにも、どこから手をつけて良いんだか。
私は、個人事業主だから、正確な登記は、個人名になっている。
でも、正直言うと、あまり大きく名前の表示はしたくない。
文字だけの表記も良いけれど、シンプルな感じのロゴがあったら、カッコいい気がする。
しかし、ロゴのデザイン、どうするんだ???
頭で悶々と考えていると、フランコが言った。
「気をつけてね。オリーブオイルのラベルの記載表示は、細かいことが決められているから。文字の大きさとか、表示しなければいけない内容とか順番とかさ。ちゃんと調べて、やった方が良いよ。」
そう言われて、調べてみた。
120ページにも渡る、オリーブオイルのラベルの記載事項は、当たり前だけど、全てイタリア語。
目次を読んでいるだけで、気が遠くなりそうな気がする。
うわぁと思ったけれど、決まり事は、きちんと知っておいた方が良い。
だから、ちゃんと読む事にした。
絵での表示説明があったのは、少し助かった。
オリーブオイルを作る。
単にそう言っても、正式な表記の仕方によれば、そう表示が出来ない。
私は、オリーブの栽培家ではあるけれど、オリーブオイルの生産は搾油所が担っている。ボトル詰も搾油所だ。
だから表記の仕方は、生産者とは表示出来ない。
ただし、販売責任者ではあるから、そうすると、連絡先の表示をしなければならないから、ということは、ホームページやら、ドメインやらを取得した方が良さそう。
私の頭が、ぐるぐるしてきた。
どうしよう…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?