見出し画像

8月の雨

雨が少ない…と言われていた、
イタリアの夏。

あまりにも少なすぎて、
オリーブがカラカラになってしまうんではないかと
多くの心配の声があがっていたし、
実際、
育つ前に、カラカラと黒くなってしまっている実が
少ないけれど、チラホラとあって
今年は、どうなるのだろう…という心配が
常につきまとう。

8月18日。
オリーブ畑のあるトスカーナに
ドカンと雨が降った。

強風を伴ったそれは、
バサバサとオリーブの木を揺らしていた。

降っては欲しかった雨だけれど、
この雨は救いの雨となるのだろうか…
降り注ぐ雨のオリーブ畑を
ただただ、見守っていた。

あれは確か、2018年ごろだったか。
収穫時期に台風のような悪天候の影響で
オリーブの実が落ちてしまったり、
水で膨れてしまった時があった。
それで、収穫量に随分影響を与えた。

あれから、毎年のように
不作と言われている時期が続いている。

ある年は、天敵のハエにやられ、
ある年は、風にやられ、
そして今年は、この暑さ。

自然を相手にするのは、本当に大変なのだと
思い知らされている。


大雨が降った翌日、
思わず、オリーブ畑を見に行った。
足下は、ぬかるみでぐちゃぐちゃしていたけど、
そんな事より
オリーブの実がどうなっているのか…
気になって仕方なかったからだ。


ツヤツヤとした、オリーブの実。

私の心配なんかよそに、
オリーブは涼しげな風に
ゆらゆらと揺れていた。

良かった…

自然は、私なんかが思うより
ずっと強くて、大らかだ。


今年は、どんなんだろう。


不安というよりは、
ワクワクした気持ちが
込み上げてくるのだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?