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フィレンツェの空 27/6/2021

週末のスーパーマーケット。

普段の買い物は、近所のお肉屋さんだの、青空市場の八百屋さんだの、小売店で買い物をする私でも、大型のスーパーマーケットに行く事がある。
消耗品を購入するのには、やっぱり便利だからである。
中心街から離れた場所にしかなかったスーパーマーケットも、いつからか、あちこちにでき、買い物に困らなくなった。
外来のものを認める代わりに、イタリアらしさが少し減ったような気がするのは残念だけど。

スーパーマーケットの、朝は何故か、高齢の方が多く、男女を問わず、とにかく、混み合う。
イタリア人は買い物好きが多い気がする。
人混みが得意でない私は、皆が昼食をとるだろう時間を狙って行くことにする。
のんびりと買い物ができるのは嬉しい。

そろそろ、ジェラートの時期だな…と思いつつ、冷凍食品コーナーへと差し掛かった時、
「マンマ〜」
と叫ぶ女の子を見かけた。
年の頃、3歳くらいかと思う。
家庭用の大きなジェラートを抱え、マンマがきっといつもそうしているように、買い物カートに入れようとしていた。
なんだかとても嬉しそうなのは、それがジェラートだからではなく、マンマと同じことをしているという優越感からなのではないか…と個人的には思った。

マンマが慌ててやってきた。
そして言う。

「ブラーバ、なかなか良い選択ね。素晴らしいわ。これはここに置きましょうね…」

しっかりと、元の位置に戻されたジェラート。
大人しく言うことを聞く、女の子。
なんとも微笑ましいシーンだった。

イタリア人にとって、子供はサント(聖なる人)だと思う。
親が人前で子供を怒るところを、私はあまり見た事がない。

自分の、小さな頃のことを思い出す。

同じことをしたら、きっと、怒られた。…と思う。
それが、日本だからなのか、昭和の時代だったからなのか、
それとも、単に、自分の家が厳しかったからなのか。
「これはダメ、それもダメ。」
そんなふうに言われて育ってきた気がする。

教育の仕方が明らかに違うなぁと、常々思う。
褒めるのが上手いイタリア人。
それは、決して、子供に対してだけではない。
そして、褒められたら、やっぱり嬉しい。

お世辞ではなくて、上手く褒める事が出来る人になれたら…とイタリア人を見て、時々思う。

「その服、素敵ね。よく似合っているわ。」
「あ、髪を切ったの?短いのも良いわね。」
「あら、そういう考え方もあるのね。素晴らしい。思いつかなかったわ。」
     ・
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素直に褒めるには、自分の思考の中にそういう観点が必要そうだ。

空を見上げる。
毎日違う空。

凄いなぁ。素晴らしい。

空に向かって呟いてみた。

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