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人見知りのド文系が、IT導入事例を取材するようになるまでの話

こんにちは。ヌーラボでコンテンツマーケティングを担当している清水です。

今回ブログリレーに参加させてもらえることになりましたので、私の担当のひとつである「導入事例」と、苦手を乗り越えた経験の話をしようと思います。

※このnoteは、ヌーラボブログリレー2023 for Biz Advent Calendar 2023の12月16日の記事として公開しています。


1. 導入事例はなぜ必要?

みなさんこれまで何かの購入や契約を検討した際に、導入事例の記事を目にされたことがあるのではないでしょうか。「●●株式会社では、このサービスを導入したらこんな効果がありました~」みたいな、よく見るアレです

導入事例はBtoBのマーケティングで多く用いられているコンテンツです。BtoB商材を扱う企業のwebサイトには、大抵の場合「導入事例」のページが存在します。もちろんヌーラボでも、ヌーラボのコーポレートサイトと、各製品ブログ(Backlog / Cacoo)に導入事例記事を公開しています。

この、よく見るアレ(導入事例)は、何のためにあるのでしょうか?

企業は自社の製品・サービスの特性や利点、そして契約や料金についての情報をさまざまな手法で発信しています。しかし、購入者の気持ちになって考えてみれば、知りたい情報は製品の機能や価格だけではないですよね。

具体的にどんなシーンで使えるのか…?
自社が直面している課題や現場のニーズにも有効なのか…?
自社の業種や職種でも使えるのか…?
買ってから効果が出ずに後悔しないか…?
いやまてよ、その前に購入の稟議は通るか……?

※導入担当者の心の声(想像)

導入担当者は考えなければならないことが山積みです。そこで参考にしたいのは、自社に近い業種や規模、または同じような課題を持つ企業での”実例”ではないでしょうか。

Microsoft bing  Image Creatorで生成してみた画像。「悩んでいるIT導入担当者 油絵風」
ヌーラボブログリレー2023 for Techの12/7ブログがおもしろすぎたので、真似してMicrosoft bing  Image Creatorで生成してみた画像。「悩んでいるIT導入担当者 油絵風」で生成。

導入事例では、サービス提供者である企業側の視点ではなく、実際にサービスを利用するユーザーの視点で、サービスの利点を知ることができます。さらに、ユーザーコメントや口コミではあまり詳しく語られない、導入までの経緯や背景・課題感・活用方法などを盛り込み、より使い方や効果がイメージしやすい、ひとつのストーリーとして実例を紹介しているのが導入事例記事の特徴です。

シンプルに言うと、
「ほかの人はどうしてんのかな?」って気になるじゃないですか。
「うちと同じような会社で成功例あるのかな?」って知りたいじゃないですか。
そのために役に立つのが導入事例です。

2. 事例の担当者がぶち当たる壁

コンテンツとしてはメジャーな存在である導入事例ですが、導入事例を作りましょうとなった際、実は多くの担当者が壁にぶち当たります。「顧客に話を聞いてそのままテキスト化すればいい」と思っていた担当者は、がくりと膝を折ることになるのです(大げさ)。

「思ったように話が聞けない」

これです。

がくりと膝を折った人

私はヌーラボに入社する前は、BtoBマーケティングの代理店に勤務していました。さまざまなIT企業のマーケティング施策に携わり、たくさんの導入事例の制作を担当させていただき、数多くの取材現場に出向いてきました。

その中で、「取材で会話が続かない」「インタビュアーばかりが話し続けている」「場の雰囲気が冷え切っている」という取材現場をいくつも見てきました。何を隠そう、私自身もインタビューが大の苦手でした

一体なぜ、そんな寒い状況に陥ってしまうのでしょうか。

「インタビューのやり方」「導入事例で聞くべきこと」といった情報は、検索すれば分かりやすく解説してくれているWebページがいくらでも出てきますので、ここでは説明を割愛しますね。要するにググれば出てくる訳です。

担当者がぶち当たる壁は、ここにあります。”聞くことリスト”を上から順番に一問一答していくだけでは、良いインタビューにはならないのです。

3. 上手い人を観察して気づいた、3つのポイント

事前に準備した質問票をチェックしながら、順番どおりに質問をしていくだけでは良いインタビューにならないと書きました。それはなぜでしょうか。

たとえば、「なぜBacklogを導入しましたか?」と質問します。聞かれたお客様は「簡単にタスク管理ができるから」と答えてくれたとしましょう。この回答に対して、次に何と言いますか?

「そうなんですね~。」

以上。終わり。

これでは記事になりません。この回答に対して、掘り下げて聞きたいことは(聞くべきことは)もっとたくさんあるはずなのです。
どんなタスクがどれくらいあるのか、なぜタスク管理にツールが必要だと思ったのか、”簡単”とは何と比較してどれほど簡単なのか、Backlogはどこで知ったのか……

このように、回答に対して背景や真意を掘り下げる質問をさらに重ね、回答から派生した予定外の質問をしたり、時には雑談を交えたりしながら話を膨らまていくことで、点と点がつながって、初めてストーリー全体が浮かび上がってきます。

私がこれまで出会った「この人はインタビューが上手だな」と思ったプロフェッショナルたちは、皆さん一様に

  • 掘り下げる

  • 膨らませる

  • 雑談で和ませる

この3つができていました。つまり、自分が聞きたいことだけを一方的に投げるのではなく、相手の言葉を受け取ってまた投げ返す、アイスブレイクで雰囲気を和ませる、会話のスキルが高いのです。

そして、会話のスキルのベースには「相手への興味」があるように感じました。興味を持たなければ掘り下げも膨らませもできません。何より、「興味を持って話を聞いている」という雰囲気が相手に伝わり、話しやすくなる。その結果、いろいろお話ししてもらえることになるのです。

4. それでも難しいのはなんでなの

昔むかし、私が初めて「自分で取材をしなければならない」という状況になった頃、やはりがくりと膝を折るところから始まり、次に上手な人の要領を真似ようと観察しました。
そしてようやく前章の3つがポイントだと発見したにも関わらず、まだまだ苦手を克服できずにいました。

当時の私は、克服できない理由は「人見知り」と「リテラシー」にあると自己分析します。インタビュー以前に「初対面の人と会話する」ことが不得手な上に、ITリテラシーも低い。だからだ、と。

私はエンジニアでもなんでもない、まったくのド文系です。そのため、ITジャンルの専門的な回答は、単語を拾って理解するだけでも時間がかかり、時間をかけてもうっすら理解するのが精一杯。「予期しない回答に対して咄嗟に質問を掘り下げる」なんてことは、私にとっては高すぎるハードルだったのです。

高すぎるハードルを前にひるむ人

さらに、技術的な話に加えて、業種特有の商習慣や法規制などの話が絡んでくると、また知らないワードが山のように出てきてしまう。話が分からないから興味も持てない。

さあ困った。予習したって追いつけない。聞く相手もいない。自分には不向きな仕事だ。そう悩んでいたある日の取材で、ある一言に気づかされました。

その日のインタビュアーを依頼していたライターが、取材が始まってすぐ、にこやかにこう言ったのです。

「すみません…、私まったくの素人なので、5歳の子にも分かるように教えてもらえますか?笑」

ああ、分からないって言っちゃっていいんだ

衝撃でした。目からウロコでした。言われた相手も快く、かみ砕いて説明してくれています。結局その日のインタビューは、和やかな雰囲気かつ豊富な情報を聞けて、読み応えのある記事になりました。

肩肘張って知ったかぶりをして、自分ひとりでやっている気になって、かっこつけてただけなんだ、とハッとしました。教えて、と素直にお願いすれば人は助けてくれるということにようやく気が付いたのです。

「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!」と叫んだ麦わら帽子の人がいましたが、本当にそれ。助けてもらわねェで生きていけるはずがないんです。

そこから私は弱みや苦手を晒すことにしました。取材に同行するチームメンバーに、「私はインタビューが苦手で、特に回答に対してとっさに何を返していいか分からなくて困ってる。だから助けて!」とお願いすることで、会話をフォローしてもらえるようになりました。雰囲気の良い現場が増え、自然と取材チームとしての結束も固くなりました。

助けてくれる人たちがいるという安心感から、徐々に「それはどういう意味ですか?」「こういうことですか?」と聞き返せるようになってきました。もちろん、皆さん親切に分かりやすく答えてくださいます。理解が進めば興味が湧き、自然と掘り下げた質問も出てきます。良いことずくめ。
迷わず聞けよ、聞けばわかるさ、です。

5. これがコラボレーションってやつか

今でもインタビューが「得意になった」とはとても言えません。いまだに取材の前はかなり緊張します。それでも、いろいろな失敗や試行錯誤を繰り返し、上手な人を参考にしながら、取材先の方も含めた周りの人に助けてもらって、どうにかこうにかやってきました。

この経験から得た一番大きな収穫は、ひとりでは難しいことも誰かが支えてくれる、チームでならずっと上手くできる、と実際に体験できたことです。私が誰かの「苦手…」をカバーできることだってあります。それぞれの「得意」を持ち寄ればいいんです。

「コラボレーション」という、頭では理解したつもりのフワッとしたキーワードが、実体験と結びついた感覚。
「コラボレーションってこういうことか」と、実感できた。
これは人類にとっては小さな1歩でも、私にとっては大きな飛躍です。

Microsoft bing  Image Creatorで生成してみた画像。「月面で一歩を踏み出す宇宙服の人 デジタルアート」
Microsoft bing  Image Creatorで生成してみた画像その2。「月面で一歩を踏み出す宇宙服の人 デジタルアート」

そして、後にヌーラボと出会うことになりました。

価値観が大きく変化したあとにヌーラボに出会えたからこそ、チームのコラボレーションを促進して、仕事が楽しくなるようなサービスを提供するというヌーラボのコンセプトや、「弱みを見せあえば、強みを出し合える」というコラボレーションへの考え方に深く共感したのかも知れません。

6.おわりに

あれほど苦手で胃に穴が開くかと思うほど辛かった経験が、今では強みになって、新しい世界の扉を開く機会までもたらしたなんて。当時の自分に教えてあげたいです。大丈夫、無理だと思うこともチームならできる。仕事も楽しくなってくるよ、って。そんなメッセージをヌーラボのサービスを通して発信していけたらいいなと思っています。

最後までおつきあいいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします!

ヌーラボブログリレー2023 for Biz Advent Calendar 2023

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