階段

にほん日記2019

旅に出る時に日記をつけたくなる。たぶん、その旅を終えるためにつけているのだと思う。これを書ききらないと、時差ボケが治らないような、そんな気になりながらじぶんのために書きました。ごくごく個人的な旅日誌であり、結論もなにもない、ただただ長い(14000字弱)日記ですが、よければ読んでください。
去年書いたにほん日記2018はこちらから。

12/17/19
出発の朝。6時起床。相変わらず緊張している。7時に車を呼ぶ。タクシードライバーが見たことのない道を行くので面喰らった。夫もハテナ顔。でも予想より早めに着いた。雨なので抜け道を通ってくれたのかもしれない。JALは働いている人が多い。小さな男の子二人とそれぞれのお母さん。友達なんだろうけど、いまいちまだ会話ができていない感じが可愛い。いつものバーで一杯。夫は老眼鏡(英語のReading Glassという言い方が好き)を買う、が、1時間もしない内にちょっとの圧力で壊れてしまう。まただ。今月これで二つめ。がっかり。
並んでいる様子を見ると乗客の半分強が日本人か。日本人と思いこんで話しかけたら日本語が通じない、という場面を何回かみる。日本語は日本人だけのものではないし、日本は日本人だけのものでもない。だいたい日本人ってなんだろう、と旅行の時にいつも思うことをまた思う。パステルカラーの髪の女の子たち。流行っているのかな。一人だけ見れば強烈だけど、綺麗にグラデーションができるくらいたくさんいるので、それが普通に見える。重めのカット、ストレートもまた同じ。
席は27のDとE。後ろに誰もいない。トイレが近い。ウォッシュレットのついた広いトイレでとても快適な上に綺麗に掃除されていた。すごい。ボヘミアンラプソディを見る。おかげで旅行前半はクイーンズを口ずさむことになる。その後シャーロックを少し。
唐揚げとお蕎麦のお昼ご飯。夫と立ってストレッチしたり、ウロウロして過ごす。ブラッド・ピッドの新しいSF映画を見る。これは当たりで、最後まで楽しめた。その前に見たのがどちらもイギリス英語で聞き取りにくかったので、これを見て安心した。はっきりしたアメリカ英語なら字幕もいらない、かも。
出発の前日から風邪をひいていた。夫がもらってきたのをまんまといただいたのだ。どうなることやら。
12/18/19
飛行時間は14時間45分だった、と夫。長くないか?ざっくりと入国審査を通る。ここでまず夫と別々になる。先に通って、様子を見守る。いろんな人が出てくるのを見ている。国籍ってなんだろう。
荷物を受け取る。暑い、暑くてダウンコートを着ていられない。受け取ったスーツケースに無理やり詰めた。ジャケットを一応出したけれど、それさえも着ていられない。ここからはわたしの領域、しっかりしなきゃ、と思うからだろうか。疲れているのに(から?)、血が上がってかっかしている。
成田エクスプレスに乗って、新宿まで行く。同じ車両に五人ほど英語話者がいて、しかもみんなおしゃべりな人たち。ビジネスで来てる人たち。ずっと大声で喋っていたのが、どうも気になる。少し静かにして、と思うと余計に気になる。なんとか新宿へ着いた、さぁタクシーを、と探したら、タクシー乗り場が3階で??となりながら向かう。運転手さんはとても気さくな人で、大通りを避けて早稲田まで行ってくれる。19年いるけど、東京の電車はいつまでもわかりませんね、だって。だよね。リーガロイヤルホテルはのんびりした、昭和の豪華なホテルという感じで入った瞬間とてもいい感じがする。一気に力が抜けた。ポーターの人が夫にもわかるように英語で話してくれたんだけど、とっても味があって、真面目なのにおもしろかった。部屋も広めでいい。
とても疲れていたけれど、向かいのラーメンを食べに行く。徳島ラーメン。ちょっと濃すぎかも。夫は部屋に帰ると倒れるように眠る。わたしは半身浴をしたけど、眠気がすごすぎて早めに切り上げて眠る。夜中目が覚めると夫が起きている。サイレンがすごかったとのこと。全く気づかなかった。テレビ(CNN)を見て、外に出てみる。そんなに寒くない。セブンイレブンへ。戻って別々のベットで寝始めたけど、一緒に寝ようよと呼ばれて一緒に眠る。
12/19/19
7時過ぎに起床。トランプ大統領のインピーチメント(弾劾)をやってる。夜中もやっていたような、と思ったけれど、どうも10時間続いているらしい。あれまあ。
着替えて朝食へ。ヴィンテージのカーディガンにジーンズ。夫はちゃんとジャケットも着て。ビュッフェは美味しかった。夫は楽しそうに色々と試していた。部屋に戻り、一人で郵便局へ行く。zineを出荷するのだ。結局全部で60冊くらい持ってきただろうか。スムーズに出せて、部屋に戻って、連絡のメールを送る。テレビでは弾劾が決まった瞬間をやっていた。ああ、何か変わって行くんだな。
11時に出発。小雨が降っている。適当に歩いていて見つけたピンクの傘を買う。二本乗り継いで南荻窪へ。そこから少し迷ったけど、若い男性が丁寧に教えてくれて「るるの庭」へたどり着く。外に似たようなピンクの傘があって、中をのぞいたら、笑顔のようこさんがいる。もちろん傘はようこさんのだった。彼女はわたしの双子と言えるくらい似ている。同時に入ったお客さんが1組、それから次々とお客さんが続く。わたしたちは最後でいいですよ、と言って3人でおしゃべり。畳の上のコタツだったので、夫は少し辛そうだった。ジーンズだしね。お料理はとても美味しかった。朝ごはんしっかり食べたのに、全部美味しくいただける。高野豆腐と百合根、大根の煮物、ルシアっていうチコリの仲間の紫の野菜とほか色々のサラダ、わさび菜となめこのお酢の物、かぼちゃのサラダ、具沢山のお味噌汁、寝かせた玄米。マクロビオティックのお料理。建物自体も古くて、他の方とシェアしているその形態もすごく理想的だった。わたしはようこさんとお話するのに夢中だったけれど、夫が見ていると他のお客さんもとっても幸せそうにしていたよ、とのこと。
お店が落ち着いてから、るるさんとちょっと喋って、お会計してから、椅子のあるところでコーヒーか何か飲もうと言って駅の方へ。途中、古道具屋さんというかお店全体がインスタレーションのようなUntidyというお店に寄る。何もかもがこじんまりとしていて可愛らしい街。幸福不動産という、おばあちゃんが一人でやっているお店が最高だった。こっそり外から覗く。短歌の添削もしてくれるらしい。駅の近くのカフェでまたひと通りお喋りして、電車に乗って途中の駅でようこさんとさようなら。そこから乗り継いで学芸大学まで。着いたらまたこれが小さいお店の集まった可愛い街だった。みんなどうやって商売しているの?ただただ楽しそうに見えるのはわたしが通りすがりだからだろう。迷って、クロネコヤマトのお姉さんに教えられてSUNNY BOY BOOKSさんへ。展示の最終日で賑わっているので、邪魔にならないようにしつつ、でもしっかり見る。どの棚も面白いものが詰まっているし、本っていうモノの深さとネット上の文章の違いについて思った。印刷物として物体になった、っていうことだけではないなにか。奥にいらっしゃった店長さんとお話しして、外で待っててくれた夫に合流したら、中で棚に見入るわたしの写真を外から撮ってくれてた。お店の前でもパチリ。来れて嬉しかった、zineも渡せたよ、と報告すると自分のことのように喜んでくれる夫が愛しい。
また電車を乗り継いで早稲田駅へ。駅は大学生でとっても混んでいる。大学生ってこんなに幼いんだっけ。全体にもっさりしている。でもひとりひとりが違う。いろんな顔があるし、いろんな服があるし、いろんな人がいる。「日本人」という団体なんてどこにもない。外国人である夫が抱きそうな感想をわたしも抱いていることが面白い。離れているってそういうことなのかもしれない。遠くにいると一人ずつの顔が見えなくなるし、ネット上なんてさらに平面だ。その場所に実際に行くこと、モノに触れることってなんて原始的なんだろう。そしてそこにわたしたちはまだしっかりと繋げられている。
今日は少し予定を詰め込みすぎた。夜は食べずにバタン。でも眠りに落ちる前にいろいろと話した。西東京のひとびとについて。
12/20/19
7時前に起きたかな。すぐに走りに行く。快晴。目の前の公園の階段を駆け上る。大きなイチョウが目印のように1本だけ。朝日でキラキラと輝いている。そこから椿山荘の中を通って戻り、コンビニに立ち寄って終了。初日だしこれくらいがいい。シャワーを浴びて朝ごはんへ。夫は今日もたくさん食べる。わたしは先に食べ終わったので、新聞をめくってみる。伊藤詩織さんの記事を見たかったのだ。真ん中の方、小さめにしか載っていなくてがっかりする。部屋のテレビでも、ついぞ見られなかった。テレビって、遅すぎる。受け身だし、見たい情報が出てくるまで見ているしかないなんて。しかもその間に見たくないニュースも見なくてはいけない。強い気持ちの時しか無理だ。
部屋を片付けて、民主党のディベートを少しだけ見て(アメリカのニュースは続けて見たいものだけを見れた。なぜ?)チェックアウト。
荷物を預けて、神保町へ。昨日のおかげですこーしだけ電車がわかった。東京の地下鉄は駅にもドアが付いていて、待つところに足跡のマークが着いているのだけど、それが脇へ避けなくても降りる人がスムーズに降りられるように配置されている。つまり、扉の少し脇に待つように指定されている。賢い。(あとで関西に行った時に、東西で違うことがわかった。これは東京の方がいいシステム。)
カナイフユキさんと待ち合わせ。すごくわかりやすいところに立っていてくださる。早速カレーを食べにいく。細いビルの、古いエレベーターで上がったところ。夫も作品の話とか、NYの話とかいろんなことを話せて嬉しそうだった。食後、神保町をぶらぶら、というか、小宮山書店にほぼほぼ入り浸った。New York Art Book Fairにも出展していた本屋さんとのこと。1階は雑誌など、二階が写真集、と来て、三階はなんと全部三島由紀夫関連だった!すごい濃い。わたしの乏しい知識と、カナイさんが教えてくださったことを説明したら夫はとても興味を持って、雑誌を買った。ハリウッド映画にもなっているとのこと。次の階がフェティズムで、でもなぜかデザインの本もあって、迷ったけれど買わずに出る。濃すぎた〜!休憩しようということになって、裏道の喫茶店を回る。さぼうるを見かけた!懐かしいな〜。京都時代、東京出張の時に来ていたところ。少し頭の中で地図が繋がった。古瀬戸へ。夫はちょっとエモーショナルになっていて、作品について話していた。カナイさんはニコニコとつきあってくださってありがたかった。小宮山書店に戻って、迷っていた本を買い、店の前で記念撮影して、駅で別れる。Jimbo-cho!やばい!とわいわい言いあいながらホテルへ戻り、もう疲れてたのでタクシーで東京駅へ。新幹線に乗り込み京都。京都駅からタクシーで、いつものホテル。あれ、なんかおかしいな?と思っていたら、敷地が2倍になっていた。わお。でも私たちの部屋はそのまま。去年とは鏡合わせの501号室。ふう、ここからはいつもの京都だ、と思ってほっとする。
とりあえず近所のラーメン屋へ。ここのラーメンはお魚メインだからあっさりしていて夜でも重くないのだ。ローソンでお水など買い込んで帰る。12/21/19
朝走りに行く。松原から確か四条大橋まで。夫はもう少し先まで。なぜか部屋の電波が悪い。その後悲しいことがあった。どんどん湧いてくる、お馴染みの感情に呑まれないようにして、涙は流したまま、本当に伝えたいことだけを差し出す。きちんと伝わった、そう思えたら、すぐに落ち着いた。ここまですっと処理できるようになっただけでもよしとしよう。午後にもまた、ショックなことがある。わたしにとって京都は過去。とにかく念押しのように向きあわされる。去年はおかげでひとつ進んだのだけど、今年はこれもういらない、と思った。
そんなことがあったけれど、午後は楽しく過ごせた。大学の友人が大原までドライブに連れて行ってくれたのだ。彼女は相手の属性にとらわれずきちんと向きあう人。夫にも苦手な英語でものすごくゆっくり話しかけてくれたのだけど、英語を話し始める前に大声で夫の名前を「〇〇さん!」と呼んだり、たまに通じないのを忘れて日本語でどんどん話したりするので、笑った。笑えることがありがたかった。美味しいカフェでビュッフェ。その後歩いて寂光院まで行ったのだけど、とても寒くて完全に風邪が悪化しているのを感じる。道の駅で祖母にジャム、アメリカの家族にハーブティー、自分たちに鬼ゆずを購入。お漬物も忘れずに。熱が上がっている感じがあって、早めに切り上げる。宿まで送ってもらい、明日は大事をとって、入っていた予定を二つキャンセルした。せっかくなのに、という気持ちが抑えられないけれど、ここで無理したらまた悪化すると思う。明日は近所でしたかったことを済ませよう。高校駅伝もあって道の規制がややこしく、日曜日で人出も多そうだし。どちらも快く理解してくださった。連絡がついたらとてもホッとした。ゆず湯に浸かって横になる。冬至だ。
12/22/19
朝ごはんはちゃんと食べられる。それから近所のパン屋へ行くも、日曜で休み。昨日行っておかなかったから〜!と夫。だけど向かいに新しいパン屋ができている。さすが京都、パンの街。そちらで少し買って帰り、夫の革靴を修理すべく、藤井大丸へ。ミスターミントというお店で相談したら、蝶ネクタイをつけた職人さんが底を全貼り替えしてももう革が古くて持たないかもしれない、と正直な回答、諦める。30年くらい前の革靴なので仕方ない。それから無印良品へ行って、下着やら、夫のセーター、ジャケットを買い込む。Lサイズがぴったり。アメリカではMサイズ。わたしは日本がM、アメリカがS。宿へ帰る途中に見つけた金子眼鏡店でメガネを作ることにする。8年ぶりか?もっとかもしれない。丁寧に検査してくれる。視力はほぼ変化なさそうだ。待ってくれていた夫と宿へ戻り、洗濯してパンを食べてのんびりしていたけれど、たまたま近所にPoetry&Pastry Nowheremanというお店を見つけて興味を惹かれる。近いし行ってみよう!と出て、見つけたら店主さんは同世代の男性で、NYのことがとても好きだと色々とお話してくださった。zineを渡して、鉛筆を買って帰る。「本当に知りたいことは答えがない」と書いてある白い鉛筆。それに一枚ずつ詩が付いてくる。その後佛光寺を覗くと、なんだか色々と中にお店ができている。へぇ、こんなふうになっているんだ。また宿へ戻るのがめんどうで、夕方だけどこのままトンカツを食べに行くことに。かつくらは相変わらず美味しい。お味噌汁にくわいが入っていて、シャキシャキと不思議な食感。東急ハンズで間に合わせの革用接着剤を購入し、今度こそ宿に戻り、柚子風呂。
夜に映画か何か見ようとしたけれどあまりいいものがなくて、早めに就寝したけれど、夜中お互い目が冴えて、話を聞いてもらった。わたしの過去の話と前日にあったこと。まだある罪悪感の話。夫はわたしが思うよりももっとタフだ。いろんなことをくぐり抜けている。いつも繊細な面ばかり見ているから、わたしが守っているような気になるけれど、本当のところはわたしが守られている。いや、わたしたちは守りあっている。今日メガネを新調できてよかった。こんなに過去に囚われているとグリグリと念押しされながらでも、ひとつ新しくなれた。まだ残っている繋がりを切って生まれ変わる作業。ひとつずつやっていくだけだ。
12/23/19
今日はランニングできる。四条のひとつ上だからたぶん三条大橋まで。シャワーを浴びて朝ごはん。10時すぎたら念願のパン屋へパンを買いに行く。朝の光の中で、心配しないでいいと言ってくれた。
夫はひとりで佛光寺へ行って日向ぼっこしてきたそう。木の脇に立っていたら、制服を着た子供がバイバーイと言いながら夫の周りをぐるぐる走って、拾った落ち葉を一枚ずつくれたり、交換したりしたそうだ。子供はどこの子供も可愛い。
なぜか急に夫が家族風呂を予約したいと言う。5時に予約。12時ごろ出て、ドラッグストアでクレイソープとトナーを勧められて購入。半信半疑の夫だったが、これがとてもよかった。(しかしこの後どこのドラッグストアに行っても見つけられない。カネボウのブランドなのに…?)錦市場は思っていた以上の混雑で、すぐにギブアップ。回り道していたらちゃんと友達に会えた。昨日見つけたラーメンを食べに行って、それから目当ての大衆酒場スタンドへ。お昼すぎなのに混んでてさすが。ビールとお酒と枝豆ともろきゅう。英語で話せるから夫も嬉しそうだ。先日の友人とは違って会話がちゃんと成立するのでさらに嬉しそう。その後友達のお気に入りのコーヒー屋さんへ。とっても静かで今度は打って変わってシーンとする。建築の本を眺める。フランクロイドライトのドローイングがすごくよかった。平面図と立体図が同じ画面に描かれている。男性としては最低な人だけど、天才だ。(この組み合わせはこの先はもう無くなるのだと感じる。)
お風呂の時間があるのでそこからバタバタと宿に戻り、ついて来てくれた友達と別れる。
家族風呂は温泉ではないけれど、石と木でとても良い雰囲気。初めて一緒にお風呂に入る。夫はお風呂自体が20年ぶりかもと言っていた。たくさん汗をかけるし、温まるし、気持ちいいよと思いつつ、お風呂文化のない国の人なので無理に誘わずにこれまで来た。この変化に内心とても驚いた。同僚にもうひとり日本人と結婚している人がいて、日本に行くなら温泉に行けと勧められたとのこと。でもそれだけじゃ彼は動かない気がする。実際に入る気になったのはどうしてだろう。まだきっと他人と一緒に入るのは無理だろうな。それでもわたしは嬉しかった。わたしの好きなものを自然と好きになってくれることが。肌の調子も風邪の具合も良くなる。
部屋に戻り休憩して、明日の準備などしていたら早く寝てしまったみたいだった。10時ごろ一度起きて歯を磨いてまた眠る。このパターンが続いている。
12/24/19
京都最後の朝。早めに起きて走りに行く。わたしは多分御池までいけたかな?夫は二条か丸太町か。シャワー浴びて朝ごはん。今までで一番混んでいる。片付けて写真撮ってのんびりしてチェックアウト。荷物を預けて、以前の職場へ向かう。夫は気を使って外に出て待っていた。お昼はお蕎麦やさんに連れて行ってもらう。天ぷらの美味しいところだった。楽しかったけど、疲れてくる。1日の活動時間せいぜい3時間というところ。まだ風邪を引きずっているのと、もともとそんなに活動的な方でないので人に会うのが続くと疲れるのだろう。それとも旅行中はそんなものなのかもしれない。いつもと違うところで寝起きするとなにか知らず知らずのうちに体力を使うのかも。次はなにもしない日を必ず作ろう。
なんとか奈良ホテルまで日暮れ前にたどり着く。今回の部屋は改修済みの本館で、ロビーからすぐのところなのに静か。天井が高く、スタイルは昔風なのに、電気の暖炉があったり、バスルームが最新式でびっくりする。夫はすぐに横になって寝てしまう。疲れている。明日のことを決めたかったけれど、仕方ない。流れに任せることにした。9時半ごろ復活した夫とバーへ。窓際の席でティオぺぺ。その後カウンターへ移動する。若い女性バーテンダーさんが格好よかった。ジンギムレットをいただく。ギムレットは義母の好きだった飲み物。彼女の好みはウオッカベースらしいけど。
とても素敵なクリスマスイブになった。10時半ごろ満足して帰る。カクテルの値段、安すぎない?NYの半額くらいかもしれない。すぐに寝てしまった。
12/25/19
クリスマスの朝。快晴。奈良は空気が緩んでいるというか甘い。京都から来るから余計にそう感じるのかもしれなかった。ならまちをウロウロしてピンと来た二軒目のカフェで朝ごはんにする。他にお客さんいなくてどうかなと思ったけれど、これがまぁたいそう美味しかったのだ。厚切りの食パン、サラダ、ポテトグラタン、ヨーグルトに手作りのりんごジャム。コーヒーも美味。そして泣けるくらい安い。いいのかな。
あんまりホテルの部屋が良いから、延泊しようと思って調べるも、予約時の2倍になっていて断念。うーん、すごくお得だったんだな。
かよさんに連絡して、朝ごはんと同じところでランチしようということに。1時に待ち合わせ。それまでお互い書きものして過ごす。
お会いしたかよさんも風邪で声が出ていなかった!わー、みんな冬至の毒出しだろうか。わたしの過去の色々も冬至ならではだったと感じる。いちばん暗いところを通り抜けた。
かよさんも英語で話してくださるから夫は嬉しそう。ランチはものすごいボリュームだった。賑わっていてホッとしたし。夫は先にホテルに戻るというので、かよさんのお友達のカフェに行ってラジオを録音した。ちょうど終わる頃にお客さん。よくできている。一緒にホテルに行って部屋を見せて、記念撮影してさようなら。ヨガはできなかったけれどお会いできて嬉しかった。
その後チラリと散歩へ。明日は走ろうと言ってコースのあたりをつけに行く。それからバーへ。今日はまっすぐカウンターに座ったら覚えていてくださった。クリスマスなのに静かでとってもよかった。ティオぺぺはなくて他のシェリー酒をいただく。その後わたしは雪国という名前のカクテル。夫はまたギムレット。部屋に戻って早めに就寝。とてもよいクリスマスだった、今まででいちばん、と言いあって眠る。
12/26/19
5時には目が覚める。まだ暗いなか、走りに行く。くるりとホテルの周りを回って、猿沢の池。ほとりに鹿が何頭もいるけれど、特に反応なし。戻ってシャワーを浴びて、昨日夫が買ってくれていたパンなどを食べ、パッキングしてもまだ時間がある。ちょっと横になってぎゅっとしていた、つもりがいつの間にか寝ていて、起きたらチェックアウト寸前だった。危ないところ。
慌てて支払いを済ませ、荷物を預けて、外にコーヒーを飲みに行く。なまけものというパン屋さん。じゃがいもチーズのパリパリと、黒ごまのパンにコーヒー。全て美味しい。
ホッとして戻って、写真を撮り、シャトルに乗り込んだ。
JR奈良駅から新大阪へ。去年は近鉄だったのかもしれないな。大阪市内に入ってからがやたら長くてなんだか疲れてしまった。
北急で千里中央へ。実家へ一報入れてからタクシーに乗る。ああ、着いた。父がコーヒーを入れてくれて母も帰り、ワイワイと話していると叔母といとこが寄ってくれる。お土産を渡したり、いろんな話をして、父のご自慢の昔のビデオを見る。
背が伸びたね、と言われるが、もちろんそんなことはない。背筋は伸びたかも、向こうでは外では胸を張ってないといけないから。やっぱり日本の男の人は全然怖くないと思う。おじさんも若い人もすぐにやっつけられそう。でもこれは一時的な錯覚なのだろう。スーパーマリオ的な。もう少し長くいると馴染んでしまうのだと思う。
みんなが帰った後、少しゆっくりして、おでんを食べて早く寝た。
12/27/19
朝起きて走りに行く。母校の中学校の外周。わたしは3周がやっと。夫は6周。それから二人でお風呂に入った。狭いけれどジャクジーがあるので楽しい。ジャクジーのアメリカ英語の発音が違っていて面白い。クに力が入る感じ。朝ごはんの後、施設にいる祖母に会いに行く。隣の部屋の人に2年前にもらったポーチを見せたけれど覚えていらっしゃらなかった。祖母にお土産のスカーフをわたす。今回は気に入ってもらえた様子。去年のお土産の柿色のスカーフは、「なんやこれ、年寄りの色やな。」と一蹴。94歳だが、おしゃれは健在。去年から全く歳をとったように見えない。帰り道、緑地公園で降ろしてもらって、blackbird booksさんへ。覚えていてくださった。じっくり本を選ぶ。藤本さんの詩集、気になってた岡野さんの短歌、安福さんのポスター、ポストカードとzineをお土産に購入。吉川さんに藤本さんとの不思議なご縁を話した。zineもお渡しできた。ご近所のオススメのランチを聞いて向かったけれど、すごく混んでいて断念。千里中央に戻り、ニューアストリアでトンカツサンドを食べることに。ここでも待ったけれど、半袖で白髪の男性がハキハキと切り盛りしていて、着席とほぼ同時に出て来る。美味しかった〜。その後ウロウロと薬局や文具店のぞいて、セルシーが閉まっているのを見たりする。ここも変わるんだな。子供の頃、ここでどれだけ走り回ったか。オーガニックのお店を見つけて、色々買い込む。ふりかけ、だしパック、葛粉、野菜ジュース。モノレールで帰宅。部屋でのんびりする。弟が来るのを待ちきれずにスキヤキ食べよう、としたらちょうど到着。猫二匹連れてる。居間に出したけれど、怖がってるみたいでかわいそうだと感じる。隠れる場所を探しているみたい。夫は密かにスキヤキを食べたいと祈っていたからとっても嬉しそうだった。春菊が気に入ったよう。先に食べ終わったわたしに弟が猫を無理やり抱かせようとしたら、怖がった猫の後ろ足で引っかかれてしまう。びっくりしたけど、とにかく猫が気の毒だった。血が出るのを見て夫がパニックに。バタバタと終わる宴会。早々に寝る。
12/28/19
走るのはパスしてゆっくりする。お風呂で子ども科学電話相談を聞く。かわいいな。祖母から電話があって、夫に何か買ってあげたいとのことらしい。遠慮しつつもじゃあ帽子かな、という夫を連れてみんなで近所の高級ディスカウント店へ。品数が少なくて変わった百貨店、という感じのところ。なぜか紳士服売り場に帽子がなく、セーターを母と見ていたら、夫はコートをずっと見ている。いいじゃん、これにしよう!と、断る隙を与えないよう次々と試着させ高速で決めた。夫は恐縮してるけれど、母がわたしにこれまでつぎ込んだ衣装代を思えばなんてことない。母は着倒れだ。夫を見ていて、わたしは受け取ることに慣れているなと改めて思った。おつまみとお菓子も買って、仕事用の買い物を済ませにコーナンに寄って帰宅。お昼はお好み焼き。初めて食べる夫のために、ソースを試食させようと脇に出したら、母がうるさい。こうやって上にベターって塗るの!と言って見せてた。はいはい。青のりもたっぷり。マヨネーズはなし。好きにさせてあげてよ、というと、でもちゃんとした食べ方を知って欲しいし、と。わかるけれど、疲れるのでほって置く。
夕方外へ散歩。パンを買ってきて部屋で食べる。リンゴを剥いて、ブルーチーズと一緒に食べる。義母の好きだった食べ方らしい。わたしも好みだった。大体の食の好みが同じ。もし会えてたらどうだったろうか。
12/29/19
朝走る。わたし3周、夫7周。お風呂入って、だいぶ遅めの朝ごはん。今日はさわぐりさんに会いにエキスポシティまで。夫はその間ひとりで千里中央をうろうろしてる、とのことだったので、翻訳機を持たせ、住所を書いた紙を持たせ、待ち合わせ場所と時間を決めて出発。携帯電話がないってこういう感じだったな。(日本滞在中はお互い携帯電話なし、wifiが頼り)
一度弟に連れて行ってもらったロンハーマンカフェへ。並んでいるけれど、天井も高くてゆったりした雰囲気。さわぐりさんと無事に合流できた。初めてお会いしたのだけれど、そんなこと気にならないくらい、話すことがたくさんある。待ち時間、ランチ食べてる時、その後お茶しながらラジオ録っている時、ずっと話し続けた。少しだけ関わらせていただいた、zineが出来上がり、光栄にも一番に手渡しでいただいた。手にした瞬間、なんとも言えない感動があった。物資になっていること、そのことが単純に嬉しかった。話し続けたけれど、まだ話せるなぁ、というところで時間切れ。駅で別れる。住んでいる国が違うのに、同じ国に住んでいる人よりもよっぽど話が通じる。こんな気持ちになれることがとても嬉しい。
モノレールでビニール袋からそっとzineを出して読み始める。混んでいるのだ立ったまま。すると千里中央の駅で多くの人が降りた向こうに、心細そうに立っている夫を見つけた。慌てて声をかけ、降りようとしたけど間に合わず、閉まったドアの向こうから手振りで、次の駅でね、待ってるね、と話す。残念だったけど、ちょうど見える位置に立っていたことがすごいと思う。
無事合流、駅でハグしてお互いの数時間を報告しあう。ひとりで先日のトンカツサンドとコーヒーを食べてきたらしい。うまく英語が通じなかったけれど、機転を利かした店員さんが写真を見せてくれて事なきを得た、とのこと。よかった、よかった。野菜ジュースも購入していた。こうやって少しずつ慣れてくれたらいいな。
帰宅後、夜は残り物ご飯。父が勧めるままに緑茶を飲みすぎて眠れない。
11/30/19
朝起きると雨。強め。走るのは諦める。お風呂に入り、リンゴとコーヒーだけの朝ごはん。友達と早めのランチの予定なので。両親は祖母を迎えに行ったので、その間に出よう、ということに。バスと地下鉄で淀屋橋へ。遅刻したけれどちゃんと会えた。調べておいてくれていたカフェがなんと年末でおやすみ。そうか、この辺りはオフィス街だものね。ちょうど雨も上がったので、フラフラ歩いて老松町へ。一件目の蕎麦屋さんは満員、二件目のバーのような喫茶店へ。実際に夜はバーなんだろうな。昔ながらのランチ定食。ハンバーグ、エビフライ、コロッケ、サラダ、お味噌汁にご飯。美味しかった。
そこから芝川ビルへ行ってみるもまた休み。1階のバーへ行く。IPAがあった。なんだか面白い雰囲気。友達と駅で別れて、地下鉄とモノレールで帰宅。途中、夫のReading Glassを購入。丸いレンズが可愛い。ちょっとツルの長さが足りていないように見えるけれど、本人は満足らしい。
家には祖母もいて、早速新しいコートを見せる。少し話して、荷造り開始。途中でさわぐりさんのzineを読み終えた。帰国中に読めてよかった。じぶんの言葉で文章を書くこと、そのことがその人自身にもたらすこと。売れるとかたくさん読まれるとかはやっぱりどうでもよくって、書くことそのもののちからを思った。
弟がまた来て、みんなで晩ごはん。コロッケ、ローストビーフ、サラダ、などなど。豪勢だけど、わたしはあまり食が進まなかった。
祖母が、あんたら喧嘩するんかと聞いてくる。しないよ、夫の亡くなった母がわたしの中に住んでいることになっているから、と言ったら、横から母が、ああ、だから私たち夫婦はまだ喧嘩するんやな、まだここに元気でいはるもん、と笑う。
早々に切り上げ、夫に父の相手をさせたまま(大阪弁を教え込まれている)、明日のフライトのチケットを印刷しようとするが、なぜかプリンターが言うことを聞いてくれない。夫も寄ってきて格闘のすえ、紙を支給するカセットの設定を変えてどうにかなった。ふう。チェックインの際、今回の再入国の件での懸念が目に見えて迫って来てナーバスになる。大丈夫、大丈夫。弟を見送って、早めに寝る。
12/31/19
5時ごろ謎のカシャカシャいう音で目が覚める。なにかと思ったら祖母が寝ぼけていた。夫がいちばんに目覚め、最終的に全員起きたけれど、また眠る。最後のお風呂。次はいつ浸かれるかなぁ。戻ってあの浴槽でも入るだろうけれど、やっぱり違う。
朝ごはんはたっぷりと。パン、ハムとソーセージ、卵、サラダ、ヨーグルトにコーヒー。しっかり食べて、最終の荷造り。12時に出れば間に合ったのだけど、祖母が早く行けと急かすので、11時過ぎにはみんなで写真を撮ってバタバタと出発した。母が伊丹空港まで送ってくれる。送迎車の駐車場がわかりにくくて、今年もまた間違える。軽く挨拶してさようなら。うちの家族はいつも別れ際があっさりしている。
ANAで成田まで。案の定、時間が余っている。日記をつけたり色々してから乗り込む。1時間だけのフライト。荷物をいったん受け取って、国際線に行くが、次はJALなのでターミナルが別でバスで移動しなければならない。なんとかチェックインを済ませ、先に腹ごしらえすることにした。ヴィーガン料理の店で麻婆豆腐、夫は醤油ラーメン。コンビニでお酒買って、座って飲み、一服してからセキュリティを通る。搭乗までにはすごく疲れていて、もうこのまま眠れるかなと思ったけれど、なぜか起きていて、ご飯も軽く食べ、映画も見た。今回のはハズレ。アメコミ?の映画。アクションが多く、シリーズものの最新作なので、人物関係もわからず、ただひたすら長いのに最後まで見てしまった。同時に見始めた夫は途中から盛大に寝ている。その後少し寝て、起きてストレッチ。また食事が出てしばらくしたらもう到着。帰りは12時間切るくらい。この最後の数時間がないだけでかなり楽だ。まっすぐ太平洋を突っ切るから?地球の自転のため?貿易風のため?理由はわからないけど、帰国する時に短いのは気分的に楽である。
さ、問題の入国審査。去年は空港自体が大混乱だった。夫婦でずっと話のタネになっている職員さんをまた見かける。まず機械を使って通ろうとしたら読み込まず、助けを求めると、あっさりと、解決方法を教えてくれる。並び直して職員に必要書類を見せたら通った。出発前からの心配事だったから、順調に行きすぎて力が抜けるほど。ああ、よかった、とじわじわ後から実感する。そのままタクシーに乗り、帰宅。そんなに寒くない。ここはまだ大晦日の夜なんだ。変なの。早速荷ほどきをする。あっという間に終わる。買っておいたラビオリを茹でて簡単な食事。そのまま床でひっついて寝てしまった。年越しの瞬間に花火が上がっていた。寝ぼけながら聞いていると、いろんな方向から聞こえて不思議だった。
ああ、2020。おめでとう。ここに帰って来たんだな。




zineの制作やその他いろいろな表現、発信のために使わせていただきます。 自由な気持ちでこの世界を楽しんでいます。 ゆうこの庭に遊びにきていただければ嬉しいです!