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第2章 道程 ⑤「人生万事塞翁が馬」

 RECNAでの勤務が終わりに近づいてきた。働いた期間は計2年3ヶ月だった。楽しいことばかりではなく、時折悲しいことや大変なこともあった。もちろん仕事とはそういうものだ。ただ、この期間、普通に生活していては絶対に経験できないような出会いや仕事をたくさんすることができた。
 そもそもRECNAに空きポストはない。それが、科研費担当ということで特別に枠ができたのだ。通常は、RECNAで働く=長崎大学の職員になり、RECNAに配属されることに一縷(いちる)の望みを託すくらいしか方法がない。それかいっそ大学の教授になりRECNAに着任するか、だ。当然前者が一番現実的であるが、運よく配属されたとしてもいずれ異動がある。

 もちろん、RECNAで働けるように自分を売り込んだり、そこでの就職を見越してユースの活動をしたりしたわけでは全くない。進路未定で大学を卒業する羽目になったのも、卒業後の公務員試験に再び挫折したのも、全てここで働くためだったのかもしれないと思った。人生、何がどう転ぶか本当にわからない。まさに「人生万事塞翁が馬」だ。
 
 退職を3週間後に控えた2018年2月上旬、私は退職のご挨拶メールを、科研費の学外研究者や客員の先生方等、関係各所一人ひとりに宛てて送った。多くの方々からすぐにご返信をいただいた。
 感謝・労い・はなむけの言葉… 一言一言が元気と力をくれた。それと同時に、自分の仕事ぶりをきちんと評価していただけたことが何よりも自信になった。退職する寂しさはもちろんあったが、自分の役割を無事果たし終えたことで肩の荷が下り、ほっとした気持ちの方が大きかった。

 こうして2018年2月28日をもって、RECNAを任期満了で退職した。


第2章 道程 終わり


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