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第4章 出発 ⑤「素朴な問いこそ悩ましい」

 そうして練り上げた講話をおよそ30分して、その後は質疑応答に移り、生徒代表の感想・終わりの言葉で締めるという流れが基本だ。

 講話は通常1コマの授業時間(45分~50分)を丸々使う。中には2コマ使って前半を講話、後半をディスカッションということもあった。50分講話をしてくださいという依頼もあった。そんな時は、核問題の基礎知識や核兵器の歴史など、現代の問題に直結する話を加えた。

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 個人的に一番楽しみなのが質疑応答だ。私は何を聞かれてもおおよそのことは答えられるように準備している。ただ、ときどき予想を上回る鋭い質問が飛び出してくるから無防備ではいられまい。

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 大体質問のタイプは3つに分かれる。被爆者(勲さん)のこと、のこと、そして原爆や戦争全般のことだ。
「勲さんに聞いた話で、一番印象に残っている話は?」
「講話をするようになったきっかけは?」といったことは、ありのままに思ったことや事実を話す。

 また「爆風は風速どれくらいなの?」「日本以外に原爆が使われた国があるの?」といったことは、歴史的・客観的事実をもとにわかりやすい説明を心がけている。

 例えば「一番大きくて強い台風は、1秒間に80メートルの風が吹くといわれています。それに対して、原爆の爆風は1秒間に440メートル、5倍以上の風なんです。80メートル級の台風すらなかなかないのに、440メートルの風速なんて、ちょっと想像つかないよね」という感じである。



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