下田悠子

脚本家「ぼくは麻理のなか」「青と僕」「文学処女」「夏、至るころ」「ねぇ先生、知らないの…

下田悠子

脚本家「ぼくは麻理のなか」「青と僕」「文学処女」「夏、至るころ」「ねぇ先生、知らないの?」「捨ててよ、安達さん」「シックスティーン症候群」

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  • 脚本「ストライク・アップ・ザ・バンド」小説版

    元々映像化を目指して書いたシナリオでしたが、物語に描かれていない登場人物のその後、口数は少ないけど強い思いを持っていた人物、威圧的な指導は結果さえ残せば許されるのか、その後生徒たちはこの教育的指導を経てどんな大人になっていったのか。シナリオ部分だけでも物語として完結し、小説部分を読むとまた違った物語となります。

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脚本家が書いたショートドラマ『めざわり』

───「まともな生き方」って何? 散らかった室内。 いかにも男の一人暮らし。 夕焼けチャイムが聞こえる。 ベッドに寝ている男、哲也(24)。 無精髭を生やして、だらしがない風貌。 携帯で時間を確認すると、 哲 也「(消え入りそうな声で)死にたい死にたい死にたい……」 と、インターホンが鳴る。 無視。 また鳴る。 布団から顔を出す哲也。が、無視する。 と、ドンドンドンドン! とドアを叩く音。 哲 也「!!」 誰かがドアを激しく叩く。 女の声「テツーー!! 哲!! て

    • 脚本家に質問あったら教えてください。

      こんにちは。 息絶え絶えながらもなんとか脚本で生き延びている下田悠子です。 以前から脚本家で生きていくコツのようなものを新人が偉そうに書き連ねていましたが、たくさんの方に読んでいただいて「参考になった」というお声も頂きました。 わざわざメッセージを頂き、直接会いに来てデビューを掴みかけている中で抱えている悩みをご相談下さったり、原稿の添削をお引き受けしたこともありました。こんなまだまだ未熟な自分を頼ってくれたことは嬉しかったし、 自分に来た依頼の中で、あの人向いてそう、と思

      • 才能があるから脚本家になったんじゃない。

        まず、この文章は「です。ます。」調を使わないことをお断りしておく。 これまでの投稿は主に、「脚本家を目指している方」へ向けて、私程度の短いキャリアの者でも知っている限りのことを綴ってきた。頼まれてもいないのにノウハウを伝授する気恥ずしさから「お前誰だよ。偉そうに語ってんじゃねーよ」と自分に自分でツッコんでしまい、自ら公開しておいて時折「お前がノウハウ語るな」モードに陥り、消してしまいたくなるときもある。それでももし誰かのお役に立てたら、という思いで書いて来たため、なるべく丁寧

        • ヤンシナで入賞できなかったけど脚本家にはなれた話。

          こんにちは。脚本家の下田悠子です。 フジテレビヤングシナリオ大賞の募集が始まっていますね。 私が応募したのは第27回。 脚本の勉強を開始して10ヶ月頃経った頃でした。 基礎的なことも十分会得できていなかったあの頃、コンクールの傾向も調べていなければ対策も立てず、学校に提出する課題を投稿しました。

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          5分の短編て一番難しい!初めて書いた脚本を振り返る。

          こんにちは。脚本家の下田悠子です。 私は2015年4月、映画美学校の脚本コースに入学しました。 今回は、その年の5月ぐらいに、私が生まれて初めて書いた脚本を振り返ってみようと思います。 この脚本は『5分映画実習』というクラスの課題でした。 指定された撮影場所と5分という制限時間を守り、クラス内で選ばれた3作をチームで撮影するという実習です。 まず、私は5分の短編映画というものを見たことがありませんでした。 いつも観ているドラマや映画の尺でどう展開するのかはなんとなくイメージ

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          だいたいみんな言うけどけっこう大事な脚本トレーニング

          こんにちは。脚本家の下田悠子です。 仕事を始めてもうすぐ5年になります。なんとか食べれています。猫は飼えていません。 今回は脚本を勉強するにあたって、やった方がいいと感じていることを書いてみます。

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          だいたいみんな言うけどけっこう大事な脚本トレーニング

          ググっても出てこない、脚本家になる方法

          こんにちは。脚本家の下田悠子です。 2016年3月に初めて仕事として脚本を書き、現在に至ります。 この投稿はいま脚本家を目指している方、あるいはチャンスを掴みかけているのに、どう動けばいいのか変わらず彷徨っている方に、少しでも私の経験が役立てば、という想いで書いています。 というのも私自身、専門学校での勉強を終えてからプロデビューするまでの道筋が分からず、検索しても手がかりが得られなかったからです。 また、デビューしてからの1・2年はこの業界のスピード感と世間とはズレた「

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          ググっても出てこない、脚本家になる方法

          脚本家が書いたショートドラマ『壁や植物が返事し出したらすぐ連絡して下さい』

          <304号室> 不動産会社に勤める林田圭亮と、最近webライターとして独立した生明マキ。生明は『あざみ』と読む。 ふたりは付き合って1年。半同棲状態である。 ギターを練習している圭亮。なにやら気合が入っている。 圭亮は「プロポーズ」に向かって着々と準備を進めていた。 その夜、圭亮は一緒に暮らしているマキの部屋で、プロポーズした。 何気ない会話の中で、自然と口にしたのだ。 「マキ」 「うん?」 「林田マキに、なってくれませんか?」 「……」 ───決まった。不意打

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          脚本家が書いたショートドラマ『はじまりの青』

          「───こんなときに死にたいなんて言えないあなたへ」 ×     ×     × ───賃貸アパートの一室。 田崎美森(33)が、不動産業者との手続きを済ませる。 業者「(電卓を見せて)こんな感じになります」 田崎「わかりました。ありがとうございました」 サインをする田崎。 ×     ×     × また別の賃貸アパート。 おそらく二人暮らしであろう部屋。 音羽ふみの(30)が、ベッドサイドに手紙を置く。 玄関を閉める音羽。 ×     ×     × とある

          脚本家が書いたショートドラマ『はじまりの青』