奥谷裕子

編集者として、雑誌『からだにいこと』をはじめとする健康コンテンツのプロデューサーとして…

奥谷裕子

編集者として、雑誌『からだにいこと』をはじめとする健康コンテンツのプロデューサーとして、日々考えていること、気づかされたこと、学んだことなどを書き留めていきます。

最近の記事

「雛の主 便りもなくて ちらし寿司」不肖の娘を詠んだ父のこと

雛の主 便りもなくて ちらし寿司 昨年亡くなった父が生前、実家を離れて久しい娘(私)のことを詠んだ句である。 大学入学とともに家を出て京都へ。卒業後そのまま大阪で就職、1年たたないうちに転職を機に実家に戻ったものの、すぐまた家を出てそのまま結婚。実家に帰るのは年に盆と正月の2回だけという歳月が流れた。 3年前、 「あなたのことは何も心配していないから」 そう電話口で言われたのが、きちんと父と会話をした最後だったように思う。 本当はその時、娘である私は、仲間4人で始めた

    • 北見ハッカと三省堂書店

      短すぎる梅雨が終わり、暑い日が続く中、あのミントグリーンがやたらと気になる。そう、北見ハッカだ。 ハッカとはミントのこと。薄荷とも書き、ハーブティーや料理に用いるスペアミントやペパーミントはおなじみだろう。ペパーミントの香りには体感温度を4℃下げる効果があるという実験結果がある通り、ミントの香りをかぐだけで涼しく感じる。その涼感効果に大きな役割を果たしているのが「メントール」という成分だ。そしてペパーミントの仲間で東アジア原産の和種ハッカは、このメントールの含有量がずば抜け

      • いーぐるとMEG

        「自由」と「ルール」のことを考えるとき、編集者になりたてのころに担当したとある連載のことを思い出す。 私は『ル・クール』というタイトルの20代後半女性向けライフスタイル誌で、ファッション・メイク・料理といった女性誌のメイン分野「以外」を担当する、いわば「遊軍」として雑誌編集者のキャリアをスタートした。旅、インタビュー、カルチャー、生き方。その中に「健康」も入っていた。 一番難しかったのが「カルチャー」だった。映画も小説も音楽も、ものすごく詳しいかといえばそうではない。好き

        • スイデンテラスと荻生徂徠

          5月のある週末、ずっと訪れたかった山形県・鶴岡のスイデンテラスに宿泊しました。 スイデンテラスは「田んぼ」の真ん中に浮かぶホテル。森でもなく海でもなく、田んぼの風景を楽しむというコンセプトで、「晴耕雨読」をテーマに、2000冊を擁するライブラリーがあるのが特徴です。 このライブラリーは、早稲田大学にある村上春樹ライブラリーも手掛けたBACHのブックディレクター・幅 允孝さんのセレクションによるもの。どの本も部屋に持ち込んで読むことができ、読み終わったら所定の棚に戻すか、部

        「雛の主 便りもなくて ちらし寿司」不肖の娘を詠んだ父のこと

          「コロナ禍を生き残る、経営者マインドの磨き方」

          「女性経営者ブランディング倶楽部」を令和元年から開催している株式会社コミュニケーションデザイン取締役・株式会社マイスタイル社長の久保田知子さんから、「女性経営者の会にお越しいただけませんか」とメッセンジャーでご連絡をいただいたのは今年のGWのこと。 思わず久保田さんに「参加させていただけるのか、スピーカーか、どちらでしょうか・・?」とお聞きしたところ、スピーカーとして、とのことでした。 コロナ禍が一因となり大きな転換を迎えた弊社が、雑誌休刊から→3カ月後に復刊できたプロセ

          「コロナ禍を生き残る、経営者マインドの磨き方」

          「生活は踊る」のこと

          声が通らない。滑舌が悪い。よくすべる。 まったくもって話すことに自信がない私なのに、時々呼んでいただくラジオの番組がある。 TBSラジオ「ジェーン・スー生活は踊る」火曜日12時35分ぐらいからの「スーさん、コレいいよ。」のコーナーだ。 きっかけは、私が健康に関する専門家をアサインし、先生方と一緒にスーさんの番組で「噛むこと」についてしゃべるという連続企画に毎月、1年ほど出させていただいたこと。そのときに、錚々たる専門家の先生方の傍らでよわよわとしゃべる健康雑誌の編集者がス

          「生活は踊る」のこと

          なまけものにはペースメーカーが必要

          メルマガ、ブログ、Twitter、Facebook、Instagram。 すべての発信を、何かしら理由をつけて避けてきた。 その一方で、初めてお会いする方や、取材先の方については、そうした発信を読むことでより理解が深まるという体験を何度もしている。 ふと気づくと、発信してきた人には「理解のきっかけ」が着実に積み上がり、発信しない自分の手元には何もない。 昨年、会社で大きな変化があった際、このnoteを社内報のように使わせてもらったことがあった。外部には公開せず、「下書

          なまけものにはペースメーカーが必要