スイデンテラスと荻生徂徠
5月のある週末、ずっと訪れたかった山形県・鶴岡のスイデンテラスに宿泊しました。
スイデンテラスは「田んぼ」の真ん中に浮かぶホテル。森でもなく海でもなく、田んぼの風景を楽しむというコンセプトで、「晴耕雨読」をテーマに、2000冊を擁するライブラリーがあるのが特徴です。
このライブラリーは、早稲田大学にある村上春樹ライブラリーも手掛けたBACHのブックディレクター・幅 允孝さんのセレクションによるもの。どの本も部屋に持ち込んで読むことができ、読み終わったら所定の棚に戻すか、部屋にそのまま置いてチェックアウトしてもOK。
書棚にはところどころ、本の中の文章を抜き出したカードが立ててあり、そのそばに関連する本が置いてあります。
写真集から料理エッセー、紀行文、小説まで取りそろえた、他のどこでも出会えないような書棚を前に、どんな本を読もうかワクワクしていると、こんなカードに目が留まりました。
なぜ今、弊社で「識学」を導入してルールにもとづいた組織づくりを進めているか、の大前提がまさにこれなんですよね。
「碁盤の目」がひかれていない、つまりルールや評価の基準がない組織では、どんなに優秀な社員でも自由に力を発揮することができず、成果が上がらない。
2020年秋に私が会社を承継した時、社員の前で「みんなで大成功したいと思います」と言ったら、「大成功の基準は何ですか。どこまでやったら評価されるんですか」と質問されました。
想いだけでは事業はできないと悩み、模索する中で、自由な社風であるからこそ「碁盤の目」が必要であると気付かされたきっかけが、識学社長の安藤広大さんの著書『リーダーの仮面』でした。
『政談』をさっそく借りて室内へ。ちなみに荻生徂徠の政談をインストールしたsoraiというシステムが支配する未来を描いた漫画学術文庫の『政談』も隣にあり、その場で立ち読みしました。
静かな田んぼの真ん中でカエルの声を聴きながら読む本ではないかもしれませんが・・・でも、「そうだよね、間違ってないよね」と改めて気持ちが定まりました。
本をパッと開いて、開いたページを今の自分へのアドバイスとして読む「ビブリオマンシー」という占いがありますが、目的もなくリラックスして書棚の前に立つこと自体が、今の自分に必要な本を選び出す「ビブリオマンシー」なのかもしれません。
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