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医療と採算 2
以前、「医療と採算」という記事を書いた。
本来、医療法人は儲けてはいけない。
2~3割の自己負担金を除くと、保険基金からの支払いを受けて経営しているので儲けることを国が許さない。
(もちろん、過去、特にバブルの時期は違っていたが・・。)
包括医療(DPC)の説明は前回の記事でも行ったが、簡単に言うと、患者さんごとに月々支払われる金額は同じで、その中で医療を行っていくという方法だ。
この方法はある危険性をはらんだ支払い方法であるとも考えられる。
医療行為の限界が病院によって定められる恐れがあるからだ。
しかし、ドクターたちは良心的であり、可能な限界まで医療行為を行おうとする。
患者の状態にもよるが、延命は最優先となる。
治療自体が身体負担となるのでなければ、当然治療するのだが、
言いにくい話だが、治療自体が生命予後を圧迫することもある。
本末転倒もいいところだ。
「定期薬」と呼ばれる毎日服用する薬がコストを圧迫することはほとんどない。
しかし、感染症にかかった場合、注射薬として用いる抗生剤のコストは非常に高い。
感染症が長引けば長引くほど赤字になる可能性は大きくなる。
そして、当然のこととして、看護師たちの負担は非常に大きなものとなる。
特に、包括医療を行う病院は、療養型であることが多く、「療養」と名前がついているが、療養することによって回復するわけではない。
したがって、患者の状態は常に介助が必要、と考えてもらってよい。
その介助の一つに当然「与薬」「投薬」がある。
内服の場合、患者の状態によっては、非常に困難な場合も多い。
錠剤は朝、昼、夕に分けた小さな袋の中に「一包化」して預けてはいるが、
必ずしもすべてを素直に飲み込んでくれるわけではない。
たとえば、「朝食後」の薬があったとしたら、その薬は「夜勤明け」の看護師か、介護士が服薬させる必要がある。
一病棟40人からの患者一人一人、しかも飲みたがらない、もしくは横になった状態で飲みこませる、など非常な困難を伴う。
「嚥下させる」ことは決して簡単なことではないのだ。
ところが、ドクターたちはそこまで気持ちは回らない。
なので、私たち薬剤師は、常に服用時を意識し、また、減薬の方法を意識して職務に当たる必要がある。
朝昼夕の薬を朝夕にまとめる、不要な薬を判断してドクターに進言する、
そういったことも業務に当たるが、実際にはカルテを確認し、さらには、それぞれの医薬品の特性を確認する必要がある。
たとえば一つの薬の副作用を抑制するための薬が追加されていることがある。
その場合、副作用を抑制する薬の中止、減量を進言するのみならず、大元の薬が適正かも判断して進言する必要がある。
減薬の提案だけが私たちの仕事ではない。
ドクターが減薬、中止を指示しても簡単に受けられない。
医薬品の中断は当然だが急激な体調変化をもたらす。
漸減すべき医薬品を突然中断すれば反跳して、それまで現れなかった症状が急激に現れることもある。
また、中断すべきではない医薬品を専門の異なるドクターが中断しようとすることもある。
当然上記のような急変に近い症状が起これば、すべての負担は看護師、介護士にかかってくる。
ドクターたちにも当然のように負担がかかってくる。
検査に要する時間も費用も大きくなってくる。
これらのことは、人件費にも反映してくる可能性が高い。
そういった事態を事前に防ぐことに関しても私たち薬剤師は関与している。
おおげさな話ではなく、そういった仕事、ということだ。
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