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山ペンギン番外編。まるがりたさんが地球に来たわけ

「やっと寝たか・・・。」

トリ2人がぐったりしてコンビニに来た。
まるがりたさんを寝かしつけてからこっそり買い物をしにきたようだ。

「以前から思ってたんですが、どうやって地球のお金を手に入れているんですか?」
トリが顔を見合わせてクスっと笑う。
「そりゃあ、気になりますよね。
我々もNASAと取引あるんですよ。我々自身は研究員を兼ねていますが、大したことではありません。
故郷の情報を伝えているだけです。」

故郷?
「我々とまるがりたさんは同じ鳥進化の霊長類(そういうんだ)なんですが、まるがりたさんは幼体のまま年齢を重ねているんです。」
確かにひよこに見える。
ですが、と言って、トリのタカさんは涙ぐんだ。
「まるがりたさんの余命はそう長くないんです。」

衝撃の事実。
「ああ、まるがりたさんの星系の公転周期で、あと10周期だな・・・。」
ワシさんも涙ぐんでいる。

え、余命10年?ていうこと?

「公転周期は我々より少し長い8969日地球換算しかないのにな・・・。」

申し訳ありません。オレはまるがりたさんを見送ることはできません。
ていうか、なんでみんなそんなに長命なんだ・・・。

「まるがりたさんは連合銀河のIT開発のトップなんです。
通常のコミュニケーションでは一次元でしか情報を伝えられない。
しかも時間に束縛される。
でも、まるがりたさんは直接脳やAIに自身の思考、まだ、言語になっていない思考を転写することができます。」

「強いて言えば我々「声帯振動型」コミュニケーションは一次元。
でも、まるがりたさんは、そうですね。2次元バーコードのようにある意味一文字でいくつもの情報を伝達することが可能です。」

脳波を直接AIに連結もしているしな。

「写真をそのまま脳に伝播するようなものでしょうか。」

いつの間にか女神が来て説明を補足してくれた。

「まあ、それはそれとして、なんかお酒飲みたいんですよね。」
「ああ、なんか妙に今日は疲れたな。」

あの、お2人は研究員とのことですが、お給料とかはいかほど・・?
2人は大笑いし始めた。
「そうですよね。我々労働しているように見えないでしょうね。」
「確かに休暇を兼ねて地球に来ているしな。」

「我々には常に、AIが行動を共にしているんですよ。
地球の情景を我々がただ「みる」、皆さんと「会話する」そういった情報や、AI自身が我々に連動して情報収集しています。
それと同時に我々はAIに守られてもいるんですよ。
護衛を兼ねているんです。」

「ただ、我々の世界ではいわゆる「貨幣価値の均質化」がなされていて、ほとんどの存在が同一賃金で働いているようなイメージです。
我々の労働はいうなれば「ポイント制」見たいなもので、勝手に蓄積していくんですよね・・・。
そして、こちらで言う銀行はなく、すべて統一政府の管理下に置かれてます。」

「話がそれましたね。
まるがりたさんはまるがりたって名前ではないんですよ。

え?
まるがりたさんは宇宙で唯一無二の存在です。なので、他者と区別する「名称」が必要ないんです。

なので、彼女を呼ぶときは、そうですね、地球の言い方では「ドク・フェム」と呼ぶことが多いですね。

じゃあ、まるがりたって・・・。

「それはNASAのプロジェクトネームの頭文字なんですよ。」(続く)


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