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語彙を調べるときに使うもの

日本語を教える前にする「レッスン準備」ですが、中級以上になると使用範囲の狭い語彙が多くなりますよね。
どのような場面で
どのような状況で
どのような意味で 使うのか
それを明確に自分で把握し、説明できるようにしておくことが必要です。
人は自分の経験でしか語彙を把握していないので、偏りがあるのが普通。
でも、ことば屋さんのプロとして、せめて教材に出てくる語彙は調べておきたい。
そんな時に私が使っているものを紹介します。


辞書

インターネット上にもたくさんありますが、まずはこれ。
「基本でしょ」と侮ってはいけない。

基本動詞の多義的な意味の広がりを図解なども用いて分かりやすく解説したオンラインツール

『基本動詞ハンドブック』

とあるように、動詞の持つ意味を立体的に理解できる優れものです。

紙の辞書で私が重宝しているのは『ベネッセ表現読解国語辞典』です。

似た意味の語を集めて図表で示した「表現チャート」で迷いなく表現を選べる。

この表現チャートが超便利!
巻末の「機能語部」は、自分で読解問題文を作っていて「同じ意味で別の表現にしたいな」と思ったときに役立つツールです。
言葉を学ぶための辞書です。

コロケーション

語彙の意味はわかった。次は使い方だ!
その段階になったら、コロケーション、つまりどのような語彙と一緒に使われるのかを調べます。
「日本人だから知っているでしょう」と思いそうですが、
では例文を作るときに、一番使われている組み合わせになっているか、自信がありますか。
私はありません。
ですから、調べます。ここで。

どちらも日本語コーパス検索ツールです。
あ、コーパスというのは、簡単に言うと言語を大規模に集めたデータベースです。
調べたい語彙がどういう語彙や表現と共起しているかを検索できます。

なぜここで調べるかというと、一般的によく使われるコロケーションというのは、必ず学習すべきだし、JLPTの用法問題に出るからです。
教えそびれることがないように、押さえておきます。

そういえば先日、ある学習者さんが「予約を解除する」と言いました。
コロケーションの誤りですね。

それでも知らない語彙を突然尋ねられたら

私はプライベートレッスンなので、本当にあります。
学習者さんの仕事の専門用語とか、どこかで見たという語彙とか。
そういうときは、一緒に調べます。
知っているようなら、説明してもらいます。
「キセル乗車はなぜキセル?」と突然聞かれたときは、一緒にウェブサイトを検索して、それを読むというレッスンになりました。
いい勉強ですよね。


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