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「中国で最近感染者数が減ったのは当局のルール変更でごまかしているから」というツイートは誤報
新型コロナウイルス関連の情報が乱れ飛ぶ中、中国語が少しわかる人間として事実関係を追ってみました。最初に目にしたツイートはこれ。
最近の感染者数の減少は、2月7日付、中国国家衛生委員会ガイドラインで新型コロナウィルスの「確認された症例」の定義を変更した事によるとの指摘も。即ち、ウイルス検査で陽性であったが症状が認められなかった患者は、確認されたとみなされなくなる。これは必然的に数値を下げる事に。
— 佐藤正久 (@SatoMasahisa) February 11, 2020
確認する。 pic.twitter.com/97X0h71eL7
添付画像の中国語の黄色いところ、日本語での解説と全く逆に見えます。ん?どういうことだ。
キーワード検索で出てきた、ソースとなったかもしれないツイートはこれ。英語のツイートを和訳したものですね。
中国の国家衛生健康委員会は2月7日付けの最新のガイドラインで検査でコロナウイルスに対する陽性反応が出ても症状が無い人の場合、確認症例としてカウントしないことを決めた模様。これでデータに感染者数は必然的に少なくなる。#WuhanCoronavius #コロナウイルス https://t.co/Cgq0Q1VSLd
— FinJPSE (@africanjapanese) February 11, 2020
結論から先にいうと、ソースの中国語文が誤読されたツイートが拡散されていました。元のツイートは、香港の新聞社・アップルデイリー(蘋果日報)の記者が書いたもので、その後本人による謝罪・訂正ツイートがありました。
Apologies to non-Chinese speakers. The highlighted text in the original tweet reads: If "symptom-free infected patient" start to show clinical signs, revise his categorization to "confirmed case." It implies they aren't counted before the symptoms show. https://t.co/loucvnLxNU
— Alex Lam 林偉聰 (@lwcalex) February 10, 2020
画像の部分の中国語をだーっと直訳してみました。内容としては、ネット通報システムにおける新型コロナウイルス登録の分類ルールを説明した文章のようですね。以下のうち、太字が画像の黄色いマーカー部分です。
ネットでの通報病種から「新型コロナウイルス肺炎」を選択し、さらに症例分類として「感染疑い」、「臨床診断症例」(湖北省のみ)、「確定診断症例」、「検査陰性」に分類して報告する。
疑似症例、臨床診断症例(湖北省のみ)及び確定診断症例の「臨床深刻度」の分類は「新型コロナウイルス感染による肺炎診療方案(試行第五版)」に基づき、ネット通報の分類中「軽症」「普通」「重症」「重篤」から選んで報告を行う。「検査陰性」とは無症状感染者を指し、臨床深刻度では「無症状感染者」に相当する。
通報された「疑似症例」「臨床診断症例」(湖北省のみ)は、実験室での検査結果に基づいて、「確定診断症例」に更新されるか、削除される。
通報された「無症状感染者」に臨床症状が出た際には「確定症例」へと更新する。
すべての症例について、「臨床深刻度」においては、症状の進行に応じて更新し、最も深刻な状態を最終状態として登録する。
まとめると、
「新型コロナウイルス」通報時に登録する項目には以下のものがある。
■症例分類:①感染疑い/②臨床診断症例(湖北省のみ)/③確定診断症例/④検査陰性
■臨床深刻度:①軽症/②普通/③重症/④重篤
そして、症状の変化に応じて内容を更新し、一番重い症状を登録するように、と書いてあります。一枚画像にまとめておきます。
新型コロナウイルスについてはツイッターが情報収集にとても役立っていて、久しぶりにツイッターをよく見るきっかけになったのですが、SNSには不確実な情報も多数飛び交っているんだなあということも実感しています。
個人的には、中国当局が発表している感染者数は全く信用していません(中国政府の隠蔽もそうですが、既に医療崩壊している現地で正確なデータは取れていないだろうという理由でです)。
ので、感染者数とそれに基づく各種数値(致死率とか)については中国外症例に基づく専門家の分析を待つしかないと思っていて、生活上はそういう数字は気にせず、まめな手洗いを心がけたりしながら過ごしています。
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