名前が本質を教えてくれる
ちえさんへ
暑さ寒さも彼岸までとはよく言ったもので。季節は結構律儀なんだね。出遅れた秋も大慌てでやってきて、ぎりぎりお彼岸には到着していたもの。私たち人間だけじゃなく、きっと生きものたちもみんなびっくりしていたんじゃないかな。もっと小出しにしてよーって。でも、秋っていいよね。歩くのが楽しい季節。
この夏は、自分の意志ではどうにもならないことがたくさんあった。春の終わり頃から父の体調が優れなくなって、暑かった夏の間は日を追うごとにどんどん衰えていってね。毎週帰省して検査通院の送り迎えをしていたんだけれど、やっと検査結果が出てこれから治療に踏み出そうという矢先に、緊急入院してしまったの。私たちが思う以上に、我慢していたんだろうね。
そして父が入院した翌日、今までの疲れがでたのか母も体調を崩してしまって。そうなるとさすがに、仕事どころではなくなってしまいました。できることはほとんどないのに、できることすらできなくなるという…。でもね、今は母も元気になって、私もちゃんと仕事して暮らしているよ。秋の訪れとともに、少しずつ日常を取り戻しています。
家族のことって不思議。自分自身のことじゃないのに、他人事でもない。自分の思うようにできないのに、関わらずにはいられない。もちろん、義務感で動いているわけじゃないんだけど、責任感は感じてるみたいな。
千恵さんがお母さんとの最後の日々を書き綴っていたでしょう?私ね、あの文章が大好きだったの。淡々としているのにほんわりとあたたかくて、千恵さん家族の物語を読ませてもらっているようでした。どうしてあんな言葉たちを紡ぐことができたんだろう。物語の真ん中にいるのに、俯瞰の視点から優しくその物語をみつめているような、そんな言葉たちだったよ。
私もそんなふうに家族の物語を、綴ることができるかな。
そうそう、前回千恵さんが書いてくれた、「心を込めて名前を呼ぶ」ワーク。すごく興味がある。名前って、その人そのものだものね。ちょうどね、最近「名前のことだま」ってキーワードがやってきて、自分の名前について調べていたの。
私の名前、ゆうこの【ゆ】は「湯」と「結」の意味をもつんだって。「湯」は温泉のように人を癒し元気にすること、「結」は助け合ってやっていくことなのだそう。癒やしの力と共に一緒にやることを伝える名前だと知って、自分の名前がますます好きになったし、命名してくれた祖父には改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
ちえさんの名前、【ち】を持つ人は、人助けが好きで、手を差し伸べることが得意な人、無償の大きな愛を気になった人、コト、モノに惜しみなく注ぐ人なんだって。千恵さんそのものだ!
本質を表す名前を呼ばれることによって、気付かされちゃったのかもしれないね。自分の本質に。愛情深い自分に。すごいね。
ちなみに私にとっては、出会った瞬間からずーっと千恵さんは愛の人だったよ。何を今更って感じ(笑)。
私にとって秋は、冬への助走期間って感覚かな。年末という今年の締めと、年明けという新たな始まりがある冬にむけて、少しずつ調えていく季節。秋がやってくると来年のことを考え始めてしまうの。でもね、それがとても好き。旅行も準備している時が一番楽しいじゃない?この先起こることへのワクワクも感じつつ、今はまだ日常の穏やかな喜びもある。一年で一番気持ちが凪いでいる季節かもしれません。
ちなみに、好きな果物NO.1の梨の季節でもあるから、秋は帰省するたびに近所の梨園に行っています。私の地元は梨の産地なの。今も書きながら梨を食べてるよ。みずみずしくて最高に美味しい!
私はね、千恵さんはエッセイストになったらいいのにって真剣に思ってる。それくらい好きなの。言葉選びもそうだけど、自分の感情をすごく冷静に感じているなって。それってすごいことだもの。誰にでもできることじゃないから。
千恵さんがSNSアップする、瞬間瞬間の感情記録がすごく好きなんだけど、昔から文章を書く人だったのかな。読書が好きなことはなんとなく知っているんだけど、普段はどんな本を読んでいるのかな。千恵さんが大切にしている本や物語があったら教えてください。私も読んでみたいな。
散歩が楽しい季節になったね。たくさん歩いて、歩きながら瞑想して、秋の恵みを美味しく食べて、元気に過ごしてください。健康がなにより大切だものね。