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淡い季節のサングラス

聴いていたら空港に来たくなった。

80〜90年代初期の曲でやたら空港を想起してしまうのは、85年の面影を追っているからなのかも知れない。

幼少期からやたら執着していた85年の日航の事故。
関連書籍は大概読んだし、去年からは8月12日に羽田の第1ターミナルの展望デッキに行くようになってしまった。
理由はわからない。母親の知人(と言っても顔見知りというくらいのレベル)が生存者の方だったらしいとか、乗客に故郷豊中の方が多かったとか、そのくらいしか関係ないはずなのに。
生計を立てている方の仕事が若干空の安全に関係することにも、多分無意識に影響を与えている。

関連書籍の中で好きなのは、清水保俊氏の「グッド・ラック」(現在は「機長の決断」に改題)


改題前の表紙

事故の検証、考察パートの後に「物語」パートがある。そんな世界線があったら、という祈り。
精神療法で行われる「夢の書き換え」みたいに。


大人になったわたしは飛行機や空港そのものが大好きになったわけだけど、空港は海にあることが多いし、空港に辿り着くまでの海辺を走る高速バスやキラキラとした光に溢れる空港の夜景、そもそもわたしの好きなものたちと親和性がありすぎるのだ。さもありなん。
高速の乗り物、というのも高い所も好きだしね。


滑走路の青い光の粒が本当に美しくて、泣きたいようなわっと圧倒されるような、堪らない気持ちになる。そう、これもわたしの「6時の満月」。

空港までは高速バスで来るのがいい。海辺の、夜景のオレンジの光の中を走り抜けるのが好き。


朝から無気力だったところふと思い立って吸い寄せられるようにふらりと今日は来たのだけど、高速バスの中で東京タワーをつかまえようとどきどきしながらシャッターを夢中で切っている自分にはたと気付いて、ああ未だ生命力はちゃんと残っているんだなぁ、なんてどこか遣る瀬無いような気持ちで思った。本当にわたしは図太い。美しく在りたいのにね。

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