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大好きなベーカリーISCOで短期パン修行!

今週は少し現在の話に戻り、以前からずっと計画していた、パン研修の話。


先週の月曜日から土曜日までの1週間、

私の大好きなベーカリー、ISCO(イスコ)でパン研修をさせていただきました。

ISCOはリスボンの中心から空港に向かって北上した、住宅地Alvalade(アルバラーデ)地区にある小さなパダリア(ベーカリー)で、約3年前にオープンした、地域の住民に愛される店。中にはイートインできるカフェスペースもあって、15人も座ればいっぱいになってしまう。その奥にはパンを捏ねる場所やオーブン、そしてランチや時にはディナー、そして自家製ハムなんかも作る小さなキッチンもある。

ISCO instagram

この地域、アルバラーデには、新鮮な野菜や魚、肉が手に入る大きな市場があって、そこから西側は、カフェやレストラン、雑貨屋、映画館、それからスーパーなどががズラーっと並んでいて、ここでなんでも事足りるので、わざわざ中心まで出かける必要も全くなく、治安もいいので人気のある住宅地だ。

ISCOのオーナーの一人であるパウロは、この場所にオープンさせた決め手は、地域のコミュニティの中に入って、毎日の皆のルーティンに溶け込み、おはようの挨拶やちょっとした会話をお客さんと交わせるような店にしたかったからだと言っていたので、本当にここは理想的なロケーションだと思う。

私のISCOとの出会いは、確か友人の誰かが美味しいパン屋ができたと教えてくれたからだったと思う。それから、店で売っている多くのパンが、天然酵母で作っているということも知って、嬉しくて時々、わざわざパンを買いに通っていた。

上からスペルタ小麦のパン、ライ麦のバケット、ミルクパン

彼らがベーカリーをオープンさせた約3年前、2018年は、まだリスボンでは天然酵母のパンを売っている店はとても少なかった。今でこそ海外からの影響を受けて、大手のGLEVA(グレバ)というベーカリーをはじめ、天然酵母で作るパンが流行り、ちょっとお洒落なベーカリーも少しずつ増えてきたけど、数年前までは本当にそんな店はほとんどなかった。考えてみたらおかしな話だ。だって、元々ポルトガルでも、そんなに遠くない昔は、パンはどれも天然酵母で作れれていたのだから。リスボン意外の田舎や他の都市の事情はよくわからないけど、街に住んでいる現代の人々の暮らしを垣間見たら、どこのスーパーでも安くて焼きたてのパンコーナーで手軽に工場で大量生産されたパンが買えるわけだから、瞬く間に天然酵母で時間をかけて作るベーカリーが街から消えていったのは、しょうがないことなのかもしれない。


ISCOのパンは、小麦の風味が豊かで、味わい深く、それ以外のクロワッサンやシナモンロールなどもとても美味しかった。そして、少し無機質だけど、こじんまりした店内で、パンを捏ねたり焼いたりしているところも客席から近く、そんな風景を見ながらコーヒーとパンを楽しめるのも、そして、ペットの犬たちが一緒に入れるというところも嬉しくて、うちの犬のみかんも一緒に連れて行ける大好きな場所だった。

大人気のシナモンロール


いつか客として座っているときに、オーナーのパウロとおしゃべりする機会があり、その時に、彼も私のレストランのファンだと知ってから、私たちの間で交流が始まった。2019年に私たちが企画した、日本からきたシェフたちとのポップアップイベントのためにハンバーガーのバンズを作ってもらったり、彼らのベーカリーの従業員一同のクリスマスディナーをうちのレストランで行ってくれたり、お互いに同志として応援しあった。


去年の秋に、ISCOのパウロと、彼のビジネスパートナーの一人であるナタリーから、何か一緒にイベントをしないかと声をかけられた。私はちょうど最近パン作りに興味を持ち始め、家で我流でネットや本を見ながらパン作りに励んでいたのもあり、「もちろん、やりたい!」と即答してミーティングした。

そのイベントの話はまた別の機会にすることにするけど、去年の暮れに実行したISCOでの私たちのイベントは大成功で、すぐに予約でいっぱいになり、こんなことなら2日間に分けて企画すればよかったね、と話したほどだった。

そのイベントの仕込み中に、パン職人さんたちがパンを作っているところを少し見せてもらったり、話を聞くうちに、ぜひ一度実際にパン屋で研修してみたい、実際に現場に参加させてもらいたい!という思いが募り、聞いてみたら二つ返事で受け入れてくれたのだ。後から知ったけど、こうやって、数週間とか1ヶ月とか、短期間ここにパン研修にくるシェフたちは、時々他にもいるらしい。

こういう経緯で、私は月曜日から、毎朝6時から昼過ぎまで、6日間、パダリアISCOのパン研修に通った。








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