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映画『ミッシング』で分かるSNSがヒトを退化させている時代

私の好きな邦画第一位に躍り出た、石原さとみさん主演の『ミッシング』。監督は吉田恵輔。

物語は、娘を誘拐(失踪)された母親(石原さとみ)が絶望的に、まさに頭がおかしくなるほど壊れてしまうドキュメンタリーのような映画。
石原さとみさんの演技はアカデミー賞主演女優賞を取らせたいほどリアルで、相手役が、まず、夫(青木崇高)、弟(森優作)、テレビ局のマスコミ(中村倫也)になるが、石原さとみのそれぞれの人間に対する『壊れ方』が違うのが必見。

やはり夫には八つ当たり的な感じ。
弟には喧嘩腰。
マスコミにはすがるように錯乱。
さらに警察官には、完全に壊れていた。もう、他に表現できない。喜怒哀楽以上の感情を全身に表した石原さとみがいた。

娘を夫と捜している途中、沙織里(石原さとみ)はネットの誹謗中傷に苦しむ。
娘が誘拐されて泣いているのに、攻撃しているネット民。
犯人扱いされた弟も。

予告編にそのシーンがある。


世の中いつからこんなに狂ったんだろう…(沙織里)

この映画は観ないといけない。

幼い娘がいる奥さんは見るのが辛いと思うから仕方ないが、これから先、十年、二十年と人生のピークを迎える人は観る方がいい。
もし、この時代、SNSが表現の自由をいいことに、匿名で赤の他人を絶望するまで、また、ある時は職を失うまで、自殺するまで追い詰め、知らんふりをしてるなら、

人間は、まさに『心を無くした悪魔になった』と言える。

そうじゃない優しさがあり、理性があり、優秀な人もたくさんいるが、時代の中心のSNSの半数以上の人間が、沙織里たちを破壊した輩だ。

吉田恵輔監督の作品は、その現実から目を逸らす人たちが敬遠して大ヒットはしないのだろうが『ミッシング』は石原さとみさんの、石原さとみとは思えない壮絶な演技力で大ヒットしている。
犯人扱いされる森優作さんの心を閉ざした気持ち悪いくらいの寂しい演技。
取り乱す妻に対して我慢する器を彼女のペースに合わせて見せる青木崇高さんの大人の芝居。
葛藤しながら、沙織里に対しては同じ接し方をするクールな中村倫也は、だが冷たくなくて優しい。

凄まじい映画を観てしまった。

そして、日本人は、もう終わりに近づいていることも改めて分かった。

SNSで、話題になっている他人に攻撃をする多数派は、想像力に限界があり、だから罵詈雑言や俗言でしか攻撃できない。
バイアスもかかっていて、誰かを偏った目でしか見られない。
しかし、それに反撃する事は言われた方は出来ず、壊れていくか死ぬしかなくなる。
そして、それを放置しているのが、この時代なのだ。もう、15年以上放置している。

すでに多くの人たちがネットの誹謗中傷で自殺し、マスコミとのタッグで職も失った芸能人も大勢いる。

今、二十歳くらいの人たちは、何もしないバブル時代からの大人たちに見切りをつけて、自分たちでこの国を変えないといけない。

まずは、SNSの匿名を禁止にすることだ。

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