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【エッセイ】宝塚歌劇団宙組が好きだ

0. はじめに

亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
真相解明に向けて事態が動くよう、一ファンとして願っています。

1. この記事を書く理由

好きなものを好きだと言いたい気持ちが抑えられなくなったから。
※いじめ、パワハラを容認する訳ではないです。

2. 私が宝塚歌劇団にはまったきっかけ

家族が『エリザベート-愛と死の輪舞-』(2016) の映像作品を買って、実家で見ていたことがきっかけで、「話の流れはよく分からんけど、歌とダンスがいいな」と思いました。
この作品はオーストリア皇后エリザベートの史実を元にして描かれたミュージカルで、「死」とどのように向き合うか、「愛」とは何か、ということがテーマの作品だと感じました。原作であるウィーンのミュージカルではエリザベートが主役ですが、宝塚歌劇団では男役を主役とする習わしから「死」を「黄泉の帝王トート」と解釈し、エリザベートを愛する死神の物語として再構築して作品を作り上げたそうです。
最初は家族と一緒に「いやコイツ自分勝手すぎひん?」「嫁姑戦争キター!」とヤジを飛ばしながら見ていたのですが、何度も見るうちに「自分勝手に見えるけど、本当は相手のためを思った行動なのでは?」「自由への渇望の表現が素晴らしいな」と感想が変わっていきました。
また、ミュージカルは高齢のエリザベートが暗殺されて終わるのですが、早着替えで若かりし頃の姿に戻り、笑顔でトートの元に駆け寄っていくんです。最後のシーン、エリザベートはどんな心境で死を受け入れたのだろう、と気になっています。見る人によって、演じる人によって解釈が違うのかもしれません。本編終了後のフィナーレで陽気な曲(劇中歌”キッチュ”)が流れて出演者が笑顔で大階段を下りてくる様には度肝を抜かれました。「ええ、さっきまで刺されて苦しんでたやんか…」どれだけ悲惨な物語であろうと、フィナーレでは美しい笑顔が見られるので、いい文化だなと思います。初見の脳内は大混乱でしたが…。

3. 好きな作品

『王家に捧ぐ歌』
『エリザベート-愛と死の輪舞-』
『王妃の館-Château de la Reine-』
『VIVA! FESTA!』
『神々の土地〜ロマノフたちの黄昏〜』
『クラシカル ビジュー』
『オーシャンズ11』
『アナスタシア』

宙組の特徴として、長身の男役が多い点が挙げられます。長い手足を使ったダンス、群舞が好きです。また、コーラスの美しさにも定評があります。

(参考)他の組の特徴
花組:スターが多い、華がある
月組:芝居が上手い
雪組:日本物がかっこいい
星組:コスチュームが豪華、漫画実写化作品がすごい

女性が男役を演じることによって、ある種のいびつさが生まれるのですが、その違和感が心地いいと思います。歌舞伎の女形にも言えることかもしれません。性別は変えられないから、演者の体格は女性のままです。しかし、振る舞いによって見る人に「男だ」と思わせることができる。偽物だから、本物よりも本物らしくあろうとする。その姿に美しさを覚えます。

4. 今後の方針(自分)

報道やSNS、他の人のコメントから距離を取る。

「女の敵は女ってやつか」
「年頃の女を集めたら陰湿ないじめが起こるに決まってる」
「宝塚出身の女優も同罪だ」
今まで宝塚歌劇団を知らなかった人、興味を持たなかった人が、今回の事件をきっかけに様々な意見論評・批判をしています。

私がファンとして望むことは、また宝塚歌劇団の作品を楽しみたい、ということです。いじめ・過度な指導・ハラスメントを容認しません。変えるべき組織内の制度・風土は変えて、可能な限り健全な形でミュージカルを届けてほしいと願っています。(ここで「可能な限り」と言うのは、芸術・創作・表現の分野においてはある程度の狂気じみた熱意が必要だと思うから。とはいえ、人は「死に物狂い」で頑張ると簡単に死んでしまう生き物なので、生存を脅かさない程度に健全なラインを守ってほしい)

今は情報が錯綜していて、いじめ加害者とみなされている劇団員の名前・顔写真がネットで検索すると出てきてしまいます。公式が行った会見はあまりにも説明が不足していて、「責任を取ろうとしていないのではないか」「うやむやにして逃げる気ではないか」と思ってしまいます。世の中の人も、25歳の女性が亡くなった今回の事件に怒り、悲しみ、様々な感情を寄せてコメントしているのだと思います。ですが、インターネットで相手の顔が見えない中でコメントしていると、その意見がどんどん過激になっていきます。自分が見てしまったものをいくつか挙げると、「○○○○(加害者とされる人物の芸名)は地獄に落ちろ」「宝塚音楽学校の入学式は北朝鮮のようだ」「どうせカルトみたいなもんだろ」など。こうした言論は関係者の心を傷つけるものではあっても、この問題を解決するものではないと考えます。宝塚歌劇団宙組の、どのような点が世間一般の常識とは異なるのか、どのように変えていくべきか、冷静に考えていくことが重要だと思います。

5. おわりに

最後に、今一度、亡くなられた劇団員のご冥福を心よりお祈り申し上げます。このような事態が二度と起こらないよう、一人のファンとして経緯を見守りたいと考えています。

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