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困っている若手医師・医療者を支援したくて本を書きました

みなさん、こんにちは。ゆっくり救急医です。あまりしてこなかったのですが、珍しくパーソナルなことも書きます。

私はこのたび本を出すことになりました。『正攻法ではないけれど必ず書き上げられる はじめてのケースレポート論文』という医学書籍です。2023年12月下旬に発売され、現在は予約受付中です。

この本に込めた思いは、困った若手医師、医療者のためになりたい!というものです。

こんな人のために書きました

論文を書いてみたいけれども、書いたことがない。どこから手をつけたらいいかわからない。指導者もいない。周りに書いている人もいない。そもそも、論文というものの仕組みが分からない。困っている。

しかし、それでも書きたい。アカデミックな活動に興味がある。専門医取得に必要でキャリアアップになんとか役立てたい。

そんな、自分の時間を成長に充てようとするような、素晴らしい気持ちを持つ方に向けて書きました。医療者にとって論文執筆の一歩目になりやすい、ケースレポートの書き方の本です。

ケースレポートは、目の前のたった1人の患者さんからの学びを深め、他者に共有することで将来に繋げるという性質があります。ケースレポートを出版すること自体に、ほんの小さなインパクトですが、他者貢献的な意味もあります。今後、大掛かりな研究をしてみたいという人にとって、ケースレポートが一歩目になるというパターンもあります。

なぜこんな本を書こうと思ったのか

私は、秋田県という、日本の中で、もっとも田舎な県のうちの一つで育ちました。

そこでロールモデルがいない中、救急医になりました。若手救急医というものが、そもそもゼロだったのです。救急医療が非常に手薄で、目に見えてニーズを感じたので、即戦力になりたくて救急医を目指しました。というわけで、県内で初めての救急科専門医プログラムに参加した医師となったのです。ベテラン医師が3人だけいる組織に加入し、働きはじめました。

日本一の田舎県に長らく生息していることから察される通り、私自体の知能レベルは高いとは言えず、有名な都市型の救命センターのような素晴らしい教育環境でもないわけです。内的要因としても外的要因としても、悲しいかな私が一流になれる日は来ないでしょう。

それでも上司が素晴らしく、本当によくしてもらって、専門医になることができました。前向きに仕事をしていたら、後輩もたくさんでき、同輩も転居してきて(しかも幸運なことにみんないい人です)、救える患者さんが確実に増加中です。

ロールモデルがいない中で困ったことの一つに「アカデミックな仕事って、どうやってやるの?学会とか、論文とか…。」というものがありました。後期研修医のときです。いつか増える後輩のロールモデルになるために臨床・研究・教育をバランスよくやっていたほうがいいよねという思いがあったのですが、その方法が皆目見当もつきませんでした。

そこでスキルゼロな中、同じ病院の詳しそうな人や、旧帝大の偉い先生に突撃したり撃沈したりしながら、ちょっっっとずつ成長しました。成長の歩みは遅く、今でも「論文書けます!」とは全然言えません。研究論文はReject、Reject、Rejectです。

でもケースレポートなら、スッと書けるくらいにはなれました。今まで書いたもの、指導したものは全て出版されています。自分なりに書き方を見つけたので、短いものなら1日で書けますし、執筆指導も一定の方法でできます。何回も撃沈して困った経験があるからこそです。

困った経験から生まれた本です

そんな、さまざまな突撃と撃沈を経て得たノウハウをまとめた本が、この『正攻法ではないけれど必ず書き上げられる はじめてのケースレポート論文』です。全然、堅苦しいことは書いていません。なーんにもわからない、という読者を想定していますので、執筆そのものだけではなく、周囲との関わり方や、悪徳ジャーナルに騙されない方法といったことがたくさん書いています。AIサービスの利用や、英語がわからなくても英文を書くコツも書いてます。そういう意味で「正攻法じゃない」本になっています。

自分は回り道をたくさんしたので、読者のみなさんには、そこをショートカットをしてもらいたいなと思うわけです。前述の通り、私は田舎の凡人の中の凡人です。二流、いや悔しいが三流かもしれません。そんな私でもケースレポートをいくつも世に出していますので、みなさんなら言わずもがなです。

ということで、既にアカデミックキャリアがある人にとってはかなり平易な内容になりますので、すみません、先に謝っておきます。批判のレビューを書き荒らさず、迷える後輩に差し上げてください。その後輩は笑顔になってくれるとは思います。

可愛い表紙に込められた意味

ケースレポートを書いたことのある人なら同意してくださると思うのですが、結局のところ、ケースレポートはどんな形でも「書き終われるか」に尽きるのです。精神的な要素もとても大きいです。初めて書くケースレポートは、苦しく書き終われる気がしません。まるで登山です。ヘトヘトになりながら山頂を目指します。ちょっとずつしか進めません。やっと書けた!頂きだ!と達成感を得てもそこで折り返し。下山(査読)のプロセスは体力をじわじわ奪ってきます。何度も「もうだめだ!」という気持ちが訪れます。

表紙に見える、黄色い地底船を見てください。登山をしている人たちを尻目にポップに爆走しています。この本が、苦しいケースレポート執筆を、気楽に駆け抜けられるようにお手伝いができたらというメッセージになります。黄色い船に乗っているのが、読者のみなさんというわけです。文章の方も、できるだけ前向きな気持ちになってくださるよう心がけました。だってどんな形でも「書き終わる」ことが大切なのが、ケースレポートなのですから。

以上、長くなりましたが、身の上話と、この本に込めた思いでした。実際、本だけでは限界もあるので、ケースレポートを執筆するスクールも開きたいなというのが次の願いです。応援してくださる方は、「❤️」を押してくださいますと幸いです。

では、本書をお楽しみください!

追記:売れてます

驚くことに、Amazonでのジャンル内 売れ筋ランキング1位です。親ジャンルの「医学一般」でも、新着ランキング1位です。一般向けの本が並ぶ中、専門書が1位になっています。医師以外の医療スタッフ方もたくさん買ってくださっているようです。

出版社の方からも緊急連絡があって、バタバタと追加で販促作業をしています。担当の方も驚かれているほどのようです。

ひとえに普段より私の発信を見てくださっている皆さまのおかげであり、感動しております。本当に、ありがとうございます。

(アマゾンアソシエイトリンクです)


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