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心が病気を乗り越える「闘病アカウント」という場。

私はInstagramをしています。
病気が発覚してから元々持っていたアカウントは一旦休止して、別のアカウントを作り直しました。
いわゆる「闘病アカウント」です。

闘病アカウントでは、同じようにがんと戦ういろいろな方と繋がっています。
多くの方が自分のプロフィール欄に「がん闘病中です」や「○年に手術、△年から抗がん剤治療を開始しました」など、詳細に自身の症状や治療経過を綴られています。
同世代や、同じタイプのがん患者の方を見つけると(インスタでは似たような環境の方が、タイムライン上で自動的に表示されます)思わず”いいね”やフォローをして、自然とコミュニケーションを取るようになります。
お互いの生活や治療経過を報告しあったり、不安な気持ちを吐露したり、時には相談にも乗ってもらっています。

闘病アカウントを使うようになって、まず同病の方からいただくコメントの多さに驚きました。
治療や生活でのちょっとした疑問に答えてもらったり、不安な時に励ましてもらったりと、どのアカウントもとにかくコメント欄が盛んで、情報共有がとても活発に行われています。
私も「○○の症状とどう付き合っていますか?」とか「△△の食材は控えていますか?」などと皆さんに気軽に問いかけるのですが、毎回たくさんの考え方や経験談をいただきとても参考になります。
また、「こんなに元気になったよ〜!」という同病の方の投稿に元気をもらったりもしています。

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病気を機に、価値観や生活スタイルは大きく変わります。
元気だった頃に熱心にフォローしていたキラキラ系アカウントになんだか疲れてしまったり、インスタで繋がっていたリアルな友人に弱っている今の自分の姿を見せたくなかったりと、病気に直面した方が「闘病アカウント」を作るきっかけは様々でしょう。

常日頃心配してくれる家族には言えない弱音だったり、リアルな友人には見せられない暗い気持ちだったり、闘病アカウントで繋がる同病の方はそんな「今の自分」もありのままで受け止めてくれる安心感があります。
情報を共有し合い、辛い時には励まし合い、寛解の報告に喜び合い、と闘病アカウントをたくさんの方が心の拠り所としています。

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病気になってしまった辛い現状を乗り越えるためには、受動的な「治療」と、能動的な「心が病気を乗り越える」作業が必要だと思っています。

まずは信頼できるお医者さんのもとで自分が納得する治療を受けること。そして、病気を乗り越えるために外の世界へと自ら一歩を踏み出すことが必要です。

「闘病アカウント」のような不安や苦しい経験を語り合える場所は、自分の辛い経験が同病者の、そして社会の役に立ったと感じられる場所でもあると思います。
そして、人の役に立ったという実感は、心が病気を乗り越える上でとても重要なことだと思います。
同じ病気で苦しむ人を助けたいという尊い気持ちから生まれた行動は、自分にとっての能動的な第一歩となるし、病気になったことの「意味」を前向きに捉えることにきっと繋がるからです。

そして、闘病アカウントでは「下心」を感じないことも大きな魅力です。
少し前に、ある医療系まとめサイトが問題になりました。信憑性の疑わしいネットの文章よりも、同病者の経験に基づくアドバイスの方が何十倍も参考になります。
また、辛い経験や現状を自ら語り合い、励まし合う場では「同じ苦しみを抱える人を手助けしたい」という人々の善意を感じることができます。

病気に限らず、大変だった経験を共有したり、悩んでいる人にその経験を生かして協力してあげたいという善意の気持ちが詰まった、緩やかに繋がることのできる「場所」が今各方面で求められているのではと感じています。


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