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村上春樹と銀英伝と寅さんと、 『ウンベルト・エーコの文体練習』

1・前置き –この記事はネタバレを含みません!

この記事はウンベルト・エーコ著和田忠彦訳『ウンベルト・エーコの文体練習』を読んで、実際に文体練習をしてみよう!というものです。
正直言って感想でも考察でもありません。

『ウンベルト・エーコの文体練習』は、足立区立舎人図書館と共同で行ったオンライン読書会第1回(2020年9月22日開催)で参加された方から紹介されたことで手に取りました。

この記事にはネタバレを含みませんので、未読の人も安心してご覧ください。

2・パロディの元ネタを知らないのでわからない部分が多かったけど、しっかり楽しみました💦

カッコつけずに、正直に言います。
本作は西洋文学の名作をパロディ化した作品ですが、
私は元ネタになっている名作を読んだことが無いので、パロディ性がほとんど理解できませんでした💦

(;´・ω・)

わからないものを知ったかぶりしてもっともらしい感想を書くようなこともしたくないので、感想は書けません。
しかし、自分なりに楽しんだ部分はあるので、その部分だけしっかり書きます。

3・「あなたも映画を作ってみませんか?」の部分は誰もが楽しめる文体練習課題!

この章は、特定の映画監督がやりそうなストーリー展開や演出を要素ごとに分けて、別に用意したキーワードと入れ替えて遊ぶという、ウンベルト・エーコが考えた言葉遊びが紹介されています。

作中で元ネタにされる映画監督を私は知らないので、まず日本人なら誰もが知っている『浦島太郎』の話で例えてみましょう。

まず、『浦島太郎』の基本ストーリーを
「浜辺」で「亀」を「助けた」「男性」が、「お礼に」「竜宮城」に連れていかれて「楽しく過ごし」「玉手箱を開けて」「おじいさんになる」ととらえます。

この「」内の要素に対して変換可能な言葉の候補を上げ、言葉遊びを楽しむのがこの章の趣旨です。

以下に表を作ったので実際に体感してみてください。

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上記を入れ替えると、『浦島太郎』の話が良くある異世界転生モノに変換できますし、昭和のおっさんが好きな『男はつらいよ』に書き換えることもできます。
また、組み換えによって亀を助けた寅さんが魔界に転生するというストーリーも描ける、という遊びです。

これを活かして、次の項目では私が好きな初期の村上春樹作品で遊んでみましょう。

4・村上春樹作品をイジって遊んでみよう!

前の項目で紹介した要素入れ替え遊びをつかって、初期の村上春樹作品(1992年以前)に往年のスペースオペラ大作『銀河英雄伝説』の要素を混ぜ込んでみましょう。

※私は、勝手ながら村上春樹は1992年を境にして別の人になっていると解釈しています。この解釈はまた後日村上春樹論を書いて説明します。

基本要素:「ぼく」は「いきがかり上」、「二人の女性と」「知り合い」、「ビールを飲み」ながら「冒険して」「迷い、傷つき」「涙する」。

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出来上がったものを見ると簡単に思えるでしょうが、作家や作品の特徴を書き出し、入れ替え可能な候補を選んでいくのは意外と難しく、それだけに非常に面白い作業でした。
作家の傾向を分析したり、キャラクターや展開の特徴を示すキーワードを探す作業は、作品世界に浸りながら魅力を再認識できる大きな機会になります。


恐らくマーベル作品、ガンダムシリーズ、あだち充作品、少年ジャンプ作品などでやってみるのもかなり面白いでしょう。
ぜひ好きな作家やシリーズ、映画監督でこの遊びを試してみてください。

5・まとめ

正直なところ、『ウンベルト・エーコの文体練習』は私にとって理解できない部分がかなりありました。

とはいえ、読書には知らないものに触れる楽しみがあります。
また、この記事を上げることで、『ウンベルト・エーコの文体練習』に精通した人に出会って話をする時の手掛かりにもなるでしょう。


作品を理解できなかったのは、今の私が準備ができていなかっただけで、まあそのうちウンベルト・エーコについて深める機会があるだろうと前向きにとらえています。

『ウンベルト・エーコの文体練習』、西洋文学に馴染んでいる人なら私の数百倍も楽しめるでしょうし、そうでない人もなんとなく楽しめますので、ぜひ手に取って見てください。
買ってまで読むのはどうだろう? と考える人は、ぜひ図書館での貸し出しを利用してください。

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