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文系学部卒→理系大学院生のM1前期振り返り

大学院の前期が概ね終わり、授業の成績も発表されたので、修士課程1年生の前期を振り返ることにする。私は、経済経営系の学部を卒業後、既卒で情報科学系の大学院に進学するというあまり一般的ではないバックグラウンドをしている。それについては、以前の大学院入試に合格した話にも書いているのだが、

私のように院試の話を書いた人が、その後の話を一切書いていないことがあり、残念に思えたので、入学後の話も書いてみることにした。所属等をどこまで明らかにするかまだ決め兼ねている所があるので、詳細は書いていない部分もある。


研究

一番大きな出来事として、国内の研究会に論文を投稿し、夏に現地で学会発表を行った。流石に早くないかと思われるかも知れないが、実を言うと、合格後この大学院に進学することは早い段階で決めており、冬頃から研究生として研究室に所属していた。その為、研究分野の基礎的な勉強を始めてから論文投稿まで半年以上あった。また、指導教員の先生が成果の出やすい研究テーマを振ってくれたのも、成果が出せた要因であったと思う。あとは単に私も頑張った。事ある毎に実装がやりたいと言いつつ、1行もコードを書くことなく、理論のことだけで論文を書ききってしまった。

既に追加の研究成果は出ているので、次は国際会議に向けて先生方と論文の執筆を進めている最中である。率直に言えば、投稿しようとしている国際会議のレベル感とか、そもそも何をすれば査読に通るのかと言ったことがよく分かっていない。本当にアクセプトされるのかという不安と、査読付き英語論文を出したという実績が得られるかも知れないという期待が混在している。ちなみにこちらもコードは1行も書いていない。

授業

授業に関しては、分野が違っても大学の授業全体の傾向は変わらないんだなと思うことが多かった。楽そうだからという理由で取った授業が意外と面白かったり、面白そうだと思った授業が想像以上に難しかったり、一般的に高評価されそうな授業が面白くなかったりと、今まで通りであった。課題や試験は学部の授業と比べて軽いものが多く、成績は全てAとSだった。ここでは印象に残っている授業2つについて述べよう。

オンライン講義で楽そうだからという不純な理由で履修したビッグデータに関する授業は意外と面白かった。コーディングが中心の授業かと思っていたが、想像していたよりアルゴリズムに関する内容が多くて面白かった。加えて、毎回の課題に対して教員が採点結果を通知してくれて、点数が低い場合には誤った箇所についてフィードバックをしてくれるのが良かった。

また、修士課程の卒業要件として、他研究科の授業の単位を1コマ取らなければならないというものがあり、何百もの選択肢の中から機械工学専攻の授業を選んだ。内容は専攻分野ではあまり見かけない数学で、進度が早くて難しく感じたが、面白かった。学部からずっと理系の同期や先輩に聞いてみると、この枠は文系っぽい授業を選んだ人が多いようだった。こういう自由度の高い枠は、触れたことのない内容を選びたくなるものかも知れない。

大学院生活・研究室の環境など

研究室は私にとって想像以上に良い環境で満足している。情報系らしく時間的な束縛は殆ど無い一方、前述した様に研究は進捗が出せているし、学生も教員も他大学・他研究室の出身者が多くて多様性に富んでいると思う。詳細は知らないが、研究資金も豊富そうに見える。私はすごくホワイト研究室だと思っているのだが、研究室のメンバーや研究資金の獲得状況等は時期によって流動性があるし、状況は学生一人一人異なるので、人によって評価も変わりうるかも知れない。

また、最近は研究室内外でも人間関係ができて来て良い。研究生をしていた頃は、周囲の人は卒論・修論の締め切りが迫っているとか、他の研究室に進学する人が居るとか、授業等でのグループワークが無いといった事情もあり、あまり交流する機会が無く、勉強と研究ばかりしていた。それに比べると、M1の4月からは同じく外部から入学した同期も居て、前期授業のグループワークで研究室外の友人も出来て、夏には研究室のイベントに参加する機会もあって良かった。

このように研究室に問題は無い一方、通学・居住環境は一番の不満であった。実家から通う場合は下手をすると片道2時間半かかるが、家を借りると金銭面以外にも不便な事情が多々あり、明白で物理的なストレス源になっている。実家を大学の近くに持って行くか、大学を実家の近くに持って来ることができれば全て解決する。

また、大学院に進学して、興味のある研究が出来ている訳だが、こういったポジティブな環境の変化もストレス源になりうることは自覚した。1つのことだけに集中し過ぎず、1日の中で出来るだけ色んな活動をするのが良いと感じた。用が無い日でも外出した方が良いし、内容は他愛も無くて構わないので人と話した方が良いし、趣味にも手を付けた方が良いし、勉強もした方が良いし、研究もした方が良いし、睡眠など休養はちゃんと取った方が良いし、たまにこうやって研究と関係ない文章を書くのも良い。実際、休日も含め毎日外出するのは実践できた。

私生活・趣味など

発売から1年経って漸くティアキンの100%クリアが完了した。コログは早い段階で1000匹見つけていたが、BotWと比べてクエストや装備なども多く、マップを100%埋めるのも大変だった。本編クリアまでの体験は面白かったが、100%クリアは単調な移動も多くて微妙な所もあった。ゲームは他にもやっているのだが、研究が楽しくて以前ほど時間が取れない為、血沸き肉躍るような、神経をすり減らすような遊び方が出来ていないのが物足りない。あとはニコニコ動画がサイバー攻撃でダウンしている期間が長くてYouTubeへの依存が進んだ。

文系出身というバックグラウンドについて

文系学部出身で理系の大学院に付いて行けるのか?という疑問も無い訳ではなかったが、文系出身だからと言って苦労していることはあまり無い。研究分野に関する知識は少し特殊で授業で習う訳でもないし、履修した科目は内部生でも人によって異なるし、大学院は他大学出身者も多いし、院試対策で情報学に関する科目はある程度広く勉強した。他分野から入学後に付いて行く上で問題は無いと言えそうだ。もしも文系学部から理系分野の大学院に行きたいと言う人が居れば背中を後押しできそうなのだが、実際にそのような進学をする人が極端に偏ったサンプルという可能性はある。例えば、数少ない文系学部出身の理系院生の話をネット上で見ると、中学高校の学習範囲では数学が一番得意で好きというような人が多そうに思えるし、それは私も例外ではない。

しかし、文系学部出身というバックグラウンドが活かせている気もしない。確かに、情報学というのは学際的な側面を持っており、研究課題に複数の分野からアプローチ出来ることがある。それは私の研究分野にも当てはまることなのだが、土台が数学で、量子や電磁気にも関係があるという感じの領域なので、文系分野とかけ離れている。一応、ミクロ経済のゲーム理論を用いたアプローチは存在しているのだが、あまり主流ではなさそうに思えるし、学士号も経済学ではなく経営学でゲーム理論に詳しくない。情報科学に興味が湧いたからその方向で大学院に進学したのだし、無理にバックグラウンドを活かそうとしない方が良いとも思っているが、学部で学んでいたことが全て無駄ということはないと思っているので、何だか勿体無い気がしている。これは長期的な課題になりそうだ。

今後の目標・やりたいこと

研究に関しては、1つの内容に特化するより、分野内で幅広いテーマに手を出したいと思っている。実際、M1後期の途中からは新たな研究テーマに手を付ける予定である。まだ分野の事情が細かく分かっていないので、暫くは確立されたテーマを研究すると思うが、将来的には近隣分野との融合や、テーマ自体が新奇な研究がしたいと思っている。

英語力も更に向上させたいと思っている。実践を考えると会話ができるようになりたい。ライティングは研究を通してある程度鍛錬できそうな気がする。あとはTOEICの点数を25点上げるとキリが良くなるので、密かに目標にしている。実際は前回かなり上振れしているのもあって、25点上げるのは恐らく私にとって非常に重い。

数学の勉強も進めたい。院試対策で勉強しても忘れてしまったことが多々あるので、まずは初歩的な代数と解析を復習して定着させたいと考えている。具体的には、易しい教科書に載っている定理や公式は何も見なくても証明できるぐらいにしたい。また、専門分野に関わる数学と学部レベルの数学について、1つの分野につき簡単な教科書を1冊ぐらいは通読しておきたいと思っている。今新たに勉強しようと考えているのは、ベクトル解析、偏微分方程式、ルベーグ積分、ガロア理論、楕円曲線の5つである。

物理学の知識も身に着けたい。情報系なので特に電気と量子に関することを勉強しておきたい。文系出身で院試も電磁気は選ばなかったので、これに関しては高校レベルから復習した方が良さそうな気がしている。

プログラミングもできるようになりたい。研究分野での実装はPythonとC++が多く、周囲ではPythonが流行っているので逆張りでC++をやろうかと思っている。特別作りたいというものが今の所無いという話をしていて、競技プログラミングを始めるのも良いかも知れないと気付かせてもらった。

これらは特にM1後期の目標と言う訳ではなく、数年以内に大体達成できたら良いなという程度に思っている。M1後期で何%かでも達成できるよう、今もいくつかに取り組んでいる。

これからの記事について

今後も半年ごとに振り返って記事を書こうかと思っているが、大学院に入ってからは文章を書く機会が多く、文章を書きたい欲求をネットで満たす必要が無くなりつつあるので、実際どうするか分からない。逆に研究分野の基礎的な理論や研究トピックについて書きたくなるかも知れないし、全く関係ない記事を書きたくなるかも知れない。


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