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ブラジルの教育事情


ブラジルは高校までは私立が良い

日本では真面目に勉強すれば、公立の学校に通っても大学に行ける学力はつくと思います。

ブラジルではそうはいきません。公立でもいい学校はありますが、問題が多く中学生でも掛け算ができないという生徒が結構いるようです。設備投資があまりされず、トイレの便座さえない学校もあります。つまり税金が公立学校にうまく還元されていないのです。

大学は公立のほうが良い、と言われていますが、特定の政治思想が強すぎたり教師のストライキの多さなど問題が多いので、近年私立大学を選ぶ人が増えています。

私立校はどんどん良くなっている

我が家では子供3人を小学校から高校まで私立に通わせました。
まず私立は教師の質が良いです。契約制なので教師は常にスキルアップしなければなりません。教え方の上手な教師は他州からも引っ張りだこです。

また資金力のある学校は常に国内外の最先端の教育理論を取り入れるよう努力し、設備投資にもお金をかけています。

公立校は

20-30年前は公立校も良かったそうですが、最近は一部の学校を除いて良くないと言われています。まず給料の問題で教師のストライキがあり、授業が長期間ストップすることがあります。パンデミックの時ブラジルでは約1年~2年オンライン授業が続いたのですが、公立校はそれができない学校が多く、生徒は2年間ほとんど何も勉強できなかったのです。その遅れた分のカバーはなかったようです。

大学入試では

ブラジルの大学入試の形式は日本と似ています。日本の共通試験に似たENEM(高校卒業程度のレベルが分かる全国共通試験)と大学毎の入学試験があります。ただ公立校出身者や黒人、先住民の生徒にCotas(コタ)という優先枠があるのが日本との大きな違いです。大学によっては半分ぐらいCotasの席が用意されています。私立校出身者とCotas生では入試の合格点が違います。

最近大きな問題になっているのは、私立校出身者とCotas制度で大学に入った学生との学力の差です。知り合いの連邦大学教授によると、Cotasで医学部、農学部など理系学部に入った学生は、大学の授業についていけない人が結構いるそうです。

ブラジルの社会問題

貧富の差が激しいブラジルでは、貧しい家庭の子供に高等教育を受けさせないと貧困から脱却できない、という面もあり一概にCotasに反対はできません。貧困問題はブラジルの大きな社会問題です。貧困から犯罪が発生することが多いので、政府も力を入れています。

ただ大学入試のCotas優先枠が多くなりすぎて、大学のレベルが下がっていると懸念している人が多いのも現実です。それが将来の国力低下につながるので、危惧している人が多いのではと思います。

日本はまだ平等社会

日本の報道では日本社会に格差が広がっているとよく言われています。確かにそうかもしれません。でも、日本で公立校に通って字が正しく書けない、基本的な計算問題ができない、というのは稀なのではないでしょうか。
いろいろ問題はありますが、無料で質の良い公教育が受けられる日本は恵まれていると思います。外から見ると、日本はまだまだ平等社会だと思います。






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