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あの子の未来はどうなるの?読書記録 ホテルローヤル


読書記録

ホテルローヤル
桜木紫乃先生著
2018年 集英社

まだ桜木紫乃さんの本は3冊くらいしか読んでいないけれど、読み始めると、止まらず大抵は一気に読んでしまう。でも、感想をまとめようとすると、先に進まない。立ち止まってしまうのだ。


◎あらすじ
舞台は郊外の高台にある古いラブホテル。そこを通り過ぎていく人々、働く人たちの表や裏の日常がオムニバス形式で描かれている。

その中でも心に残っている章を記録として残します。

★本日開店
頼子は貧しい家庭から養護施設で育ち、ある古い寺の住職の妻となった。しかし、田舎の小さな寺の経営は厳しい。檀家たちの寄附とわずかな仏事のお布施でなんとかやりくりしていた。
ある時、住職の夫から檀家の総代のところに相談にいくようにいわれるが、指定された場所は、、、。

★ギフト
るり子は中学を卒業して団子屋に住み込みで働いていた。その近くに看板の仕事にきていた大吉がいた。
大吉は20歳から看板屋で修行をして30歳で独立したが、派手な看板を必要とする映画館などか減るにつれ仕事は減り、資金繰りもいっぱいだった。

大吉は足繁く団子屋に通い、団子の売れ残りばかりたべたているというるり子に、時には惣菜屋の差し入れを持っていった。  
しかし、次第にるり子を守ってあげたいと思う大吉には、妻子がいたのだ、、、。

◎感想
ラブホテルが舞台というのが、興味を惹かれたが、色々な理由で愛し合う場をラブホテルを選んでいる2人。その二人には人に言えない関係だったり、そうではないけれど、この場を選んでいたり。

行為そのものも、生きていくことそのものなんだけれど、それが苦痛だったり、お金のためだったりする人もいる。

2人の関係性も色々で、離れたいけど、離れられない。でも離れなくてはいけない。

人として生まれたならば、一瞬とはいえ誰かを心から身体の芯から愛せる、愛されている時間を持てる、それもまた儚いけれど、ほろ苦い幸せかもしれない。

しかし、人は一人では生きてはいけない。
家族として、そんなこと知ったら、ゆるせるだろうか?
いや許すとか、許さないとか、結論を出すことができるだろか?

と、思い巡らせていたら、先日、英会話のテキストにあったこの文章を思い出した。

Your future depends on your decision,
あなたの未来はあなたの決断に委ねられている。

解釈しようによっては、

あなたの決断があなたの未来を切り開く。

だから、時には自分自身の気持ちに向き合って、
ノーとか、否とかという答えを出してもいいんだけど、、、。

ホテルローヤルに立ち寄った人々のその後の人生は、どうなるのだろう。考え始めると眠れない夜となりそうだ。


◎今日も最後まで読んでいただきありがとうございました😊

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