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読書記録 風に舞い上がるビニールシート

こんにちは。
今日は小雨が朝から降ったり止んだりの日曜日。


なんだかのんびり
読書タイムしました。



読書記録
風に舞い上がるビニールシート



森絵都さん、文藝春秋社、2006年



◎はじめに
以前に直木賞を取り話題になっていたような気がして、図書館で見つけて借りました。

森絵都さんの作品を読むのは、「みかづき」以来です。

ちょっとワクワクしながら、本をめくり、1話がなんとなく読み終わり、

えー、この続きはどうなるの?

と、ページをめくりハッと気づきました。短編集だったのです。

私は単行本、この装丁、この長めのひっぱり感のあるタイトルを見て、てっきり長編だと思って、

ゆっくり雨の日を楽しめるかな、

と、勝手に想像していました。
でも、短編集だけに、サクサク読み進めました。


◎6つの短編が収録されていました。
今、読み終えてどれも心に残りましたが、


気になったのは、2編


1.器を探して

 お菓子作りをしてた娘に勧めてみようかなと思った、1編

◎あらすじ
主人公の弥生は、製菓学校を卒業後、誰をも魅了してしまう菓子をつくるヒロミに雇われ、小さなケーキ店で働き始める。その後、たちまちヒロミの店は大評判のケーキ店となり、今度はヒロミは店を拡張したり、マスコミにでたり忙しくなる。弥生も菓子作りよりも、ヒロミの仕事のマネジメントが忙しくなり、プライベートも、、、。


◎感想
 人には、いくつかの欲があると思う。生理的身体的欲求、金銭的経済的欲求、社会的承認欲求などだ。でも、それは人によって大きさが違うようにも思う。

この弥生とヒロミはそれが少しずつ違うから、何とかバランスをとりながら、一緒に仕事をしてこれた。でも、何かのきっかけでそのバランスが崩れてしまうと、その状況をどちらかが受けいれがたくなるのかもしれない。


自分以外の人の思いにどれだけ応えていけるか、

人との関係で両者にとって許容できる、
バランスは大切なのだろう。




2.風に舞い上がるビニールシート

高校生のころの私に勧めたかった1編

◎あらすじ
主人公の里佳は、外資系企業から国連の東京支部の職員となり、世界各地をまわる専門職員から支持された支援活動の調整や広報活動を行っていた。そこへ、エドというアメリカ人の専門職員が現れて


◎気になったことば

 僕はいろんな国の難民キャンプで、ビニールシートみたいに軽々とふきとばされていくものたちを見てきたんだ。人の命も、尊厳も、ささやかな幸福も、ビニールシートみたいに簡単に舞い上がり、もみくちゃになって飛ばされていくところを。

 暴力的な風が吹いたとき、真っ先にとばされるのは、弱い立場の人たちなんだ。老人や女性、小さな子供、それに生まれたばかりの赤ん坊たちだ。誰かが手を差し伸べて助けなければならない。どれだけ手があっても足りないほどなんだ。


◎感想
 今はパンデミックで世界中のどこにいても感染の危険がある。しかしそれに加えて、宗教や思想、信条などの違いから紛争が各地で日々続いていて多くの犠牲者がいることを忘れてはいけない、と思った。

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