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BtoBオウンドメディアの役割を考え直すためにやったこと

※はじめに、BtoBオウンドメディアを運営している人にとっては「そりゃそうだ」ということしか書いていないのでご了承ください!
同じようにBtoBにおけるオウンドメディアを運用されている方がいたら、ぜひお話伺いたいくらいです〜

BtoBのオウンドメディアと聞くと、どんなメディアを思い浮かべるでしょうか? リード獲得のためにめっちゃ記事コンテンツが展開されているメディアや、辞書のようにきっちり網羅性が担保されたメディア、ブランディング目的として「問い」を立てるようなメディア。色々あると思います。
ここでは、SmartHR Mag.の運営で迷走していた私が「メディアの役割」から考え直したところについて書きたいと思います。

オウンドメディアの役割から考え直そうと思った背景

私は2021年秋ころからSmartHR Mag.の運営に関わるようになり(ほかのコンテンツ制作と並行しながら)、2022年はよりオウンドメディアの運用に多く関わるようになりました。
なぜオウンドメディアの目的から考えようと思ったのかというと、SmartHRは2021年頃からプロダクトが扱う領域が拡大し(労務領域から人材マネジメント領域へ)、SmartHR Mag.も発信するコンテンツの領域が拡大する必要があったからです。(ほかにも細かい理由はありますが)

2016年に立ち上げられたSmartHR Mag.は、当初まだサービスの認知度も今より低かった時代です。サービスだけで解決できない課題について「業務の役に立つ情報を発信」し、オウンドメディアをとおしてサービスを知ってもらうことが目的の1つだったと思います。
しかし、ありがたいことに現在は労務領域においてSmartHRの認知が上がってきたため、そこだけを目的にオウンドメディアを運用するフェーズではなくなってきました。

オウンドメディアの役割を考え直すために何をしたか

メディアの目的などを整理

オウンドメディアの役割を新たにするために、まずは以下の内容を整理していきました。

  1. WHY 企業として、なぜこのメディアをやるのか?

  2. WHO 読者は誰?

  3. WHAT どんな情報を提供する?

  4. WHEN どういうタイミングで読んでもらう?

  5. WHERE どのデバイス・メディアで発信する?

  6. HOW どんな表現で提供する?

とくに1.の目的を定めるのが一番大事なポイントです。ここを明確にするために、「コンセプトダイアグラム」を用いて、何をゴールにするのかからチームメンバーで議論しました。( 社内にコンセプトダイアグラムに詳しいaguringoさんがいらしたので、サポートしていただきました!ありがたや。)
ここで置いたオウンドメディアのゴールをもとに、1.の目的を言語化していきました。
詳細はお見せできないので謎図でしかないのですが、こんな感じでメンバーみんなでmiroを使って整理していきました。

SmartHR Mag.のコンセプトダイアグラム

メディアの目的を果たしているかどうかを、何で測定するかを考える

メディアの目的を決めたら、その目的を果たしているかどうかを「何の指標で測定するか」を考えます。
ここで難しいのは、オウンドメディアって、そんなすごい力はないんですよね…。オウンドメディアだけの力で売上にめっちゃ貢献するのかというと、そんなことはありません。だからこそ、「オウンドメディアをとおしてどういう状態にしたいか」を明確にしないと途中で迷走しちゃうと思います。

実際、SmartHR Mag.でも運用の課題感に合わせてKPIは半年ごとくらいで考え直しています。そのKPIの置き方もぴったり理想的に設定できているかどうかは正直わかりません。ただ、オウンドメディアと運用する組織の課題感に合わせて何をみるか、何を優先していくかは都度見直したほうがいいと思います。

メディアの目的を決めた後、何で測定するかをメモしたもの

過去記事の現状把握をする

これが大変でした! しかも意味があったか、ちょっとわかりません。(わからんのかい)ただ、立ち上げ当初から関わっておらず、歴史や全体像を理解しないまま1年ほど関わるとやはり煮詰まることが多かったので、やってよかったです。
改めて全記事の所属カテゴリ、タグ(見直しも含め)、記事の役割などを整理・確認したのですが、具体的には、以下のような情報を整理しています。

  • 記事のカテゴリ

  • 記事のタグ

  • 記事の深さ

  • 読者に何を届けているか

  • 記事ごとのUU数

すでにシート上で管理されている情報もあったので、上記の内容をゼロから整理したわけではありませんが、1,000記事近くあるので、ちょっと大変でした。
また、ここでいう「記事の深さ」「読者に何を届けているか」については、以下の記事を参考に分類しました。

いわゆる線形のバイヤージャーニーにそって「この記事は、比較検討中の方にみてもらって、購買につなげたい」みたいな考え方はせず、既存顧客の方、そうでない方も含めて、「読者の方が知りたいこと」をカテゴリ分けして分類しています。
そうしようと思った理由は、お客様にオウンドメディアなどの情報収集についてヒアリングをしたときに、既存顧客の方もMag.を見てくださっていたことです。
あまりこちら側の都合で読者の方のフェーズを分類せず、「読者の方が何を知りたいか」に沿って分類することにしました。
※コンセプトダイアグラムではいわゆる読者のフェーズとそれにあわせたコンテンツを考えていくんですが、それはあくまでもコミュニケーション設計のためのものなので、コンテンツの把握としては違う分類を使いました。

どうなったか

メディアの役割が明確になり、やらないことが明確になった

とにかくコンバージョン数を増やしたいのか、認知拡大したいのか、役割を定義することで、やらないことが明確になります。
たとえば、サービスの機能情報であれば、サービスサイトでしっかり網羅されていればよいので、オウンドメディアで機能の説明自体はしなくてもよいことになります。
チームのミッションから優先順位を決め、メディアでどこに注力したらいいかも判断しやすくなります。(とはいえ、やることがたくさんあってまだ悩ましい)
また、「こういう目標を立ててしまうと、メディアの本来の目的から離れてしまう気がする」と気がつくことが増えました。ただ、短期的に必要なアクションとして立てる目標もあります。その目標を達成するための手段が、メディアの役割として設定したものと乖離していないかは常に自問自答したいです。

メディア全体として不足しているコンテンツがわかった

まずはカテゴリ分類で不足しているコンテンツ領域がわかります。また、数は作っているが、全体のUU数を見るとまだまだ伸びていないな、ということもわかります。
SmartHR Mag.の場合、過去に制作した記事が長く読まれており、全体のUUをかなり支えてくれていました。今、どういった領域のコンテンツを、どのくらい見てもらうべきなのか、それらを考えるにあたり、この整理がヒントになりました。
また、「読者に何を届けているか」の分類にも偏りがありました。SmartHR Mag.では法改正情報や識者の解説などの記事が多いため、偏り=悪ではありませんが、読者がほしい情報のカテゴリに不足がないように意識できそうです。

オウンドメディアだけにとどまらない価値も考えていこうと思えた

この記事のはじめの方にも書きましたが、オウンドメディアだけでできることは限られています。記事の現状把握をすることで、「もう少し○○の記事があれば1つのコンテンツにまとめられるかも」「これはメディア以外で活用できる方法はないか?」など、オウンドメディアから生まれる副次的な価値もイメージしやすくなりました。
たとえば、オウンドメディアに公開した内容を2次利用してリード獲得につなげるeBookに活用いただいていますが、それらの連携をより強化したい(制作前からそれをイメージして取り掛かりたい)なと思いました。

オウンドメディアを起点とした価値の可能性はもっと色々あると思っていて、それらを2023年以降模索していけるといいなと思っています。(今はまだ内緒。うまくやれたらまた書きたいし、書けるように頑張らないと)

目的に立ち返ることで、大胆に動ける

以前導入事例コンテンツを制作していたとき、「導入事例」という前提をふっとばして課題に合わせた解決方法を考えてこれました。(受注したタイミングで導入事例取材しちゃうとか、導入プレスリリースも導入事例ページに掲載するとか)
これらは、「目的」と目的達成のための「課題」を認識していれば手段は自由。という例だと思っています。
オウンドメディアも一緒で、大上段の目的さえしっかり決まっていれば、自由に発想して大胆に動けるんじゃないかと思っていますし、そういうチームでありたいです。(私1人ではとてもじゃないけど無理)
なので、2023年はもっとチャレンジしていきます〜!