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「一方通行の正義」はただの凶器

アニメ「鬼滅の刃」には、正義が描かれていると感じた。

最終選別の話に、印象的なシーンがあった。主人公の炭治郎が、多くの子どもたちを喰ってきた凶悪な鬼を倒した。喰われた子どもの中には、炭治郎の友人もいた。強い憎しみを感じるはずだ。それでも、炭治郎は死んでいく鬼の手を握って、鬼の苦しみや怒りに寄り添おうとしたのだ。

まだ10話も見ていないけど、鬼滅の刃がヒットした理由が少しわかった気がした。悪に対して正義を背負った主人公が挑み、やっつけるストーリーはいくらでもある。ただ凶暴で救いようのない悪に向き合い、寄り添って理解しようとしたヒーローは多くないのではないか?自分の正義だけを押し付けない炭治郎の姿は、とても素敵だった。

いま外出自粛の影響もあり、「自粛警察」や「ネット私刑」が増加している。コロナに感染した状態で山梨に帰省した女性に、執拗なバッシングや個人情報さらし行為を受けた。現在営業する店に「営業するな」「感染拡大させるな」と営業妨害を行う人もいる。コロナ以外でも、芸人の岡村隆史さんの失言に批判が殺到し、番組降板の署名まで集められている。

これらに共通しているのが、すべて「正義」の下行われている点だ。ルールや和を乱す行為をした人が悪で、自分たちは正義。だから悪の存在は批判されるべきだと考えられる。結果正義をたてにとり、行き過ぎた私刑が行われてしまっている。

気持ちはわかる、でも一方通行の正義は正義じゃない。ただの凶器だ。悪側にも何か事情があるかもしれないし、自分が悪側に回らないとは限らない。特にコロナ関連は、明日は我が身である。外出自粛のストレスがたまり、未知のウイルスにピリピリしている状態なのはわかる。でも「何でこうなったのか」「相手にも何か事情があるのか」と思えないと、ただ罵るだけで永遠に終わらない。

鬼滅の刃に描かれているような、悪にも寄り添う姿勢こそが本当の正義だと思う。もちろん、簡単に出来はしないと思うけど。とりあえず、鬼滅の刃を見て勉強しよう。笑

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