ゴスロリ少女から勇気をもらった話
横浜駅を歩いていたら、前方にゴスロリファッションの女の子が歩いているのを見かけた。
黒いロングパーカーに黒いチエックのスカート、 黒革のレースアップブーツ。袖元には、薄い紫のリボンがひらひら揺れていた。クロミちゃんの人形型リュックを背負い、高い位置で黒髪をツインテールにし、頭上にはフリルの黒いカチューシャ。全身を黒で固めたゴスロリだった。
ハロウィンが 3日前に終わった今、ゴスロリファッションは明らかに浮いていた。原宿ならまだしも、ここは横浜駅だ。すっごく目立つ。
私も、ゴスロリファッションの彼女が気になって仕方がなかった。でもそれは、ゴスロリが異質で浮いていたからじゃない。
「超かわいい」と感じたからだ。
全身を黒で固めていて、コーディネートに統一感がある。そこに腕元に紫のリボン、そしてクロミちゃんの人形リュックがアクセントとなり、クールな大人っぽさと可愛らしさを感じられる。それに、小柄な彼女にツインテールや黒いフリルのスカートがよく似合う。
顔を見なくても、とっても可愛くて似合っているとわかる。ゴスロリに詳しくないけど、あの子のファッションは「完璧」だ。服選びが苦手なので、自分に似合うゴスロリを着こなす彼女が羨ましくて仕方なかった。
昔は、ゴスロリファッションを街中で見ると「イタい」と感じていた。いい大人がフリフリの服を着て、恥ずかしくないのだろうか、と。大人なら年齢にあった服を着るべきで、周りから浮くようなファッションは選ばない方がいい。男性ウケもよくないし、周りから笑われてしまう、と。
今なら思う、「他人の評価なんてどうでもよくない?」と。周りの目も、男性受けも、全部。自分にとって「かわいい」「似合う」と思うファッションなら、誰の目も気にせず選べばいい。他人からとやかく言われる筋合いなんてない。自分の好きなゴスロリファッションで堂々と横浜駅を歩く姿は、どんな美人よりもずっとカッコよくて美しかったし。
色のどぎつい口紅やフリフリのワンピース、動きやすいだけのセンス無しファッションも、自分がいいと思うならそれでいいんだ。いま私が来ているベージュのユニクロ製セーターだって、毛玉だらけだけど気に入っている。自分に似合ってる気がする。そう思えば、なんだか自分のファッションも輝いて見えた。
そんなことを、見知らぬゴスロリ少女から教えてもらえた。
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