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【7分で読める】有名映画の衣装デザインに込められた意図

「ママは言ってた靴を見たらその人のことが分かる」
                          フォレストガンプ
 (岩崎:フォレスト、それは衣装もなんですよ)
 前回は、映画:ジョーカーで「アーサーという人間がどのような人間なのかを衣装で伝える」という内容の記事を書きました。

 今回は映画における衣装の役割と「スターウォーズ」「ゴッドファーザー」などの著名な映画で衣装がどのようにその役割を果たしているのかをお話していきます。今回、翻訳しているのはこちらの動画です。

 派手・地味に関わらず印象的な登場人物の裏側には衣装部の働きがあります。監督や演者ほど脚光を浴びておりませんが、衣装も映画にとって物語を語る大事な要素です。したがって、衣装は登場人物の内面と彼らが住む世界について多くのことを語ってくれます。
 「衣装」というとのハロウィン仮装のように別人になりきるための服という印象を受けます。しかし、映画では衣装部は「あ、これ衣装着てるな」と観客に思わせてはなりません。あくまでそんな人間が存在し、その服を着ていると思ってもらわなければなりません。
(岩崎:つまりは「コスプレをしている」と観客に思わせずに衣装に現実味を持たせなければならないということですね)
 風と共に去りぬは魅力的な衣装デザインで有名です。南北戦争の時代を表現しつつもスカーレットの社会的立場の変化も表現しています。

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 スターウォーズもそうです。本作は物語性や特殊効果が高い評価を受けますが、衣装デザインも評価を受けるべきポイントです。レイア王女の衣装はどこか異国の雰囲気を醸し出しつつも王室の人間らしい雰囲気を観客に与えます。これはルークやハン、軍服などの衣装とも合わさり現実離れしすぎることなく、観客の心を宇宙へと連れて行ってくれます。

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 ミスターインクレディブルでエドナ・モードのモチーフとなったアカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞したイーディス・ヘッドは彼女が生きた当時の衣装センスで登場人物を飾りました。しかし、映画のファッションというものは時代が進むにつれて時代遅れになっていきます。だから、彼女はファッションの未来を想像し、当時の衣装にちょっとした「モダン」要素を付け加えたと言われています。

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(岩崎:難しいですね・・・ちょっと検索してみたのですが、以下の画像は「裏窓」出演するグレース・ケリーの衣装です。この映画事体は1954年に撮られたものなのですが、衣装だけだと1980年とかの衣装でも通じると思うんんですよね。)

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ファッション音痴の私が言うのもなんですが!

 したがって、「70年代に撮影された」映画の衣装というのは、地味な感じがしますが、「70年代が舞台」の映画は当時を演出をするためにわざと「誇張」された衣装デザインとなっています。

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ジョーズ

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ナイスガイズ

(岩崎:「誇張」の役割は他にも「観客に強い印象を与える」というものがあります。その誇張をアマプラのザ・ボーイズがどのようにしているのかを書いた記事もありますので、「衣装だけでなく小道具やセットにも興味がある」「観客に強い印象、物語を言葉を使わずに伝えたい」という人、あとは単純にザ・ボーイズが好きという人にもぜひ!)

 ーイーディス・ヘッド
 映画の中での衣装の仕事は見るモノを魅了することではありません。物語を語ることなのです。

 衣装はあなたの映画のスタイルを決めると言っても過言ではありません。現実主義(ダークナイト)でいくのか非現実的(グランドブダペストホテル)なまで振り切るのか。
〇具体的な作品:夢のチョコレート工場
 夢のチョコレート工場を例に考えてみましょう。他の登場人物が90年代の衣装を着ているのに対してウォンカは「19世紀の古き良き衣装デザイン」と「70年代のファッションに見られる原色を使った色使い」という組み合わせになっています。結果、ウォンカは劇中でも目立ちますし、見る観客からしても目立つ存在になることでしょう。

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〇具体的な作品:ゴッドファーザー
 ゴッドファーザーのマイケル・コルレオーネは冒頭は軍服を着て、マフィアと決別していますが、物語が進むにつれて衣装もマフィアのモノに寄っていきます。
(岩崎:ビフォー)

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(岩崎:アフター)

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豆知識
 実はこれこそ衣装デザインにおける衣装の本来の目的なのです。マフィアも社会に溶け込むためにハロウィンで仮装をするように、社会的地位の高い人間が着るような衣装を着るようにしていました。
(岩崎:ただ、結局はマフィアに見えてしまうんですよね・・・)
〇具体的な作品:スターウォーズ
 スターウォーズ エピソード4のルークスカイウォーカーの服は修行に励む新人に見えます。

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 そして、スターウォーズ エピソード8 修行僧のようなローブを身にまといます。これが誰をモチーフにしているかと言うと・・・

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 そう、オビ・ワンです。こういった衣装の変化からも登場人物の変化が分かりますね。

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(岩崎:ファイトクラブのタイラーの服もそうですね。下のカラーサークルのように彼が身に着ける「赤い服」は「ナレーターのスーツ(緑)」「映画の色合い(緑)」と対比し、とても目立ちます。まるで別世界の人間のように)

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〇具体的な作品:(500)日のサマー
 最後に(500)日のサマーの衣装を見て見ましょう。イントロからトム=茶色・サマー=青、という配色がされています。

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 後のシーンでトムが自分好みの部屋を選んだ時は家具が茶色に配色されています。しかし、サマーは青色の服を着ていることからサマーがトムの価値観に合っていないことを表しています。

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 反対にサマーの価値観を話しているシーン・トムがサマーのことを考えてウキウキしているシーンでは青色が画面を彩っています。

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(岩崎:頭の中はサマーでいっぱいというわけですね)

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 こういった衣装部の働きによってキャラクターのトレードマークと言える服装が決まるのです。

まとめ・感想
 要約すると前回のように「衣装で語る」という言葉になるのですが、それでも色やファッショントレンド、社会情勢なども考慮し、デザインをするとなると奥が深いですね。みなさんが好きなキャラクターの衣装はなんですか?ぜひコメントで教えてください!
 ちなみに私は、ルパン三世ですね。

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