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クライミングとXRの壁: 壁を立てて壁を壊した人

この記事は 壁 Advent Calendar 2023 10日目の記事です.

はじめに

ご無沙汰しております,@yukiuranishiです.研究のためという看板を掲げ,研究室にクライミングウォール (ボルダリング) を建設した異常者として一部界隈で知られています.

もう2年前の記事で言いたいことは全部言ってしまっており,仕方ないので壁を作ったことによる成果でも書く.

研究成果 (前回の記事以降)

Real-time Alert of Excessive Force Based on Forearm Muscle Activity for Wall Climbing (ISMAR2023)

Toru Kowada, Yuki Uranishi, Chang Liu, Goshiro Yamamoto and Photchara Ratsamee, "Real-time Alert of Excessive Force Based on Forearm Muscle Activity for Wall Climbing", the 22nd IEEE International Symposium on Mixed and Augmented Reality (ISMAR2023) Poster, Sydney, Australia (2023.10)

登攀者の両前腕に筋活動計を装着し,前腕に必要以上の力が込められた際に即時触覚または視覚刺激を通して登攀者に通知することにより,登攀技能が向上するかを調査した研究.

ホールド難度と配置を考慮したボルダリング課題の自動難度推定 (TVRSJ)

大西和歩, 浦西友樹, 劉暢, Photchara Ratsamee, 東田学, 山本豪志朗, 竹村治雄, "ホールド難度と配置を考慮したボルダリング課題の自動難度推定", 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol.27, No.4, pp.331-340 (2022.12) DOI: 10.18974/tvrsj.27.4_331

ホールド自体の把持の困難さとその配置から,ボルダリング課題の難度を自動推定することを試みた研究.

研究費獲得

  • 浦西友樹, 池田聖, 小林聖人, 山本豪志朗, "身体動作に内在する不可視情報の計測と伝達", 大阪大学データビリティフロンティア機構 (IDS) 学際共創プロジェクト, 900千円, 令和5年度

  • 浦西友樹, 池田聖, 山本豪志朗, "スポーツクライミングにおける不可視情報の非接触計測と支援情報提示", 大阪大学データビリティフロンティア機構 (IDS) 学際共創プロジェクト, 900千円, 令和4年度

壁を登っている様子

これ以降は中年が壁を登っているだけのマニアックな動画が貼り付けられた記事になります.

おわりに

壁を建てて壁を壊してから,そろそろ3年が経とうとしている.外に見える成果としてはもっと出しておきたかった,と思うところではあるのだが,一方で自分一人だけだったら絶対ここまでできていないわけで,こんな研究者生命を賭けた悪ふざけに付き合ってくれている学生諸氏には感謝しかない.

こういう,ある種趣味的な研究テーマを進めるとき,特に大学の研究者としては必ず守らないといけない矜持がある.

こういう研究をしていると,えてして悪ふざけだ,とか趣味が高じて,とか色々言ったり言われたりするわけだが,我々は大学で研究している以上,その「悪ふざけ」には学生さん達の人生を巻き込むことになる.自身だけでなく学生さんの研究者人生も預かっている以上,「こんなテーマ趣味でしかないですよー」とか「研究としては面白く無いですよー」みたいな訳のわからない卑下は絶対にしてはならないし,もとより僕はするつもりは全く無い.研究者は自分自身のテーマにおける最大のファンでなければならない.僕は悪ふざけであることも自覚している一方で,この研究は世界一面白いテーマだと確信しているので,情報科学系の研究者は全員クライミングの研究をやれば良いと思う.

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