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■人件費は、“適正“ ではなく ”うまくいく” で考える■

~中小企業向けに、本屋に並んでいる本には書かれない会計・試算表の話をしています~
経営者さんの永遠の悩みと言っていいのではないでしょうか。
永遠の悩みなんてものは100コくらいあるかと思いますが…。
100コで済めばマシな方かな。
なにはともあれ、永遠の悩みの1コを解決していきます。
その為に2つの視点を変えてください。

■人件費を考える上において変える2つの視点

みなさんはよく、人件費が高いんじゃないか(経営者の声)、給与が低いんじゃないか(従業員の声)をよく聞くかと思います。

どちらも言っていることは正しいです。

同じ仕事をしていても、あっちでは給与40万円、こっちでは30万円と聞くと従業員は給与は低いと感じます。
では、社長の給与20万円、従業員の給与が30万円と聞くと社長は給与は高いと感じます。

すなわち、給与の金額=高い、低い ではないということ。
ある基準があり、それに対して高い、低いと言っているだけです。
転職サイトでは『あなたの適正年収は〇〇〇万円です!』と言うのを見ますが、自分で会社を起こし売上なし、転職サイトで言われた年収にして『適正』と言えますか?

適正なわけがないんです。

ここで、人件費の考え方としてとても大事な2つを説明していきます。
これは本当に大事なところですので必ず理解していってください。
まず1つ目が、

1.「適正な」金額ではなく、「経営がうまくいく」金額で考える

言われてみればそうですよね。
世の中でいう適正な給与を支払って赤字じゃ本当の意味の適正ではないです。
そして、経営がうまくいく金額はどれだけなんだというのが次、

2.「人件費率」ではなく、「労働分配率」で考える

従業員の給与が高いのか低いのかを考える時、ほとんどの方は売上に対していくら人件費を支払っているかの人件費率を見てしまうんです。
人件費率を見て、いくらか良いのかと考えてしまうから経営がうまくいかないんです。
従業員の給与を考える場合は必ず、「労働分配率」で考えて下さい。
※労働分配率とは
 労働分配率=人件費/売上総利益 
 売上総利益=売上-原価

そして経営がうまくいく労働分配率とは、
【経営がうまくいく労働分配率=50%】

具体的に数字で見ていきましょう。
例.売上100円 原価30円 人件費35円の場合

売上(100円)-原価(30円)=売上総利益(70円)
人件費(35円)/売上総利益(70円)=労働分配率(50%)

この会社は労働分配率が50%ですので、経営はうまくいっています。
なぜ労働分配率が50%なのかと言うと、この比率が利益も出てうまくいく会社が多いからです。

■よくある質問や思い違い

ここからは、よくある質問や思い違いを説明していきます。

1.なぜ人件費率ではなく労働分配率なのか

それは同じ業種(例えば飲食業)でも原価が数%から数十%変わってくるからです。
そして飲食業だから人件費率30%と考えると、適正な人件費率にはなっても、原価50%あったら経営がうまくいく人件費ではなくなってしまうことがあるからです。
飲食店で原価50%のビジネスモデルならば、人件費率を30%からもっと落としていくような仕組みにしないとすぐに破綻してしまいます。

2.もし売上が3倍になったら、給与が3倍になるという思い違い

これは原価(変動費)、それ以外の費用(固定費)とガチガチに思ってしまうことによって起こります。
実は固定費って変動費だったりするんです。
1つ1つ例に取るとなるほど!となります。

 人件費…売上100万円を200万円にするとなった時、単純に人を倍にしないといけないです。
 消耗品…1人ボールペン1つ使っており2人になったら2つ必要ですよね。
 地代家賃…10人が20人になったら、単純に家賃2倍ですよね。

 このように考えていくと、労働分配率って一定になってきます。
 すなわち、売上がどのくらいあろうと1人当たりの給与は変わらず、労働分配率50%が適正な比率になってきます。

■従業員の給与をいかに少なくすることが目的ではない

 最後にお伝えしたいことは、従業員の給与をいかに少なくすることが目的ではありません。
 労働分配率を見る目的は、

 1.労働分配率を50%(経営をうまくいかせるよう)にするには、あとどのくらい売上が必要かを見ること
 2.従業員の給与を上げたいが、どのくらいまで上げても大丈夫なのかを知る為

この2つです。
私が何百社とみてきて、この2つがわからないことにより従業員との給与の問題がよく出てきます。
この2つがわかれば従業員の給与(社長の給与)の問題も解決します。

ここまで読んでくださりありがとうございます!
この記事が、あなたの事業に役立てれば嬉しいです。
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