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演劇団体に突ゲキ!9月編②

《この企画は....》様々な演劇関係者の方のお話を聞きたいという私の欲望から企画が生まれました。コロナ禍でも上演を続ける演劇団体を応援し、共に宣伝することを目的としています。公演1ヶ月〜2週間前までを目安に各団体のインタビューを掲載させて頂こうと思います。

第二回は、先日佐藤佐吉賞Reborn「ガムガムファイター」でお世話になりました露と枕主宰の井上瑠菜さんと露と枕の劇団員の小林桃香さんにお話を伺いました。9/15〜下北沢「劇」小劇場にて「鼬を噛んでくれ」を上演されるそうです。

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【露と枕】早稲田大学演劇研究会を⺟体とし、井上瑠菜を主宰として 2018 年 4 月に旗揚げ。「人は、一人では生きていけない。人は、人に依存してはならない」そんな矛盾した正論を受け入れられない人たちが、必死に人に依存する、壮大で繊細な夢物語を紡いでゆく。

〔井上瑠菜〕 露と枕主宰。2015年に早稲田大学演劇研究会に入会後、企画公演の上演を重ね、2018年4月に上演された旗揚げ試演会『桎梏ブランコ』を経て、露と枕を正式に旗揚げ。日常に潜む人間の弱い部分を壮大かつ繊細に描き出し、どこか優しさの残る悲劇を生み出す作風が特徴。おうさか学生演劇祭Vol.12優秀演出賞受賞。

〔小林桃香〕2016年に早稲田大学演劇研究会に入会後、企画公演『せみのさなぎ』より井上作品の創作に参加。真面目で不真面目、可愛くも男前。生々しさと少女性を持つ、夢みたいな存在。たくさんお酒を飲む露と枕の風紀委員。『不純な純粋を貫く』


以下、インタビューになります。

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朝早くからお二人ともありがとうございます。露と枕主宰の井上さんと役者の小林さんです。

二人 よろしくお願いします。

「露と枕」って団体の名前の由来ってあるんですか?

井上 この前桃香も言ってたけど、もう由来忘れちゃって(笑)完全に語感?語感で決めたよね。

小林 その場に立ち会ったはずなんですけど私は本当に忘れました。

井上 連想ゲームしてた記憶がある。いい単語挙げて!みたいな。

意味を考えて作ったってよりは、その場の勢いみたいな?

井上 かわいいかなと思って。

かわいいですよね。(露も枕も)両方とも可愛い単語。早稲田大学演劇研究会から独立して今は一つの劇団という形になってるじゃないですか。どういう経緯で旗揚げしようと思ったんですか?

井上 劇研が元々「劇団を作るサークル」みたいな感じがあって。私が入った2015年の時点でそろそろ劇団が卒業しそうみたいな感じで、作演を募集してたんですよね。今劇団作る人募集してます、みたいな感じだったんでそれで入って。あと、1年目が全然私が活動できなかったので2年目になってから(桃香は私の一個下の代なんですけど)一個下とでだいたい主要なメンバーを固めて、次の年に新人担当とかもやりつつ、入った時に劇団作るぞという気持ちを頑張って捨てずにいたら旗上がったみたいな感じです。(瑠菜さんが早稲田大学演劇研究会初の女性主宰としてアンサンブルを立ち上げた時の記事を見つけました。詳しく知りたい方はご参照ください。↓)
https://yab.yomiuri.co.jp/adv/wol/education/people/people-171205.php

劇研に入った時から劇団を作ろうって気持ちがあったんですね。

井上 色々大変なこともあったけど「絶対に作る」って気持ちを持ってた。尖ってたから。若かった頃は。

2018年に旗揚げをして、昨年風姿花伝で行われた「ビトウィーン・ザ・シーツ」が劇研を離れて初舞台だそうですが、劇研を離れてからちゃんと団体としてやるって事に違いはありましたか?

井上 でも外小屋でやるっていうのが意外と初めてじゃなかったんで。演劇祭でやっただけなんで単体では初だったけど。私バタバタしてて本当に覚えてなくて。(劇研から)出てからっていうよりはこういう情勢になってからって記憶の方がすごい強くて。何もかも違うみたいな。大学内の施設でもなければ今までやってた感じでもないみたいな、全部違うみたいな感じでしたね。

大変な時期でしたもんね。

井上 いや元々ほんとはね、この時期に卒業するつもりじゃなかったんですよ。この情勢下で公演を打つには、サークルじゃなくて劇団の責任でやらなきゃいけなかったから、卒業公演もしないまま出ちゃったんですけど。

なるほどそういう経緯が。

井上 本当は今頃だったはずですね卒業公演。

結構バタバタ独立したんですね。

井上 割と実は。

今回の「鼬を噛んでくれ」についてちょっとお聞きしたいんですけど。私、最初この漢字が読めなくて。これイタチなんだーって。

小林 私も最初読めなかった。

これ、題名はどういう風につけたんですか?

井上 これも語感なんですよ(笑)いつもは、これはこういう意味で〜とか語れるんですけど...紆余曲折ありすぎてなんでこれになったのか私も覚えてなくて。

いろんな要素が合わさってこの題になったみたいな?

井上 何かタイトルっぽい良い言葉考えようみたいな時間が今年の頭ぐらいにあって。色々組み合わせて結果なので、タイトルがかっこいいな!お気に入り!ってだけなんですよね。

瑠菜さんが普段脚本を書くときって、机にガンと座って考え込むのか、それとも街を歩いてふと思いつくとか、どういう感じの創作過程なんでしょうか。

井上 元々はぱっと思いつく派だったんですけど、最近は本を読むか映画を見るか演劇を見る。見た後にバーっと思いついたことを書いて、要素とっていって、一個膨らませられそうな設定みたいなのを抽出して、それは当たるか外れるかは次の日の朝になってみないと分かんないんですけど。あんま面白くねーなと思ったら消します。こんな感じで何とか頑張ってネタを考えてます。...でも結局何か一つ作り始めようと思ってやってると、何の本読んでも「これはこの話のここに使える」ってなっちゃうんで新しいネタって公演終わらないと出てこないんだなってそれが苦しいところです。

本とか映画とか演劇もよく見るんですね。

井上 本を読み始めたのは最近。映画も踏ん切りを付けないと見れないタイプなので、気合入れないとネタ探しができないんですよ。

じゃあ自分が見たいからってよりは、ネタ探しのために見てるって感じですか。

井上 これ面白そうだから見たい。けど見るのめんどくさい。どうしよう。頑張って見よう。みたいな感じです(笑)

先週までのガムガムファイターは、客演さんを呼んで始めた訳じゃないですか。で、それで今回は自分の劇団で公演。そこの違いはあるんですか?例えば、露と枕だからマイホームで安心、みたいな。

井上 だいぶ楽!(笑)なんだけど、今個人的な壁に色々ぶつかってる最中なんで乗り越えなきゃみたいな気持ちがすごいあり...。でもそれって客演さんだらけだからとか、団員がいるからとかっていうのとはあまり関係なく、本当に個人的な自分の性格とか技量とかの問題だから、今ちょっともがき苦しんでるところがあるんですけど。

井上さんなりの壁があるんですね今。

井上 越えなきゃいけない壁があるんで。

それを越えたらまた一歩成長になるんですかね。

井上 それを越えたら(演劇を)続けられるって思ってます。越えられないとキツくなっていきそうだなって思うのでこの公演で越えたいって気持ちがすごいある。

かっこいい。
今回はゲスト役者をたくさん入れての公演じゃないですか。私も Twitter のゲスト紹介みたいなのを追って楽しませて貰ってるんですけど。やっぱり新しい方ががいることによって刺激はありますか。

井上 ガムガム(ガムガムファイター)が今まで関わってきた客演さんとか劇団員とかと全然違う役者さん達だったから。それと比べると割と感性的に近い人が集まったかな、みたいな気持ちがあります。逆にそれは安心感があると言うか、力を抜いて稽古場に居られることにも繋がっているのかしらという気持ちはありつつ。

どっちも大事ですよね。新しい刺激も安心感も。

井上 いい塩梅で取れればいいんですけどね。

今回の作品のあらすじを言える範囲で教えて頂けたらと思うんですけど。

井上 桃香あらすじ言って〜

小林 霊が見える若者5人がルームシェアをして...何でしょう。

井上 前提は喋りやすいけど話の流れが若干喋りづらい話よね。

ここ(フライヤー)にもちょっと書いてあるじゃないですかあらすじみたいなの。暗めの話かなって感じました。

井上 暗い話です。生きるとか死ぬとかいう話をしている話なので。

好きなシーンなどありますか。

井上 (インタビューを受けた当時は)まだやってないんだよね一番好きなシーン。多分このあらすじを見て、一番最初暗転して明転して次の暗転まで、みんな驚き戸惑っているんじゃなかろうかっていう予想だけはついてるんですよ今。

戸惑っているというのは...

井上 一番最初のオープニングのシーンで、これが始まる!?みたいな驚きや戸惑いをお客さんが背負うんだろうなっていう予想だけはついてます。

小林 そうね、まあストレートではありますけどね。見るべきものというか。戸惑うけど、” そうみせられてるものが見るべきもの ”なのかしら、って感じ。

井上 そう、そうなのかもしれないです。戸惑わせないっていうのも目指すべきところではあるんですけど。

気になる。絶対観に行こ。

井上 まおすけ戸惑いそう!へ!?ってなりそう(笑)

この作品にちなんでなんですけど、お二人は霊感ありますか。

井上 全くないのよね。

小林 全くない。

井上 ホラーやりたいなと思ってたんだけど、ホラーって演劇ムズくね?って思った時に「ジャパニーズホラーはサスペンスだ!」みたいなことを書いてある記事を見つけたの。驚かせるっていうよりかは、その幽霊がどうしてそうなったのかを探るサスペンスだ、って。多分幽霊を探るサスペンスにしてしまうとホラーになるから、ホラーという題材でホラーじゃないものを作れば幽霊も出せるし、今までやってきたありそうでない世界観みたいなものができるんじゃなかろうかと思って頑張って作った。これ何の話しようとしてたんだっけ(笑)だから、幽霊が視える人たちのことを考えられるのが結構楽しいです。自分が視えてるみたいな気持ちになれる。

好きなんですね、そういうホラーとか幽霊とかが。

井上 怖いのは苦手なんですけどね。ロマンじゃないですか幽霊って。死んだ後も残れるって結構ロマンだと思っている。逆に「死んだ後も残っている人」っていうのもすごくロマンだなっていう。幽霊になりたいもん死んだら。残りたい。幽霊になりたい。

ステージナタリーさんのインタビュー(https://natalie.mu/stage/news/441124)に井上さんのコメントがあって、小さい時まで周りがみんなロボットに見えたって書いてあったの。いや私も小さいときそう思ってたんですよ。自分だけが自我を持ってる人間なのかなって。

井上 すごい、同じ人初めて会えたかもしれない!同じ思考回路の人。

私も見たときに、おんなじ人いるんだ!って共感しました。

井上 同じだねまおすけ。

みんな一度は思うんじゃないですか?周りの人達ってどういう風に見えてるんだろう、とか。

井上 よかった、何言ってんだこいつって思われないかな?って文章出したんだけど。

私は分かりました。少なくとも。

井上 よかったー、まおすけが分かるならいいや(笑)一人でもいたらそれで良いっていう気持ちだったので。

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劇団初の下北公演、楽しみにしております!

露と枕Vol.6「鼬を噛んでくれ」

9/15(水)〜9/19(日)下北沢「劇」小劇場

チケットはこちらから↓

事前精算:LivePocket

当日精算: https://www.quartet-online.net/ticket/tsuyu0915itachi

配信:観劇三昧 https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/345

事前精算の方が割引が効いてお得ですが、私はライブポケットの会員登録に手間どいました。事前決済はカード決済の方がスムーズです。座席指定ができるのも嬉しいところ。

お次はどんな団体に出会えるのでしょうか!私自身も楽しみです。もし、ぜひ我が団体を取材してくれ、この団体オススメ!などありましたらご一報下さい。では10月にまた。

関口真生


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